ポルテーニョたちの話し言葉、”ルンファルド”を知っていますか
ブエノスアイレスにやって来たばかりの頃、キオスコで買い物をし
「¿Cúanto cuesta?(いくらですか)」とお店の人に訊ねたら、
" Un Diego "
と言われました。
はて?アルゼンチンの通貨の単位は「ペソ」だったはず。
それなのに「1ディエゴ」とは、一体何のこと???
これが、私とLunfardo(ルンファルド)の出会いでした。
前述の「1ディエゴ」とは、10ペソのことです。
サッカーアルゼンチン代表チームを率いるマラドーナ監督は、
現役時代は10番の背番号を付けていました。
このことから、1ディエゴ=10ペソ、というルンファルドが生まれたのです。
▲Poto por "Calcio Giocato.com"
ルンファルドとは、ブエノスアイレスで生まれた俗語のこと。
日本にも、犯罪者や警察関係者が使う隠語がありますが、
同じようにルンファルドも、
もともとは隠語として、犯罪者たちの間で使われてきました。
現在では、冗談で人をからかったり、バカにしたりする時などにも使われます。
また、タンゴの歌の中にも、いくつものルンファルドが登場します。
若いポルテーニャたちが割と頻繁に使う、いくつかのルンファルドをご紹介しましょう。
*割と頻繁に使う、とはいっても、ルンファルドはあまり上品な言葉ではないので
人によっては全く使わない、使いたくない、という人もいます。
■Rati(ラティ)/ 警察官
「Rati」とは、警察官の胸の「Tira(リボン)」を逆にしたもの。
■Macana(マカーナ)/ 困った状況に置かれていること
「Macana」とは警棒のこと。警察に逮捕されるかもしれない、
という意味で使われてきたが、現在はミスをした時などに使う。
■Mango(マンゴ)/ お金
「Marengo」という言葉の省略語。Marengoは泥棒が容易に奪ったお金のことを意味していた。
■Boludo(ボルード)/お前,(または)バカ
「Boludo」はもともと”キン○マが大きい”という意味。そういう人はバカだという意味で
このルンファルドはかなり下品で失礼な単語のひとつ。
ただ、とても親しい友人同士で、「なぁ、お前」という言い方としても使われる。
■Mataburros(マタブロス)/ 辞典,辞書
ロバは動物の中で頭が悪いとされていて、
学校であまり勉強をしない生徒に「burro(ロバ)」ということがある。
Mataburros とは「burro(ロバ)」と「matar(殺す)」という言葉から作られた。
辞書は無知を殺す道具、という意味を含めている。
Lunfardo(ルンファルド)という言葉は、
Lombardo(ロンバルド)という単語に由来しています。
イタリアの北西部のロンバルディアの人々のことを指していますが、
ルンファルドのいくつかの表現が、アルゼンチンに移民してきた
イタリア人によって作られたことから、そう呼ばれるようになりました。
その他にも、ルンファルドの表現の中に、
イタリア語とスペイン語がごっちゃになったココリチェという話し言葉も使われています。
ココリチェとは、イタリアとスペイン、それぞれの国の移民たちが
ラテンアメリカという新天地で生きていくための手段として、
互いに意思疎通できるように話すようになった言葉です。
また、ある単語を逆さにしたルンファルドも多いです。
前述の「Rati(警察官)」がそうですが、
私たち日本人に関係あるルンファルドとして
■Pónja(ポンハ)/ 日本人
というものもあります。(Japón/ハポンを逆さにした造語)
これは、単に”日本人”を意味しているというより、
からかいの意図をこめた言い方です。(もっと極端にいえば差別用語)
旅行で訪れた外国人に対して
ルンファルドを使うアルヘンティーノはほとんどいないと思いますが、
お金に関するルンファルドは知っていてもいいかもしれません。
(役に立つかどうかは別として、話のネタのために)
■1 peso =1 mango
■2 pesos=1 mitres
■10 pesos=1 violeta, 1 lilita, 1 gamba
■100 pesos=1 luca
■1000 pesos=1 palo
ルンファルドの語源や歴史については
スペイン語の先生(アルヘンティーノ)に教わりましたが、
別のあるヘンティーノの友だちからも、こんな本をプレゼントされました。
▲ルンファルド辞書
けっこう分厚い辞書が出版されているくらい、
ルンファルドの単語はたくさんあるのです。
1つのルンファルドがいくつもの意味を持っていることもあるので、
ポルテーニョのようにルンファルドを使いこなすのはなかなか大変?!
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