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ギリシア/アテネ特派員ブログ 旧特派員 有馬 めぐむ

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2009年6月20日

新アクロポリス博物館、ついにオープン!


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新アクロポリス博物館、ついにオープン!

 ついにギリシャの悲願であった新アクロポリス博物館がオープン!以前、地球の歩き方の「旅のクチコミ」コーナーでも開館日をご紹介しましたが、無事に予定どおり本日6月20日、開館の式典が行われます。ただ開館といっても今日は各国から招かれた国賓クラスの方々のみで、21日から一般公開となります。よって今夜、国営テレビで18時から23時まで館内の様子などがくまなく放映されます。
 以前にアクロポリスにあった旧博物館の彫刻の他、未公開作品など計4千点を展示します。中にはアクロポリスを見渡せる素敵なカフェやレストランもあります。
 写真は昨年、グランドフロアのみをオープンしていた時に訪れた際のもの。


mus2.jpg

 
 21日からの一般公開も23日までは入場制限があり、チケットはネット予約のみであっという間に売切れてしまいました。なので今夜のテレビ放映を踏まえ、しっかりと見所をおさえて24日に行ってきます。もちろんその様子はまたご報告しますね。
 新博物館の下に見事な遺跡が出て、それを活かしたデザインにしたりといろいろ紆余曲折あったようですが、何度も開館延期を繰り返していたので「本当に開館するんだ〜」となんだか信じられない気持ちです。


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 ギリシャ政府はこの新博物館の完成を機に、イギリスの大英博物館にあるパルテノン・マーブルなどの返還を世界に訴えていきます。イギリスではエルギン・マーブルとも呼ばれる、パルテノン神殿から略奪された大理石の彫刻群。大英博物館に大々的に展示されていますので、ご覧になった方も多いと思います。私もロンドンに滞在していた際は何度か鑑賞しました。
 
 これらは元々アクロポリスのパルテノン神殿を飾っていた紀元前5世紀の大理石彫刻。イギリスの第7代エルギン伯爵トマス・ブルースによって持ち去られました。当時、彼はオスマン・トルコ帝国駐在の英国特命全権大使で、コンスタンティノープル(イスタンブール)に赴任すると、特にパルテノン神殿に興味を持ち始めました。そしてどうしても欲しくなり、オスマン帝国の当時のスルタンに許可を得て、レリーフの大半を破壊してイギリスの自宅に持ち帰ってしまったのです。当時のギリシャはオスマン帝国に占領されていたので、ギリシャ人は黙って見ているしかなかったのです。しかしこの行為は、当時のイギリス国内でも大きな非難を受け、後に大英博物館へ寄贈されたというのですが…。

 
 1970年代からギリシャ政府はことあるごとにイギリスにエルギン・マーブルの返還を求めてきました。以前、少しご紹介したギリシャ映画「日曜はダメよ」の主演女優メリナ・メルクーリは、当時、文化相としてもこの活動を精力的に行ってきた人です。メトロ「アクロポリ」駅のホームには、パルテノン神殿と彼女の大きな写真パネルがあります。
 しかし大英博物館は毎回これを拒否。イギリス政府はいつものらりくらり。まあ“大英”博物館とはいえ、大半はギリシャとエジプトからの展示物が目玉なので、ギリシャの返還に応じれば、エジプトなどの国々にも返還しなくてはならず、大英博物館は空っぽになってしまうかも?!そんな理由からか返してくれません。

 
 私はイギリスの文化や歴史は大好きですし、敬意を抱いてもいますが、これはひどい話だと思います。優れた芸術、世界遺産はその場所にあるからこそ、より輝きを放つもので、紀元前からアクロポリスの丘に建っていた美しい神殿の一部を破壊して持ち去るというのは、人としてあるまじき行為です。しかも時を経て、返還を要求されても返さないとは…。もし京都や奈良の歴史ある建築物や仏像が壊されて持ち去られ、他国の博物館に展示されていたら、悲しいですよね。


mus1.jpg


 またイギリス側は今まで「ギリシャに返したって保管する場所がない。しかるべき場所が用意されたら返還する」と言ってきました。新博物館開館にあたって「ギリシャには場所がない」という言い分は、もう通用しないこととなります。
 しかし今回の新アクロポリス博物館の開館にあたって大英博物館側が言ってきたこと!それは…「今回のオープンにあたってパルテノン・マーブルを貸し出して展示させてあげてもよい。しかしその代わり、今後一切返還要求はせず、これらの彫刻群は永久に大英博物館に所有権があるという契約書にサインをせよ!」…。これではエルギンのやったことと根本的には違いがないですよ〜。

 
 04年アテネ五輪の際は、イギリス国民の間からも返還運動が起こったり、今回もイギリス人の有名ジャーナリストでさえ、返還の実現を支持する長い評論をギリシャの新聞に寄せているというのに…。EU会議でも、ほぼ全ての加盟国が返還要求に賛同を示しているこの問題。やはり外国からのプレッシャーしかないでしょう。日本でもこの事実が多くの人に知られ、世界的に世論が高まり、1日でも早くこれらの彫刻群が故郷に戻ることを願ってやみません。今回が世界に訴える最大のチャンスと思われます。
 
 このパルテノンの彫刻群は全長約160mでしたが、エルギンが壊して持ち去った部分が約75m、こちらには半分が残っています。パルテノンだけでなく、エレクティオンなど他の建造物からもそれぞれ半分が壊されて略奪されました。新博物館では、持ち出された彫刻のレプリカをつくり、ギリシャに残った彫刻と並べて設置しました。本物は長い時の流れの中で趣のあるベージュに変色していますが、レプリカは真新しく真っ白です。この展示によっても、イギリス側が返還に応じてくれないことを世界の人々にアピールしていくというねらいです。

 
 ギリシャの文化相アンドニス・サマラス氏は「この美しい大理石の彫刻は、イギリスのものだとかギリシャのものだとかいう次元で論争するべきものではない。これは世界の文化遺産だ。だからこそ元々あった場所に戻されなければならない。そのためにも私たちはできるだけ世界中の人々に素晴らしい文化遺産を見てもらうため、ことし年末まで博物館の入場料を1ユーロにする」と語っています。


 
★新アクロポリス博物館

アクセス   メトロ ライン2(レッドライン)「アクロポリ」駅前
開館時間    8時〜20時 最終入場は19時30分
休館日     月曜日、祝祭日
入場料    2009年6月24日(水)〜12月31日(木)まで入場料は1ユーロ!

公式ホームページへはこちら から(英語あり eチケット購入可)

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カテゴリー 文化・芸術・美術 見所・観光・定番スポット
2009年6月20日
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      有馬 めぐむ
      アテネ在住ライター。ギリシャ政治経済、社会事情、観光情報などを日本の新聞、雑誌、ウェブサイトに執筆。たまにラジオ出演も。共著に『お手本の国のウソ』(新潮社)、『世界が感嘆する日本人』、『世界で広がる脱原発』(共に宝島社・原稿提供)。こちらのサイトでは、主にギリシャ国内の旅行や、アテネのイベント、レストラン情報などをお伝えしています。

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