ブエノスアイレス市立外国語大学レングアスビバス日本語講座

公開日 : 2012年10月05日
最終更新 :
筆者 : 相川知子
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 アルゼンチンで一番長くやっている職業は 日本語教師です。到着時からなので通算21年になります。20年続けている場所が、今回ご紹介する、現在のブエノスアイレス市立外国語大学レングアスビバス「フアン・ラモン・フェルナンデス校」(元アルゼンチン国立高等語学院レングアスビバス)です。

 通称「レングアスビバス」と言います。レングアスビバスとは生きた言葉というとおり語学に重点を置き、1895年からの歴史のある小学校から大学まである高等教育機関でアルゼンチンでは、一番レベルの高い外国語大学です。

 英語はもちろん、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語の教員養成と翻訳学科がありますが、ここの選択外国語科目の中には、英語、フランス語、イタリア語、ポルトガルのポルトガル語、ブラジルポルトガル語、アラビア語、ロシア語、中国語、そして、日本語があります。アルゼンチンには30くらいの公私機関で日本語が教えられていますが、当地では初めて公認教育課程で、そして、唯一、高等教育課程の中に組み込まれている単位の取得できる科目として教えられている場所です。

現在日本語(1)がニクラス、日本語(2)、日本語(3)の計4クラスがそれぞれ週二回、開講されています。

1992年、日本政府からの無償供与により、当時最新式のタッチパネルのLL教室が二室、そして、ビデオ編集室が寄贈されました。

それと同時に日本語講座も開設されることになりました。

国立時代は、板書するのに、チョークさえもありませんでした。どうしたら、いいのかと思っていたら、開講当初は英語科の先生も生徒になっていて、自分で用意しているマイチョークとマイ黒板消しを日本語の先生に貸してくれていたので、それから自分で持ってくるべきだとわかりました。

カセットデッキもオーディオ機器管理課から借りてきても、教室によりコンセントの種類がちがっていてまたアダプターを取りに行ったり、または調子が悪くなって使えないこともしばしば、これはLL教室やビデオ教室を予約していても同様。だんだん今日の授業案を考えても、使えない器具などがあること多々であるため、その日の授業作りに当然柔軟な体制が必要になり だんだん、おかげさまでどんな状況でもクラスができるようになったのはよかったと思います。

 一方、大学の選択外国語科目でありながら、同じ授業が一般公開講座にもなっているので、別の大学の学生や、18歳以上の一般社会人、年金受給者もやってきます。アルゼンチンでは大学生は18歳から50代ぐらいで、それぞれ仕事を持ちながら勉強している人がほとんどです。

 アニメブームや武道好きな学生も多いし、多かったのですが、最近はアニメなんて普通のことになりましたし、それだけの人はかなり淘汰され、本来の語学が好きな、そして、日本語を選ぶちょっと変わったまじめっぽい生徒が20代から40代程度に落ち着いてきました。普通に働いていながら、大学にも行っている人がほとんどの中、日本語は、他のヨーロッパ言語とよりも、もっと専念して、時間をかけて、特に文字なども書いてもらわなければならないので、勉強が追いつかないことが多いのですが、それでも、逆に、「漢字が魅力的」「語学的興味」「日本文化が好き」という人たちが、レングアスビバスの学生には多いです。

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 今でこそ、インターネットが一般化し、Jポップがダウンロードできたり、アニメが一般の映画館で公開されたりします。2005年ぐらいから、一部の学生はMicrosoft Wordで日本語で打った作文を持ってき始めました。今ではメイルで日本語で書いたり、またフェイスブックのグループでビデオなど共有します。

 本当に便利な世の中になりましたし、遠い日本というイメージも少なくなってきました。

 幸いチョークがいつもあるようになり、教室のイスなどもきれいに整頓されていることが多いなど、学校がブエノスアイレス市に移管されて、よくなりました。ホワイトボードも増えましたし、構内では、インターネットが可能です。

 それでも、学ぶのに大変なのは今も昔も同じです。そして、辞書などの書籍でさえ、ドルの価値が高い今、取り寄せて購入するのはなかなか困難です。

 毎年 レングアスビバスの外国語講座は2月末ごろ登録をし(先着順 定員20名)

3月末から開講し、前期を7月に修了し、筆記口頭試験を経て、二週間の冬休み。

それから後期が始まり、11月末から12月の初めに終わり、修了試験を受けます

アルゼンチンでは公教育は無償なので、授業料は無償/ただ です。

ただし、学校内の清掃や文房具などの管理をするcooperadora コオペラドーラと呼ばれる維持会への寄付を御願いしております。

今年の推奨金額は50ペソですが、それ以下でも以上でもお志で構いません。

 なお、本講座は公教育であり、本校学生の単位取得授業と同等のため、出席率75%、また授業中の参加、また宿題の提出も成績に響きます。まずは出席がないと、試験が受けられない、即ち次のレベルに上がれないことになっております。そして、三回 無届けで欠席すると、席がなくなることになっています。

なお、周りで アルゼンチンの方で(たまにコロンビア人やアメリカ人、台湾人も来ますが)興味がある方は、以下、お知らせしてあげてください。

現在の私の担当は日本語1で3月から初心者のクラスです。

全く初心者は最初の2月末の登録ですが、その後、脱落する人もいますから、予備知識がある方は途中でレベルチェックテストを受けて編入することも可能です。

ブエノスアイレス市立外国語大学 レングアスビバス 日本語講座 レベル1

Instituto de Ensenaza Superior en Lenguas Vivas Juan Ramon Fernandes (Actividad de Nivel Superior - curso de japones)

Carlos Pellegrini 1515

火曜日と木曜日 午後5時から6時半

martes y jueves de las 17 hrs a las 1820

escribir a

tomokoargentina2@gmail.com

con sus datos personales.

 私自身、日本の大学時代にペルーやアルゼンチンの方と接して、スペイン語を上達させてきたので、言葉や文化の習得には対人接触による異文化理解コミュニケーションが必要です。そのため、ときどき授業への日本人ビジターを受け入れています。

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http://tsutomuhoriuchi.blog113.fc2.com/blog-entry-379.html

ラテンアメリカ協会の桜井さんにもご訪問いただき学生の勉強にご協力いただきました。

男性の声は、なかなか聞き取りにくいので、勉強になるんです。

 見学ではなく、参加していただきます。

 挨拶や質問などの相手になっていただき、またひらがななどの文字の遅れている人、形が変な人に指導をするお手伝いです。ご希望の方は御連絡ください。

重要なのは、当方のクラス内ではスペイン語使用は禁止です。実はこれは他の外国語講座でも同様に目標言語で話します。

またときどき日本文化の見聞を広げるため、講演会/イベントの参加もします。

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JICAのシニアボランティアの後藤紀子先生による着付け教室をボルへス財団でコーディネートしました。モデルになるのも大変ですね。

生徒達は後藤先生のお話を熱心に聞いてメモをとっていました。通訳は当方致しましたが、着物用語は書き取りをするよう、指示してありました。「じゅばん」と書くのが一番難しかったようです。

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(前期修了の打ち上げパーティ乾杯!も日本語で)

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(マテ茶体験 ー これも日本語で、どうぞ。熱いから気をつけてください!)

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(お箸体験も立派な勉強です)

でも、終了後、教室外でお友達になることができればお互いに楽しいですね!    

なお、レングアスビバスでは 外国人のためのスペイン語講座も開設しています。

以下のリンクにアルゼンチン、ブエノスイアレスで「スペイン語を学ぶ」についての

記事をたくさん書いていますので、ご参考にしてください。アルゼンチン、ブエノスイアレスで「スペイン語を学ぶ」

http://blog.livedoor.jp/tomokoar/archives/cat_50045672.html

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筆者

アルゼンチン特派員

相川知子

1991年よりブエノスアイレス在住。スペイン語とラテンアメリカが大好き。アルゼンチンのことを日本に周知がライフワーク。

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