No. 11 過去を振りかえさせる躓き石

公開日 : 2016年07月31日
最終更新 :

ケルンの街を歩いていると、石畳の中に何かが書いてある四角い金属のプレートを目にします。これはStolpersteine (シュトルパーシュタイン)と呼ばれる、ヨーロッパ中に見られるケルン発祥のアートプロジェクトです。

2-DSCF7141.JPG

『つまづき石』と直訳されるこのシュトルパーシュタインには、ナチスドイツ時代に強制収容所に連れて行かれてしまった人の名前が書かれています。ケルン出身の芸術家であるGunterDemnigが、ナチス時代の記録を元に、犠牲者の名前を真鍮のプレートに写し、連れて行かれた人が住んでいた家の前の道に埋め込むというプロジェクトことを始めました。

この石に刻まれている名前はユダヤ人だけだと思われがちですが、実際にはユダヤ人だけではなく、同性愛者や反ナチス的な意見を持っている人も含まれています。また、強制収容所で亡くなった犠牲者の名前のみが刻まれていると思われていますが、あくまでも強制収容所送りになった人だけで、生き残った人や外国に逃げることができた人の名前も含まれます。

道に埋め込まれているため、気づかずに通り過ぎたり、踏み歩いたりすることもありますが、ふとした時に気づいて立ち止まり、立ち止まってプレートに書いてある名前を読む人もときどき見かけます。自分の家の入口でこれを見ると、同じ入り口から無理やり連れて行かれた人達のことを想わずにはいられません。さらに、一人につき1つのプレートが捧げられているため、大きな家族全員が収容所送りになったところなどは、8つのプレートが並んでいたりします。

1-DSCF7140.JPG

1995年のプロジェクトの開始当時、公用の道の石畳の石を掘り起こし、勝手にプレートを埋め込むという作業は違法でした。2005年より、アーティスト一人では制作と設置ができないということで、彫刻家Michael Friedrichs-Friedländerがベルリンの自分のアトリエで一つ一つを手作りで作り始め、現在では6万を超えるプレートが南北はギリシャ‐ノルウェー、東西はロシア‐フランスと、広い地域でみられるようになれ、このプレートは『世界最大の記念碑』とも言われています。

ケルンの芸術家が始めたプロジェクトということもあり、現地のアートギャラリーでこの石を見ることもあり、場合によっては買うこともできます。

ケルンにお越しの際は、ぜひ一度立ち止まって、歴史を感じてみてください。

ドイツ生活と旅行情報:ブログもよろしくお願い致します。

↓ブログはこちらから↓

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。