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ギリシア/アテネ特派員ブログ 旧特派員 有馬 めぐむ

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2008年9月 2日

聖ファヌーリオスのネームデー


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聖ファヌーリオスのネームデー

 先週の水曜日、8月27日は聖(アギオス)ファヌーリオスのネームデーでした。1500年頃、ロードス島の崩れかけた教会から彼の描かれたイコン画が見つかったため、教会も再建され、聖人としてまつられるようになりました。そのロードス島のアギオス・ファヌーリオス教会はこの聖人をまつる上で総本山に当たるらしく、現在も機能しています。彼は2〜3世紀頃、ローマの迫害にあって16歳の若さで亡くなったということですが、依然、詳細はベールに包まれています。教会の前で彼に関する本を買いましたが、最初のページに書いてあったのは「彼は最も詳細がわからない聖人、しかし一番愛されている聖人」とのこと!健康祈願や失くしてしまった大事なものを見つけてくれるなどいろいろなご利益(?)のある聖人ということです。


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 ところでネームデーというのは、ギリシア人にとって誕生日よりも盛大に祝う日。人口の97%がギリシア正教というキリスト教の国なので、ギリシア人の名前のほとんどは聖人の名前からつける慣わしで、同じ名の聖人の記念日=ネームデーを祝います。そして聖人はもちろん何千人もいるわけではないので……必然的に同じ名前の人で溢れかえることになります。女性では圧倒的にマリア、あとはエレーニ、カテリーナなどが多く、男性ではヤニス、ヨルゴス、ニコスなど。
 
 こちらに来て日が浅い時期、友人のマリアと行った店で、彼女の姿が見当たらなくなったため、「マリア?」と呼んだら、10人くらいの女性が一斉に振り返ったのでびっくりしたこともありました。
 親戚、友人知人でも同じ名前の人が多いため、非常にややこしくなることも。で、名字で呼ぼうとするとまた果てしなく長い名字が多く、とても覚えれません(^^;しかも同姓同名もけっこういます。なので「猫を飼ってるヤニス」とか「歯医者のエレーニ」などと呼んで会話することになります。
 
 ちなみにスペインを拠点に活躍した偉大な画家「エル・グレコ」はギリシア人。本名をドメニコス・テオトコプーロスといいますが、スペイン人にも長すぎて覚えにくかったので、エル・グレコ=ギリシアから来た男と呼んだのが定着!私なら「日本から来た女」って呼ばれたらイヤだけどなあ〜。でも一流はそんなこと気にしないんでしょうね。さすがです。


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 さて聖ファヌーリオスの宗教行事に話を戻します。今回はアンベロキピのアギオス・ディミトゥリオス教会に寄ってみました。18時ごろを目安にファヌロピタというケーキを持って大勢の女性ばかり(一応信者?)が押しかけてきました。自家製だったり有名な菓子店のもの、はたまたスーパーから買ってきたものなどたくさんのケーキが聖ファヌーリオスのための臨時祭壇に積み上げられていきます。同時に健康祈願をする家族の名前を紙にかき、大きな杯に投げ入れます。


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 しばらくすると司祭が現れ、紙に書かれた名前を順番に読みあげ、祈りをささげます。そして次に何が起こるかというと……祭壇にある自分のケーキを再びゲットし、切り分けて周りの人に配るのです…が…1回目の儀式が済むとまた第2陣の人々がケーキを置きに行きます。だから第2陣はちょっと待てばいいのに待てない…そしてギリシア人女性はめったに列に並ばない…。みな我先にと祭壇へ突進するので、自分のケーキを見つけて戻る人と置きに行く人の波で、まるで押しくら饅頭!宗教的なイベントとは程遠い雰囲気に…。凄まじい状況で司祭の写真は撮れませんでした。
 「置く人はちょっと待って!」「押さないでよ!」などと怒号が飛び交います。名前を読み上げていた司祭はたくましいギリシア人女性の間でもみくちゃにされ「ペリメネテ〜(待ってください)」と必死に叫んでいますが、誰も聞いちゃいません。私も一緒に行ったアントニアと共になんとか自分達のケーキを奪取してきました…。まさに闘いの場です。
 しかし…誰か整理する係りを置けばいいのに…。並ばせてケーキを取りに行く人、それが済んだら置きに行く人と順番に行えばもっと早く済むのに…。といってもここはギリシア。まず係りの言うことなんて聞きそうもないオバサンたちばっかりです(^^;


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 アントニアが必死に奪還した自家製ケーキを切り分けて、道行く人にもおすそわけします。老若男女みな喜んでもらっていきます。ケーキは基本的に卵やバターは使わず、小麦粉、サンフラワーオイル、オレンジ果汁やオレンジピール、ナッツなどで焼き上げるあっさりしたパウンドケーキ。好みで具は違うそうですが、材料は7もしくは9種類と言うルールを守るのが慣わしだそうです。半分は家に持って帰り、家族で分けていただきます。


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 聖ファヌーリオスはこの日が一番メインに祈られますが、年間を通して何か願掛けがある人や、大事な指輪などを失くした人はケーキを焼いて教会へ行き、聖ファヌーリオスに捧げて祈ります。今回は妊婦さんもけっこういて、彼は安産祈願もお願いされているようです。もう何でもアリ…。まるで願いことの聖人ですね。「若い聖人だからお年寄りの聖人たちよりたくさん仕事があるんじゃないの」とアントニア。たいへんですね、聖ファヌーリオスさん(^^;
 ちなみに失くしたものが出てくるという願掛けは、彼のイコン画が長い年月を経た後に発見されたことに由来しているそうです。
 
 アンベロキピのアギオス・ディミトゥリオス教会は比較的、都心にある教会で地下のスペースに聖ファヌーリオスをまつってあります。今回、仕事帰りだったため、アンベロキピの教会に行かざるを得なかったのですが、人の少ない別荘地のマティなどでも聖ファヌーリオスをまつる教会があるそうで、ごくごく平和的に儀式が行われるらしいです。来年はぜひ荘厳な雰囲気の中でレポートをしたいと思います〜。
 

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カテゴリー 文化・芸術・美術
2008年9月 2日
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      有馬 めぐむ
      アテネ在住ライター。ギリシャ政治経済、社会事情、観光情報などを日本の新聞、雑誌、ウェブサイトに執筆。たまにラジオ出演も。共著に『お手本の国のウソ』(新潮社)、『世界が感嘆する日本人』、『世界で広がる脱原発』(共に宝島社・原稿提供)。こちらのサイトでは、主にギリシャ国内の旅行や、アテネのイベント、レストラン情報などをお伝えしています。

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