ジャズクラブから煙が消えた!

公開日 : 2009年10月24日
最終更新 :

 先日、アテネのジャズクラブ「ハーフノート」に行ってきました。アテネにはオモニア広場周辺にも古いクラブが、また再開発されたガジ辺りにもクラブやライブハウスがけっこうありますが、「ハーフノート」は約30年前から第1墓地の近くで営業している老舗。ジャズ以外にもボサノバやタンゴなどいろいろなジャンルの公演もあり、世界中から有名なアーティストがやってきます(下の写真は数年前に撮ったもの)。

 ライブに行くのは好きなのですが、こういった場所は今まであまりにもタバコの煙がすごいので、タバコを吸わない私にはそれが難点でした。ギリシャでは7月1日に「屋内の公共の場所での禁煙」を定めた禁煙法が施行されました。すごく嬉しかったのですが、ギリシャは屈指の喫煙国。しかもルールにはNO!というのが大好き(?)な反抗心の強い国民性なので、禁煙法は「絵に描いた餅」になるのでは...と思ってました。夏の間、カフェやレストランもテラス席、音楽シーンも野外なのでホントに守れているのかチェックできませんでした。

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 その夜のライブはタンゴ。あまりにも有名な「リベルタンゴ」などの作曲家・バンドネオン演奏者だった故アストル・ピアソラとコンビを組んでいたピアニスト、パブロ・ジェグラーが、若いメンバーと共にトリオを結成してアルゼンチンからやってきました(下のポスターの写真)。夜10時半スタートですが、トラブルもあったりするので10時にはさっさと到着。入ってすぐ「あっタバコの匂いがしない!」と思いました。以前、灰皿のあったテーブルには代わりに禁煙マークが。しかしまだ席に着いているのはごく少数、ギリシャ人はギリギリもしくは開演を過ぎてからやってくるので、まだまだあなどれません。しかし開演予定時刻を5分ほど過ぎて、そろそろアーティストが入場かという時になっても、誰もタバコ吸ってません。「おお〜」と感動しつつも、きっと音楽に酔いしれ、アルコールがすすんだら、盛り上がって「もうどうでもいいよね、解禁!」モードになり、吸い始めるのではと疑っていたのですが...そのうち、素晴らしい演奏に惹きこまれて私もすっかりタバコの件を忘れてしまいました。

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 ハーフノートの料金は3つのエリアに分かれており、ステージ近くのいい席、エリアΑから順に40、Β35、Γ30ユーロですが、月曜日はなんとΑΒΓ全てのエリアが25ユーロになります。バーエリアも30ユーロが20ユーロに。なので予約順にAエリアから埋まります。早めに予約したので、ピアニストの指使いが真近で見えるほどステージ近くのΑエリアの席で25ユーロ(ワンドリンク付)はすごい得した気分。

 ものすごい大変そうな指使いなのに流れるようなピアノの調べ、現在はあまり生産されないという貴重なバンドネオンという楽器の、泣きの入ったなんともいえない哀愁漂う音色にうっとりしておりました。そして12時ごろ、第1部が終了。2杯目の飲み物をオーダーして一息ついたところでハっと気付きました。誰もタバコ吸ってない!ただその代わり、続々と外に出て行く人がいるので、「あ〜!ちゃんと外で吸ってるのね〜」と感動。

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 日本や北米、他のヨーロッパの国々ではごく当たり前の禁煙法ですが、ギリシャでは市役所などでもタバコを吸う職員がいたくらいで、施行スタート日もニュースではカフェやレストランのオーナー自ら喫煙している様子などが放映されていたので、ギリシャではムリ...と思っていました。禁煙法に限らず、タクシーの相乗り禁止など今まで施行された法律でも根付かないものはたくさんあるのです。けれど、これはどうやら成功か?!

 第2部が始まって深夜を過ぎても、かなりアルコールがすすんでも、タバコを吸う人は皆無でした。ちなみに下の写真は数年前に行った際に撮った写真。この映像ではあまりわかりませんが、まさに紫煙渦巻くジャズクラブ。その場にいるとかなり煙でかすんでおり、ステージがよく見えないほどでした。

 今回の禁煙法では、70平米以下の小さな店舗では、オーナーが喫煙か否かを選べる(喫煙にした場合、未成年禁止)ということになっていますので、全部クリアになったわけではありませんが、とにかく嬉しい!今までどこへ出かけるにしても、長い夏はテラス席なのでいいとして、寒い間の外食やクラブは本当に煙がつらかったです。とりあえず現時点では、ここ最近行ったレストランやジャズクラブでは禁煙が守られていたので、今後は心おきなく出かけることができそうです♪将来的にもきちんと守られることを祈りつつ...。

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 ライブも本当に大満足でした。ピアニストのパブロさんはもうけっこうなお歳だと思うのですが、終わったのも1時ごろとずいぶん時間の長いライブ。ピアソラとコンビを組んでいただけあって、クラシックやジャズの要素を散りばめながら奏でられた曲の素晴らしかったこと。最後に演奏された「リベルタンゴ」はものすごい迫力!観客も皆、「待ってました!」という感じでした。アルゼンチンの宝であった天才ピアソラの楽団に入るのは、当時ものすごい名誉だったらしいですが、そのエピソードを実感させるパフォーマンスでした。

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