アール・ヌーヴォーとアール・デコを極めるビエンナーレ ③ タッセル邸
2013年の10月毎週末に開催されているのは、第7回目を迎えたアール・ヌーヴォーとアール・デコのビエンナーレ。今回は、ビエンナーレ最終週の2日間以外は一般公開されていないタッセル邸をご紹介します。
世界遺産に登録されている「建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群」の1つで、世界初のアール・ヌーヴォー建築と言われているタッセル邸。現在は、ヨーロッパ食品情報会議(EUFIC)のオフィスとして使われているため、内部の一般公開は今週末のみということで、多くのアール・ヌーヴォー・ファンがタッセル邸を訪れました。
タッセル邸は、1893年にタッセル教授の自宅として建てられました。ガイドの方の説明によると、タッセル邸は多くの点で、当時とても革新的な建物だったようです。例えば、正面のドアを入ると目の前には3つのドアがあります。右手は応接室、左手はクローク、そして真ん中のドアが邸宅への入り口となります。そして、クロークとして使われていた部屋の奥にはトイレがあります。当時、このクロークの部分と応接室の部分は、家の「外」とみなされていたそうです。
まず、タッセル教授は生徒を家の中へ招き入れたくないと考えていたようで、生徒たちは正面のドア右手の応接室でタッセル教授と面会したそうです。また、当時は邸宅内のトイレを訪問客が使うという風習がなかったため、訪問客は事前にトイレを済ませ、邸宅を去るまでトイレは我慢しなければいけなかったのだそうです。家の「外」とみなされているクロークに続くトイレは、訪問客が気兼ねなく使えるようにという意向で、オルタが設置したそうです。
さて、真ん中のステンド・グラスのドアから家の「中」に入ると、奥の食堂に続く廊下と2階へ続く階段が目に入ります。当時の建築物の特徴として、家の幅が狭いことがあげられますが、タッセル邸も同様で、オルタは廊下の一面に鏡を設置することで目の錯覚を創り出し、実際よりもずいぶん広い感覚を持たせる工夫をしています。
男性の訪問客は食事のあと、2階の屋内テラスでシガーを嗜んだそうです。2階には写真が趣味だったタッセル教授のために作られた暗室や、写真を1階のスクリーンに映せるようにと映写機を設置できるように工夫された鉄柵についての説明もありました。
【写真上部】 2階の屋外テラス部分のステンド・グラス。内部から見ると、シガーの煙を表しているようにも見えます。
次に内部を見学できるのは、おそらく2015年のビエンナーレになるようです。内部は写真撮影が不可なので、外からではわからない内部の様子は、インターネットでもあまり公開されていませんが、公式サイトからタッセル邸のシンボルともいえる階段の写真を引用して、その様子を少しお伝えできればと思います。
Hôtel Tassel
住所: 6 Rue Paul-Emile Janson
内部の一般見学不可
<お役立ちメモ>
ビエンナーレ開催期間中でなくても、アール・ヌーヴォーやアール・デコのガイド・ツアーに参加してみたいという方は、ARAUのサイトがお勧めです。英語のツアーも毎月いくつか開催されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
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