小劇場でお芝居観劇

公開日 : 2009年02月06日
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 小さな劇場の公演ですが、人気のお芝居を観て来ました。1914年に初公演以来、何度も上演されているコメディタッチのお芝居で、去年から23度目の公演がスタート。週に6日公演なのに平日も大入りで、ことしが2年目のロングラン。ミュージカル仕立てですが、昔ながらの雰囲気なので「お芝居」という方がぴったりくるカンジ。

 ストーリーは20世紀初頭、島で素朴な暮らしをしていたひとりの男が、大都会アテネのミドルアッパークラスの家庭に居候することから始まる喜劇です。

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 メトロの駅アンベロキピの近く、キフィシアス通りの「セアトロ アネシス」で上演。こじんまりとした劇場です。観客は中高年世代が大半。きっと一昔前の時代設定のお芝居にノスタルジーを感じるのでしょうね。でも学校から子供たちが集団で観劇に来ていて、2階席はほぼ占領されていました。

 作家グリゴリオス・クセノプロスは小説も多く書きましたが、この作品は最初から演劇のシナリオとして書かれました。島から来た純粋な男の目線を通すと、当時のアテネのお金持ちの暮らしぶりはいささか乱れていたので、あるべき家族の姿に正していくようなニュアンスがこめられています。でも基本的に単純明快なストーリーで、どの世代でも楽しめるようなお話でした。

 お芝居のタイトルは「ト フィオロ トゥ レヴァンデ」…ギリシア語とイタリア語が混じっているのですが、直訳すると「東の風のラヴェンダー(花)」。意味がとおりませんが、イオニア海の島・ザキントス島のことなんだそうです。最近ではウミガメ保護のボランティアでも有名な島。ギリシアから見るとザキントス島は西に位置するので、なんで東の風?と思いましたが、ヴェネツィア共和国など昔からイタリア領だった時代が長く、イタリアの文化や言語などが色濃く残っているのだとか。イタリアから見ると東に位置するので、こういう別称があったそうです。歴史上、多くの国によってめまぐるしく支配権が入れ替わりましたが、1864年にギリシア領となりました。

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 またザキントス島は昔から何度も大地震に見舞われ、記録として残っている中では1513年にかなり大規模な地震が起きたとか。17〜19世紀にも大きな地震が繰り返し起こり、20世紀に入ってからは1953年の地震でも壊滅的な打撃を受けました。

 人気俳優スピロス・パパドプロス扮する主人公ニョニョス・ニョニャキス(笑える名前ですがニョニョスはザキントス島によくある名前らしいです)は、地震が怖くて怖くて仕方がなく、アテネの親戚を頼ってやってくるのです(アテネでも地震は起こりますが…)。登場人物は弁護士でお金持ちなご主人、アテネのハイソな家柄出身の気位の高そうな奥さん、おばあちゃん、恋に夢中な年頃の双子姉妹とその彼氏たち、ニョニョスに恋するメイド、パトラから押しかけてくるご主人の愛人など。彼らが巻き起こす騒動の数々を、田舎者とはいえ機知に富むニョニョスがうまくさばいていきます。

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 私のギリシア語のリスニングレベルでは細かいジョークはわかりませんでしたが、お芝居はレッスンのCDのようにクリアに発音するのと、コメディ的要素はやっぱり世界共通なので十分楽しむことができました。当時の家庭の食事風景や服装など様々な風俗の再現が面白く、20世紀初頭のアテネの上流家庭ってこんなかんじだったんだ〜と思いを馳せることができ、とても興味深く観劇しました。

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