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スペイン/バルセロナ特派員ブログ 岸田 早希子

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2017年7月14日

バルセロナでAIRBNBを使う前に少し考えてほしいこと


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バルセロナでAIRBNBを使う前に少し考えてほしいこと

ヨーロッパの本格的なバケーションシーズン到来で、バルセロナは例年にないにぎわいを見せています。
あまりに観光客のが多すぎる中心街から足が遠ざかるようになって久しいのですが、
先日ふとこんな記事を目にしました。


Bye-bye locals: Tourists are taking over Europe's city centres


記事の中でゴシック地区で25年間暮らしていたアパートが投資家に売りに出され強制退去、
周辺の家賃が高くなりすぎたため住み慣れた地区を離れざるを得なくなった76歳のおじいちゃんのことが触れられていました。

読み終えて観光客としてこの街の魅力に取りつかれ何度も訪れた"元観光客"であり、13年間住み続けている"バルセロナ市民"としてとても複雑な気持ちにならざるを得ませんでした。


バルセロナは気候もよく、世界遺産もたくさんあり食べ物もとてもおいしく観光地としてはとても魅力的な場所です。
なので世界中から観光客が集まるのは、かつてその一人だった立場としてもとてもよくわかります。

私が足しげくバルセロナに通っていた?ころはそれほど観光客はみかけることはなかったのですが近年LLCなどの発達によって、観光客数が短期間に大幅に増えました。急激な変化についていけず、ホテルの数も足りなくなり価格も数年で大幅に値上げされたようです。


ホテル不足の解消・価格の高騰を解決する手段として、バルセロナを訪れる人たちにホテルの代わりに使用されるようになったのがAIRBNBなどのプラットフォームを使用した"民泊"です。ちなみにバルセロナ市では(隣のホスピタレット市も)市から認可を得た建物しか民泊"として営業できないことになっています。認可なしに営業をおこなうことは違法です。(最高で30000ユーロの罰金が課されます)旅行者に"部屋貸し"をするためにも民泊"としての認可を受けることが必要です。

ほんの5年ほど前までは民泊の利用者もそれほど多くなく、バルセロナ市から正式に認可を受け登録することは比較的簡単だったようです。ただここ数年、AIRBNBをはじめとするプラットフォームの発達により手軽に旅行者に貸し出せるようになったこと、そしてビジネスとしても通常の賃貸よりも利益率が高いことと相まって、今まで賃貸に使用していた持ち家を民泊"として貸し出す人たちが急激に増えました。


そのせいもあり、バルセロナ市内では賃貸の家賃がここ1-2年で極端に高騰しました。記事の中のおじいちゃんのように長年住み慣れた場所を離れざるを得なくなっている人もたくさんいます。記事の中にありますが、観光名所として知られているゴシック地区の人口は2006年から2015年の間に一万人ほど減りました。現在ゴシック地区にある住居の63%が観光客用の短期滞在用として使用されています。
サグラダファミリア近くのアパートを借りていた友人の一人も、急に"大家の都合'で退去させられ、一カ月後に1.5倍の値段で貸しに出されていたのをみかけたそうです。


これ以民泊が増えると市民の生活に悪影響が出かねないと判断のうえ、1-2年ほど前からバルセロナ、そしてバルセロナに隣接するホスピタレット市でも新しい民泊への認可は下りていません。(バルセロナはホテルの建設許可も市長が変わってから凍結されました)
許可が下りなくなってもの民泊の数は増え続けたため、(スペインの大手不動産サイト idealistaによれば、現在バルセロナに存在する民泊の40パーセントが営業許可を得ていない違法のものです)バルセロナ市は取り締まりを本格化し、去年から市民に"違法民泊の通報"などのチラシを配布し、専門機関を組織するなどを行っています。同時に民泊を提供するプラットフォームにも登録している建物に"営業認可登録番号"の提出を義務化するよう協力をよびかけたところ、AIRBNBをはじめとするいくつかの大手のプラットフォームは協力を拒否したそうです。


これに関してバルセロナ市から2度にわたってAIRBNBに総額で600,000ユーロの罰金が課せられました。(明らかな違法行為を助長すること自体も違法行為です。スペイン語になりますが元記事にご興味がある方はこちらから読むことができます。


アパートを登録する際にホストに認可番号の提出を義務つけることはAIRBNBのような大手のIT企業にとって決して技術的に難しいことではないと思います。にも関わらず未だに協力を拒否しているのは、違法民泊がなくなることによって大幅な損失が見込まれるからかもしれません。もし事業の利益のために違法行為を助長するようなことをしているとすれば企業のモラルに問題があるように思えます。
宿泊する側にしても、安全基準を満たしていない違法の民泊を使用するということは大きなリスクになり得ます。(AIRBNBには認可された民泊も掲載されていますが、現状認可されているかどうかは確認することができません)
また、違法の民泊を利用することはなんらかの形で、先に引用させていただいたおじいちゃんのような人たちをさらに生み出す、地元の人たちを追い出してしまう、ことにつながっているのではと思います。


私が一番最初にバルセロナを訪れた時、美術館を歩いているような世界遺産にあふれた美しい街並みと同じくらいに、この街の人たちの親切さや明るさに魅了されました。この街で暮らし始めてからも、いろいろな人たちに助けられながらなんとか13年間やってくることができました。バルセロナの街はそんな人たちがあってからこそ、"バルセロナ"なのだと思います。
だからこそ近年の観光ブームで急激にバルセロナの人たちがバルセロナを去る選択を取らざるを得ないことをなによりも悲しく思いますし、地元の人がいなくなった形だけの"バルセロナ"という名前のテーマパークにはなってほしくないと心から願います。(もう手遅れかもしれませんが)


私自身も旅行の際に民泊を使用したことはありますし、長期滞在、家族やペット連れの旅行の際にはとても便利だと思います。
新しいプラットフォームによって急激に利用者数が増えたこともあり、現時点では利用者の利便にこたえつつ、市民の生活を壊すことない共存の方法を模索しているような段階のようにも思えます。なので、民泊の使用に絶対反対(一部のバルセロナの観光客ヘイトの活動家たちの人のように)というわけでばありませんが、自社の利益を優先し、住民のことは省みないとくみ取れるようなAIRBNBのスタンスには大いに疑問を感じます。


もちろんバルセロナ市から認可を得ている民泊のみを掲載しているプラットフォームも存在します。念のため以下にあげておきますね。

Booking.com


HomeAway


TripAdvisor


Rentalia


Apartur


バルセロナでの宿泊先を決める際に、ひとりひとりの選択がこの街にどのような未来ををもたらすのか、これからもバルセロナが魅力的な街でありつづけるために、訪れる方にも少しだけ知っていただきたいなと思い書かずにいられなくなった次第です。

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カテゴリー 旅行・ツアー・ホテル
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    • 特派員プロフィール
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      バルセロナ特派員
      岸田 早希子
      1996年に初めて訪れたバルセロナに”一目ぼれ“その後8年間バルセロナと東京間を毎年往復し2004年より”念願“のバルセロナ在住。現在はスペイン企業に勤務しつつ、日本語を忘れそうになるほど”バルセロナ”にどっぷりつかる毎日。“好きこそものの上手なれ”か、現地の友人たちの間でもお墨付きの”バルセロナ通“。友人たちと作ったサイト“Totteokiバルセロナ”で現地の最新情報を発信中。 DISQUS ID @girasolenbcn

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