遺跡の劇場でオペラ鑑賞

公開日 : 2008年06月13日
最終更新 :

 アクロポリスの丘にあるイロド・アティコス音楽堂(通称イロディオン)は、見事な遺跡でありながら、いまもコンサートが開催される素晴らしい野外劇場です。

 161年建立、当時の大富豪イロド・アティコスがアテネにまるごと寄贈したというからあっぱれ!さすがお金持ちにはこうあってほしいですね〜。約5000人以上収容の巨大な施設で、何度か修復はしているとはいえ、立派に機能し、いまを生きる私達が観劇を楽しめるというのは素晴らしいことだと思います。

 本当に美しい遺跡で、それ自体がまるで舞台装置かのような錯覚を覚えます。同じ観劇でも普通の屋内劇場で見るより、舞台の芸術度が高まる気がします。

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 先週、ギリシア国立劇場(歌劇団)のオペラ「トゥーランドット」を鑑賞。トリノ五輪金メダルのフィギュアスケート選手、荒川静香さんの演技の楽曲として使われ、日本でもすっかりメジャーになったプッチーニ作曲のオペラです。

 オペラの華やかな舞台や演出は遺跡に映え、幻想的な雰囲気さえ生まれます。音響なども現代の建築並みに優れているので、歌手の歌声が朗々と響き渡ります。またギリシアの夏は曇り空がめったにないので、月の美しさをも鑑賞できるのがロマンティックです。

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 世界的なアーティストにとっても特別な劇場で、「以前からここで自分の声の響きを聴いてみたかった!」という願望を持つ人も多いとか。下の写真は2年前のフェスティバルで、カナダ出身のジャズピアニスト&シンガー、ダイアナ・クラ−ルが公演した時のもの。遺跡での演奏はめったにない素晴らしい機会だと興奮気味に語っていました。

 96年には坂本龍一のコンサートも催されました。「イロディオンでの彼の演奏は素晴らしかった。観客の感動がサカモトに伝わり、彼も心から演奏を楽しんでいた」、「メリークリスマス ミスター・ローレンスの演奏が未だに心に残っている」などと複数のギリシア人から言われたことがあります。もう12年も前のことなのに、さすが「世界のサカモト」!私もイロディオンで「メリークリスマス ミスター・ローレンス」を聴いてみたかったなあ…。

 今回のオペラはムリでしたが、ダイアナの際は周囲がかなり明るかったので、演奏中にフラッシュなしで撮影ができました。上演中、フラッシュなしなら写真はたいていOKですが、フラッシュをたいて写真を撮る人もけっこういます。しかし特にクラシック系やオペラの場合は、コアなファンが多いのでフラッシュに対してかなりきつく注意したりします。ギリシア人は声も身振りも大きいので、観光客の方にしてみると、びっくりするでしょう。やはりマナーの点からも原則的に避けたほうがいいです。 

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 ギリシアの夏は芸術の季節。特に6,7,8月は音楽、演劇、現代舞踊、絵画展覧会など様々な催しが目白押しの「グリーク・フェスティバル」(アテネ・エピダヴロスフェスティバル)が開催。開催場所は主に、イロディオン、メガロ・ムシキス(アテネコンサートホール)、エピダヴロス古代劇場、リカヴィトス劇場など。

 下記のHP(英語あり)に演目の紹介やクレジットカードによるオンラインブッキングがあり、席番号まで指定できます。但しチケットを郵送希望(ギリシア国内)の場合は別途4ユーロ(約640円)かかり、電話のみの受付です。

 ネット予約は予約確認メールを印刷して持参し、当日、劇場の窓口でチケットに引換えます。直前に行くと混みますので、余裕を持って開演の30〜40分前に会場に着き、チケット引換えを済ませたほうがベター。あとは空いているうちにトイレにいっておいたり、開演を待ちながらカフェでゆっくりお茶でもという方がスマートです。イロディオンなら明るいうちに遺跡をじっくり眺めるもよし。開演は21時頃で、夏はその直前まで明るいです。

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 またギリシア人にとって遅刻は日常茶飯事なので、遅れてくる人が多いです。なのでめったに定刻には始まりません(^^;大抵15分〜30分開演遅延⇒従って終演も遅れるのは覚悟しておきましょう。

 ギリシア人に言わせるとイロディオンはまだ「新しい方」だそうで…。エピダヴロスの古代劇場は紀元前4世紀頃の建築でいまも現役!約1万4千人を収容でき、現存の古代遺跡劇場としては最高の状態のものと言われています。アテネから約150kmなので、そこで観劇をしたことはまだないのですが、圧倒的な迫力があるらしいので、ぜひそのうち足を運んでみようと思っています。

★グリーク・フェスティバル(アテネ・エピダヴロスフェスティバル)   

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