特派員は見た!〜モトチョロによるひったくり〜

公開日 : 2009年11月18日
最終更新 :
筆者 : bonita

「南米」と聞くと、危ないというイメージを抱く方が少なくありません。

でもここアルゼンチンは、ラテンアメリカ諸国の中では

比較的安全な国だと言われています。

スリやひったくりの被害は、

警察に報告されていない事例を含めるとかなりの数に上ると思われますが、

それでも、理由もなしに人が殺されてしまう昨今の日本の現状の方が

よっぽど物騒だと思うのは、私だけではないはず・・・。

そうは言っても、軽犯罪の被害に遭ってしまう日本人観光客は皆無ではなく、

毎年相当数の日本人がスリやひったくり、ケチャップ強盗の被害に遭っています。

首都ブエノスアイレスに住んでもうすぐ2年、

私自身は、何の犯罪被害にも遭ったことはないのですが、

軽犯罪の現場を目撃したことが何度かあるのです。

そんな私の目撃談を、今回から不定期にレポートしていきます。

特派員は見た!.jpg

第1話 「ストーカーより執念深い?モトチョロによるひったくり」

あれは、語学学校からの帰り道でした。

ある夏の日、まだ陽も高い午後3時頃、

私は帰宅するために通りを歩いていました。

家まであと数ブロック、いつも警官が配備され

治安がコントロールされているパレルモ地区です。

大きなショッピングモールから続くこの通りには、

アパートやホテル、銀行、花屋さんなどがあり

昼間は人通りの多い場所です。

この時も、通りには私を含めて

十数人の人が歩いていました。

ふと私の視界に、2人乗りのオートバイが

向こうからゆっくり走ってくるのが見えました。

スピード狂の多いブエノスアイレス、

しかも車道にはほとんど車はないのに、

なんであんなにゆっくり走っているんだろう。

そう考えた瞬間、オートバイの後ろに乗っていた男が

ひらりとバイクから飛び降りて、

ものすごい形相でこちらへ走ってきたのです。

モトチョロだ!

※「モトチョロ」オートバイに乗りひったくりをする。

 運転をする見張り役、後ろに乗るのは実行役。

 女性のバッグなどをひったくりあっという間に逃走する。

直感的にそう理解した途端、

私は腰が抜けてしまいました。

走ってくる犯人を見て

もうダメだと思ったとき、

犯人は私の数メートル前を歩いていた女性の肩掛けバッグに

猛然とつかみかかったのです。

大声で助けを呼びながら、

また犯人を侮辱する言葉を吐きながら、

必死に抵抗する女性。

犯人に髪の毛を引っ張られ、

顔を殴られてもバッグを放そうとしません。

その間に、銀行の前に立っていた警備員や

アパートの中にいた人たちや

花売りやたまたま通りかかった人たちが集まってきました。

けれど、

犯人と女性に若干の距離をあけて立っているだけで

誰も助けてあげようとはしません。

女性は着ていたTシャツを引っ張られ、

下着が見えてしまうほどの可哀想な状況。

数分格闘した末に、

開いたカバンから犯人が封筒を奪い取るのが見えました。

そしてすぐに、仲間の待つオートバイへ飛び乗った犯人は、

追いかけてくる女性をバカにするようにからかってから

猛スピードで走り去っていきました。

腰の抜けた私が、アパートから出てきた住人に助けてもらいながら

ようやく立ち上がることが出来たとき、

頬や腕から血を流して泣いている被害者の女性を

周囲の人が介抱しようと声をかけていました。

被害者の女性が言うには、

サンタ・フェ通りにある銀行で現金をおろした後

ここまで歩いてくる間付けられていたのだろう、

とのこと。

彼女が利用した銀行からの距離はおよそ1キロ。

その間、犯人は後を付けながら

犯行の機会をうかがっていたに違いありません。

ストーカーや、近年問題になっているクレーマーもびっくりの

モトチョロ犯人たちの執念深さ・・・。

どうすれば被害を未然に防ぐことができるか考えてみました。

*

昼間の人通りが多い時間帯であっても、この手の犯行は行われるのです。

また、他にも通行人がいたにも関わらず、犯人が被害女性を執拗に狙ったことから、

被害女性が推測するように、銀行を出てからずっと後を付けてきたと思われます。

被害を防ぐために、

■銀行やATMなどで多額の現金を引き出す時は、

 滞在先のホテルなどに出来るだけ近い銀行やATMコーナーを利用する。

■多額の現金を引き出した後、付けて来ている人間やオートバイがないか

 周囲を警戒しながら、いったん滞在先へ戻る。

■銀行前に駐車しているタクシーが犯罪グループとグルの場合があるので、

 タクシーを利用して戻る場合は銀行から少し離れたところで乗る。

 あるいは、レミースやラジオタクシーなどを呼ぶ。

近くに通行人や目撃者がいても、

助けてもらうことは期待できないと思って下さい。

自分の身は自分で守る!

また、抵抗をするとケガをしてしまうことがあります。

このような被害に遭ってしまった場合、悔しいですが

大人しく犯人の要求に従うのが無難です。

*

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