My Life in Ruins &ギリシャ関連映画情報

公開日 : 2009年05月28日
最終更新 :

 トム・ハンクスを含む「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」の制作チームが再びギリシャネタの映画をプロデュース。タイトルは「マイ・ライフ・イン・ルーインズ」(ギリシャ語タイトル「エロタス・アラ・エリニカ」)。ツアーガイドとしてギリシャで奮闘するヒロインが、恋や仕事を通して自分の新しい生き方を模索するストーリー。主演は「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」でヒロインを演じたギリシャ系女優ニア・ヴァルダロス。監督は「デンジャラス・ビューティー」などを手がけたドナルド・ペトリ。ギリシャでは昨日 5月27日より公開され、昨夜、観てきました。

 TV番組はもちろん、有名映画会社でもギリシャの遺跡で撮影許可をとるのは大変難しいのですが、この映画はギリシャの考古学委員会の認可を受けてアクロポリスやローマン・アゴラ、デルフィなどで撮影されました。遺跡ロケの際にはギリシャ文化相のミハリス・リアピス氏(当時)まで登場。政府までがギリシャのイメージアップのために、この映画にかけていた期待がよくわかります。今までギリシャをメジャーにしてきたニアの功績もあったのでしょう。  

 アテネに来てメガロ・ムシキスで制作発表記者会見を開いたニアは「“この映画を観た人は皆ギリシャに行きたくなるように!”という気持ちでがんばりました」とコメントしていました。日本公開予定はまだわかりませんが、アメリカなどでヒットすればきっと公開されるのではないかと思います。

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 ちなみにギリシャは夏になると雨が降らないので映画館まで野外です。たまにクルマなどの雑音が気になったりもしますが、外で冷たい飲み物でも飲みながら映画を観るのはなかなか気分のよいものです。

 映画の感想は…単純明快なストーリーですが、まあ面白かったです。遺跡が美しく撮れていて、ギリシャの魅力も存分に紹介しつつ、ダメダメな部分も描いていて、ギリシャファンはもちろん、ギリシャでうんざりした人なんかにも面白いかも。グリーク・メンタリティもばっちり描かれていて…ほろりとくるシーンもあり…いろいろ語りたいことはありますが、これから観る方も多いと思うので、多くは語らない方がいいですね。

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「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」(My Big Fat Greek Wedding 02年)は、舞台はアメリカですが、ギリシャ系移民のヒロイン・トゥーラとアメリカ人男性の結婚にまつわる異文化カルチャーショックを描いています。国際カップルが多くの困難を乗り越えていくストーリーは笑いあり、涙ありで全てのカップルの共感を得ると思います。

 主演のギリシャ系女優ニア・ヴァルダロスはもともと自分の経験を元にした1人芝居を演じて評判になっていたところ、トム・ハンクスの妻で同じくギリシャ系の女優、リタ・ウィルソンが芝居を観て感激。トム・ハンクスも大いに共感し、自分の映画制作グループでの制作を申し出ました。

 トム・ハンクスの義父とゴルフ仲間だというLA在住のギリシャ人の友人によると、低予算制作で派手な宣伝もなく、小さな映画館のみで上映されていたにも関わらず、口コミで大ヒット。アメリカでラブストーリーとしては「タイタニック」に次ぐほどの大ブレイクとなりました。映画なので大げさに描いていますが、相手の話はあまり聞かず一方的にしゃべりまくるギリシャ人(笑)、なんでもかんでも(着物まで!)ギリシャ語が語源だと自慢する(いるいる!)トゥーラの父親キャラなど、ギリシャ人気質を知るにはもってこい(?!)の映画。ヒロインが健気にがんばる姿は国を超えて多くの人々の感動を呼んだ作品です。続編のTVドラマも制作されました。

 またギリシャといえば古代史ですが、最近のものではフランク・ミラー原作の「300」(07年)。ペルシア戦争のテルモピュライの戦いを描いています。紀元前480年、スパルタ王レオニダスの元に大帝国ペルシアの使者が来訪、スパルタに服従を要求しますが、レオニダス王はこれを拒否、わずか300名の軍勢で100万のペルシア軍を迎え撃つという史実に基づくストーリー。レオニダスを「レオナイダス!」と叫ぶところがちょっと興ざめしますが^^;なかなか面白く仕上がっています。スパルタやテルモピュライにはこの偉大なる王の像が今日も佇んでいます。「エフィアルテス」という人物が登場しますが、彼の名はギリシャ語で「悪夢」の語源でもあります。なぜ悪夢なのかは映画を観て確かめてください。

 ブラピやオーランド・ブルーム主演の「トロイ」(04年)は原作との相違が批判されまくりましたが、古代ギリシャのトロイア戦争を描いています。

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 島を訪れるなら、やはりメリル・ストリープ主演「マンマ・ミーア!」(08年)。全世界でヒットしたミュージカルの映画化で、日本でもことし初めに公開されたのでご覧になった方も多いと思います。これぞギリシャの島!といわんばかりの観光アイコンのような風景が満載。スコペロス島やスキアトス島で撮影され、撮影現場を訪れるファンも多いとか。

 またイギリスで大ベストセラーとなったルイ・ド・ベルニエールの小説を映画化した「コレリ大尉のマンダリン」(01年)。ニコラス・ケイジ主演で、第2次世界大戦中、島を占領しに来たイタリア人大尉と島の娘の恋愛を描いています。ケファロニア島の青く澄んだ海やオリーブの木々など、豊かな自然が描き出されています。

 世界遺産メテオラを訪ねる人も多いと思いますが、007の「ユア・アイズ・オンリー」(81年)の舞台となっています。3代目ボンド、ロジャー・ムーアの時代なので古い映画ですが、メテオラの修道院がギリシア人富豪の隠れ家という設定。見事な奇岩と建築物を堪能できます。コルフ(ケルキラ)島のシーンもあります。

 私のお気に入りは「タッチ・オブ・スパイス」(ポリティキ・クジーナ 03年)。主人公はアテネの大学で宇宙物理学を教える学者ファノス。幼い頃、生き別れとなった大好きな祖父との回顧録を軸に、現在と過去、コンスタンティノープル(イスタンブール)とアテネを行き来しながら展開されるストーリー。全てのエピソードに伝統的な料理やスパイスが絡み、彩り鮮やかな食事風景も見物です。ギリシャとトルコの複雑な歴史、政治事情も描かれています。ギリシャ人監督タソス・ブルメティス自身の経験に基づくストーリーで、彼は脚本も担当しギリシャ国内では空前の大ヒット。テッサロニキ映画祭10部門制覇、他にも数々の受賞、欧州ベスト映画トップテン入りも果たしました。

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 現代史、社会派の映画といえば、黒澤明監督と親交があったというギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督の作品。「ユリシーズの瞳」(95年)、「永遠と一日」(98年)、「エレニの旅」(04年)など、カンヌ映画祭で審査員特別グランプリやパルム・ドールを獲得しています。「子供が寝つかないときに見せるといい」などと言われるくらい^^;無音や同じシーンが続いたりしてやや難解ではありますが、世界的な評価は非常に高いです。ちなみにこの巨匠はマティのビーチでよく泳いでいて、難しい映画と違ってすごく気さくな方です。

 また古い名画では、なぜか日本人は音楽だけは知っているメリナ・メルクーリ主演「日曜はダメよ」(60年)や、アンソニー・クイン主演で映画化した「その男ゾルバ」(64年)。「マイ・ライフ イン・ルーインズ」でも両方ともちょこっと登場しています。

 さてギリシャで日本の映画といえば、黒澤明監督がなんといっても有名。DVDレンタルショップにも多くの作品が並べられています。スタジオ・ジブリ作品もたくさんあります。北野武監督作品も人気でしたが、最新作「アキレスと亀」がテッサロニキ映画祭の賞をとったこともあり、ますます話題性が高まっています。 

 アカデミー外国語賞を獲得した「おくりびと」もこちらで上映されました。私は試写会に行くことができたのですが、本当に素晴らしい映画で、よく笑いよく泣きました。試写会はアカデミアのけっこう大きな映画館が満場になるほどたくさんのギリシャ人がきていて、ジョークもすごくウケていましたし、すすり泣く声も多かったです。隣のギリシャ人女性が感動して泣いていて、顔がぐしゃぐしゃになっていたので、思わずティッシュをあげてしまったほどでした。

 遠く離れているギリシャと日本ですが、笑うツボも泣くツボも同じです。映画を機にお互いの国に興味を持ったり、旅を深めるきっかけのひとつになるといいと思います。

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