アルゼンチンの大学生〜法学部に通うエリックの場合〜

公開日 : 2010年03月06日
最終更新 :
筆者 : bonita

統計によると、

アルゼンチンで大学に通う人の8割が公立で

残りの4割が私立に通っています。

公立大学の場合、

基本的には無償で受講できるというのが

アルゼンチン政府の基本方針です。

1985年以降、それまでの入試と定員制度を廃止し

希望するなら誰でも大学へ入れるようになりました。

現在、公立大学には、日本のセンター試験のような

統一された試験制度はありませんが、

私立大学の場合はそのほとんどが

厳しい入試試験を受ける必要があります。

ブエノスアイレス州内の私立学校に通う友だちが、

大学を案内してくれると言うのでついて行きました。

エリックは、弁護士を目指して法学部に通う学生で、

私の夫に法律を教えている家庭教師でもあります。

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▲弁護士や裁判官の卵たち。勉強がんばってね〜

この日、2年次の成績を受け取る日でした。

アルゼンチンの大学の留年率は

日本の大学と比べ物にならないくらいに高いのですが、

卒業できる学生の割合はさらに少ないと言います。

大学に通っている学生のおよそ半数が

仕事を持ちながら通学していることも理由のひとつ。

卒業までの平均通学年数は7年を超えると言われています。

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この成績記入用の手帳に、

教授や講師がそれぞれの成績を記入してくれます。

エリックは無事に合格点!おめでとう!

日本の学生街もそうですが、ここアルゼンチンでも

大学のある街には、

安いレストランやカフェがたくさんあります。

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▲女子学生がビールを飲みながらおしゃべりに夢中。

在学中の厳しい試験をパスし大学を卒業することが出来ても、

良い職につくことの出来る人はわずかだと言われています。

せっかく専門性の高い知識や技能を身につけても、

それを生かすことの出来る受け皿(働き口)が

あまりにも少ないのが現状です。

アルベルト松本氏著書の『アルゼンチンを知るための54章』には、

弁護士資格を持つ多くのタクシー運転手の例が紹介されています。

アルゼンチン国内で就職できない知識層の一部は、

海外に働き口を求めて出ていきます。

将来のアルゼンチンを担っていくであろう若者たちが、

国の経済的理由から海外に出て行ってしまうのは

この国にとってかなりの痛手になってしまうかもしれません。

法学部卒業とともに弁護士資格が取得できるエリックは、

同じく弁護士をしている父親のように

弱き者を助ける正義の弁護士になるでしょう。

彼の最終目標は、実は弁護士ではありません。

アルゼンチンを代表するような政治家になり、

この国を根本的に変えていきたいー。

現大統領もそうですが、

アルゼンチンの歴代大統領の多くが弁護士出身です。

そのため、法律を作ったり改正したりするのは熱心、

だけど国の財政を立て直すことはニガテなようです。

会計士資格を持つ大統領が誕生した方が

アルゼンチン経済のためになる、

そう感じている国民はかなりいるようです。

何はともあれ、

夢を抱いて学ぶ学生たちの姿って素敵ですね。

大学時代、もっともっと勉強すれば良かった・・・

とちょっぴり後悔した1日でした。

*参考文献

 アルベルト松本(著)『アルゼンチンを知るための54章』明石書籍

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