春の嵐"サンタ・ロサ"の由来
アルゼンチンは、もうすぐ春を迎えます。
日本の「立春(2月4日)」のように、
暦の上で春が始まる日とされているのが9月21日。
このディア・デ・ラ・プリマベーラ( Dia de la Primavera/春の日)には、
夫婦や恋人、ご近所や友人同士で花を贈り合う素敵な習慣もあります。
さて、春の足音がもうすぐそこまで聞こえているアルゼンチンですが、
ちょうどこの時期は、強い風が吹き天気が不安定になります。
今日も、天気はいいけれど風が強い!
日本でいう「春一番(立春の頃に吹く強い風)」と同じく、
アルゼンチンでもこの嵐に、名前が付いています。
それが、サンタ・ロサ(Santa Rosa/聖なる薔薇)です。
毎年、8月30日頃にやって来るこの嵐。
今年は例年よりちょっと遅れてやって来たようですが、
強い風と激しい雨をともなうサンタ・ロサが過ぎれば
アルゼンチンに本格的な春がやって来るのです。
▲衛星写真で見る「サンタ・ロサ」(写真転載元はコチラ)
このサンタ・ロサ。
直訳すると、「聖なる薔薇」という意味ですが、
なぜこの時期の嵐にこのような名前が付けられたのでしょう。
実は、サンタ・ロサの嵐は、単に聖なる薔薇という意味ではなく、
リマ(ペルー)の聖母である
リマのサンタ・ロサ(Santa Rosa de Lima)の伝説が基になっています。
*詳細はコチラ(西語のみ)→wikipedia/Rosa de Lima
▲聖女サンタ・ロサ。(写真転載元はコチラ)
ペルーで、というより南米諸国で最も有名な聖女であるサンタ・ロサ。
31歳の若さでこの世を去るまで、自らに過酷な苦行を課し、
彼女のもとを訪れる貧しい人々や病める人々に対し
いくつもの奇跡を起こしたと言われています。
彼女にまつわる数々の奇跡のうち、1615年8月30日に起きた奇跡。
リマの港町カリャオに、
リマの街や教会の破壊を脅かすオランダ人の海賊の一隊が現われた。
これを知ったロサは、修道服の袖を肘までたくし上げると、
取 り出した剣で修道服の裾を切り、祭壇を守ろうとした。
それは、神のために闘い、命を捧げるという宣誓であった。
その後、海賊がサント・ドミンゴ教会に近づいているという噂が流れると、
ロサはオ ランダ人によるキリストへの攻撃を自らの体に受けるべく、
祭壇に登り自分の身を捧げる決心した。
すると、しばらくして海賊は北のほうへと向かって逃げていった。
リマの人々は、
ロサが命を捧げることを神に誓ったことによる奇蹟であると信じた。
この奇跡が起きた日とされる8月30日前後に、春の嵐がやってくることから、
この時期の嵐のことを、「サンタ・ロサの嵐」と呼ぶようになったのです。
*詳細はコチラ(西語のみ)→wikipedia/tormenta de Santa Rosa
イエズス会の伝導によって、
南米大陸にキリスト教が伝わってから400年あまり。
毎年やって来る春の嵐の名前の由来に、
この国の人々の暮らしが、宗教と共にあるのだということを感じます。
アルゼンチンに、もうすぐ春がやって来ます。
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