こうしてユーロはやって来た

公開日 : 2002年01月18日
最終更新 :
筆者 : 柴山 香

2002年の元旦からユーロが流通しても、2月末迄はまだまだマルクが使えるし、たとえ使い切れなくても銀行で両替できるのだから...、と平静を装っていた私だが、クリスマス休暇を終えた頃からそわそわ落着かなくなってきた。

財布を覗くと、相変わらずマルクやペニヒ(マルクの下の単位)の小銭ばかりがジャラジャラ...。「この小銭、さっさと使ってしまわないと、後々両替するのがやっかいになりそうだなア」なんて、予め手持ちの小銭を数え上げてから、それに近い金額だけ買い物するように努めたりして、マルクを使い切る為に全神経を集中させ、すっかり気疲れしてしまった。そんな涙ぐましい努力の甲斐もなく、やはり小銭をどっさり抱えたまま新年に突入することになってしまった。

さて、休み明けの1月2日(水)。恐る恐る町へ出ると、昼過ぎなのに人影もまばらで、記念すべき「ユーロ初日」にしてはイマイチぱっとしない印象。いつものドラッグストアで要る物だけ選び、いよいよレジへ。この日ばかりは、自分の前に何人もの人がレジ待ちしていることにホッとする。前の人がどうやって支払うのか観察できるチャンスだから。そこでビックリ!皆、しっかりユーロで支払っているではないか!私なんて、マルクしか持っていないのに...。頭の中が混乱するうち、遂に自分の順番が来てしまった。買い物の合計額は9ユーロ。レジ係はもうすっかり手(口?)慣れた様子で、「マルクで払いますか?それともユーロ?」「マルクで。」と私。「17.60マルクです。」そこで私が20マルク札を出すと、「他にも小銭があれば受けますよ。」

全国にチェーン展開しているこの店では、ユーロ移行期の顧客向け特別サービスとして、使い切れなくて余っている旧通貨を引き取ってくれているのだ。即ち、9ユーロ(17.60マルク)の買い物をした私が、財布の中身全て(例えば52.76マルクという半端な金額だったとしても)を、きれいさっぱり支払ってしまうことができた。おつりは全てユーロでもらえるから、何と一瞬にして、財布の中身がユーロに大変身してしまったというワケ。

「なあーんだ、そうなのー。そういう仕組みなのー。そうならそうと早く言ってよー、最初から。もうホントに!!」 拍子抜けしたような、ホッとしたような心境。銀行へ両替に行く必要も無くなってしまった。

いやはや、マルクの小銭と格闘しながら、取り越し苦労で暮れた2001年。2002年は、「ドイツ人もなかなかフレキシブルになったものだなア」と、感心するところから始まった。某新聞社のアンケートでも、「ユーロへの移行はスムーズに進んでいる」と回答したドイツ住民が大半だったのも、もちろんうなづけます。

但し、個人経営の商店を始め、上記のような温情措置をとらないところも多々ある上、「当店ではマルクはお使い頂けません。」なんて張り紙を掲げている店さえあるほどですから、これからマルクで買い物しようと思っている方はどうぞご留意下さい。

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支払う側も、受け取る側も、真剣そのもの。

当分の間は、レジで新通貨とにらめっこする日々が続きそうです。

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