2012年ギリシャの復活祭

公開日 : 2012年04月16日
最終更新 :

 毎年日付が変動しますが、ことし2012年は西方教会より1週間遅い4月15日がギリシャ正教の復活祭(パスハ)でした。ギリシャにおける最大の宗教行事です。今までも何度かその様子はご紹介しましたが、ここ数年、復活祭にはギリシャにいなかったので、ことしは久々にギリシャの復活祭らしい週末を過ごしました。復活祭直前の聖なる1週間は普段、教会へ行かない人も毎日のように教会へ出かけます。テレビをつけても宗教色の強い番組の放映が多くなり、厳かな雰囲気になってしまうほどです。政教分離の日本の感覚からすると驚くほど、国全体の行事がギリシャ正教と密接に関わっていることを実感します。

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 4月13日は聖大金曜日(メガリ・パラスケヴィ)。十字架にかけられ亡くなったキリストが棺に納められ埋葬された日でキリストの葬儀なので、悲しむべき日です。キリストの棺を模した四角いテーブルのような形の枠に花をびっしりと飾って祈りを捧げます。これを「エピタフィオス」と呼び、夜になると更に多くの人が集まり、エピタフィオスを担いで辺りを練り歩きます(下の画像)。近所のアギア・パラスケヴィ教会へ行きました。アテネ周辺でも指折りの美しい教会と言われています。海軍の吹奏楽団がきていました。

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 キリストの復活は日曜日なので、土曜日の夜から日付の変わる瞬間を目指し、キリストの復活を祝うため老若男女、教会へと向かいます。人々が教会の前に集まる中、23時45分、司祭が聖火を灯して教会内から出てきます。皆キャンドルを持っていくので、次々にとなりの人から人へ火を移していきます。あっという間に全員の手に聖火のキャンドルが灯された状態に。

 そして日付が変わった瞬間、、「フロニャ ポラ!(おめでとう)」、「フリストス アネスティ!(キリスト復活)」と言いながら祝福し合います。花火も盛大に打ち上げられ、すっかりお祝いムードとなります。ヒオス島の打ち上げ花火戦争は有名です。

 キャンドルに灯した聖火は家に消えないように大切に持ち帰り、玄関の前でドアの上の部分に十字をを3度描きます。ことしは風が強かったので火が消えてしまい、何度も道行く人同士が再び灯しあうという光景が見られました。

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 この日は節食期間が終わる日となります。教会から帰ると、羊のレバーや腸、ハーブ、お米などをコトコトと長い間煮込んだマギリッツアというスープを食べるのが習慣。とても胃にやさしく滋味に溢れた味がします。好き嫌いが分かれる味ですが、私はけっこう好きです。

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 赤く染めたゆで卵をお互いに手に持って軽くぶつけて割ってから食べます。イースターエッグはいろいろな色に染めたり絵を描いたりしますが、ギリシャでは赤がメイン。お父上が司祭の友人に聞いたことがありますが、ギリシャ正教においてはキリストの血を意味するとか、キリスト復活後、彼を迫害した人々に対して使徒が放った言葉に由来しているとか、諸説あるようです。

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 復活祭当日はサマーハウスのあるマティ(アテネから約25km)へ行くことになりました。ラムの丸焼きを食べるのが代表的な食習慣ですが、ラム肉を解体したものをオーブンで焼いたりして食べることも多いです。ココレッツィと呼ばれる羊の臓物を串に巻き付けて焼く料理も有名です(下の画像)。香ばしくちょっとほろ苦い味がして美味しいです。ココレッツィだけは近くのプシスタリア(肉料理専門タヴェルナ)の「ヴァシリス」で調達。受け取りにいった午前中から、店内や外のテラス席もラムを焼く煙でもうもうしていました。ご主人のヴァシリスさんは90歳近いと思いますが、当日は気合が入っており、ココレッツィの焼き加減を見張っていました。

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 復活祭の日はいいお天気で、青い空、青い海がきれいでした。海辺で遊んでいる子供たちがたくさんいましたが、早々に泳いでいる人もいました。陽射しは強いのですが、まだ水温はかなり低いと思うのだけれど...^^; 澄み切った水面を眺めながらのカフェタイムは清々しかったです。

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 例年、旅行や帰省など、多くのギリシャ人がアテネから脱出する復活祭の休日ですが、ことしは移動する人々が前年比40%も減ったそうです。経済危機に伴う収入の激減も原因ですが、ガソリンの価格の急騰も大きいと思われます。先日ガソリンスタンドに行った際は、1リットルあたり1.85ユーロ。2ユーロ近いスタンドも増えています。

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