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ギリシア/アテネ特派員ブログ 旧特派員 有馬 めぐむ

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2009年1月23日

聖ネクタリオス修道院へ


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聖ネクタリオス修道院へ

 先週に続いてエギナ島のお話です。聖ネクタリオス修道院を訪ねました。友人のお祖母さんが20世紀にギリシア正教において聖人となった聖(アギオス)ネクタリオスに縁があったということで、エギナ島に行くなら願掛けをしてほしいと頼まれたのです。港からタクシーに乗り込み、山の中に佇む修道院へ向かいました。15分くらいかかったと思います。向かう途中、山の中腹には写真のようにたくさんの小さな教会があるのですが、ここは昔、島が海賊に攻められそうになると、人々が大事なものをここに隠して自分たちもこもるために建てられたそうです。


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 下の写真が聖ネクタリオスの修道院。近くまで行くとカメラに収まらないのでかなり手前から撮りましたが、かすみがかかっていてきれいに撮れませんでした。それにしても見事な建築物です。
 聖ネクタリオスは1846年にトラキア地方のシリヴリアという小さな村で生まれました。彼は5人目の子供で名はアナスタシオス。家は貧しかったため学校に行くことができず、コンスタンティノープルに渡ります。親戚のタバコ工場で働きながら、学校へ通いました。その後、修道士になりたいと決意、ヒオス島へ。新しく建設された修道院に入りました。勉強が好きだった彼はそこの図書館で寝る間も惜しんで本を読んだそうです。77年にネクタリオスと名を改め、ヒオス島の篤志家のおかげでアテネ大学で勉強することになりました。


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 85年に卒業するとエジプトのアレクサンドリアへ。アレクサンドリア総主教庁で比較的若くしてどんどん高い地位に登り詰めたため、彼を妬む人々も多く、根も葉もないスキャンダルをたてられます。そしてアレクサンドリアを追われた彼は失意の下にアテネに戻りますが、1年間は職につけず、その日暮らしをする有様でした。やっとハルキダで教師の仕事を得て、教壇に立つ日々が続きました。しかし95年、スキャンダルがでっちあげだと証明され、アテネに戻り、ある学校の学長となります。学長を長い間、務めましたが、宗教活動の現場に戻りたいという意志が強く、1908年にエギナ島に渡り、学長時代に建設に着手したこの修道院で、残りの生涯を過ごしました。


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 12年間、この修道院で過ごしましたが、1920年にエギナ島からアテネの病院に運ばれ74歳の生涯を閉じます。埋葬された数年後、遺骨をまつるため墓を開けたのですが、遺体が埋葬された時のそのままであったとか。そして素晴らしい芳香が漂っていたといいます。約20年の間、何度も墓を開けてもその状態が繰り返されたため、53年に遺骨をおさめることをあきらめ、遺体をそのまま修道院に安置したということです。そして61年にギリシア正教会において彼を聖人とすることが決まり、まつられることになりました。今でもここには彼の頭部が安置されています。頭だけを安置してしまうの!とその発想にちょっとびっくりしましたが、下の写真がその頭部です…。※宗教施設内部は撮影がOKというのはめったにありませんが、フラッシュなしなら撮っていいかと聞いたら珍しくいいと言われたので撮影しました。でも勝手に撮ると怒られますので、気をつけてくださいね。 


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 修道院内はかなり広い敷地で小さな建物がいくつもあります。聖ネクタリオスの棺も安置されていて(写真左下)、信じている人が耳をあてると何か聞こえるそうです。私もあててみましたが…ビミョーなカンジでした…。他の聖人たちは古い時代の人々で、イコン画などでしか姿を確認するものはありませんが、聖ネクタリオスは20世紀に亡くなった聖人だけあって写真(右下)が残っています。


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 友人のお母さんが重い病気で手術を受けるため、代理で健康祈願をお願いしてきました。ややこしいのですが、その友人のお母さんの継母だった女性が幼い頃、母親を亡くしました。彼女の家は5人兄弟姉妹で、みな幼かったため、父親は途方にくれていたらしいのですが、聖ネクタリオスに諭された女性が継母になって育ててくれたのだそうです。そして成人して彼女もやはり2人兄妹の継母になったそうです。聖人と呼ばれる人たちは歴史上でしか存在しないような気がしていましたが、「最後の聖人」(後にも続く方がいるらしいですが)と呼ばれた聖ネクタリオスに関わる話が、まだ身近に残っていたことはとても興味深かったです。

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2009年1月23日
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      有馬 めぐむ
      アテネ在住ライター。ギリシャ政治経済、社会事情、観光情報などを日本の新聞、雑誌、ウェブサイトに執筆。たまにラジオ出演も。共著に『お手本の国のウソ』(新潮社)、『世界が感嘆する日本人』、『世界で広がる脱原発』(共に宝島社・原稿提供)。こちらのサイトでは、主にギリシャ国内の旅行や、アテネのイベント、レストラン情報などをお伝えしています。

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