見えないレストラン ー ベルリン

公開日 : 2004年01月26日
最終更新 :
筆者 : 柴山 香

百聞は一見に如かず・・・でも、「一見」する手段を失ってしまったら、あとは百聞するしかない・・・?「unsichtーBar」というレストランバーがある。店名の由来は、「unsichtbar(見えない)」というドイツ単語。店名通り、この店内は完全な真っ暗闇。照明をぐ~んと落とした流行のインテリア、なんていう中途半端なものではない。ほのかなロウソクの灯りも、タバコの火も、携帯電話のディスプレイの明りさえも存在しない。自分の手を目の前でヒラヒラさせても全く見えないくらいの200%完璧な暗闇だ。この暗闇のレストランバーが話題を呼んでいる。店に入ると、例外的に電灯に照らされたレセプションがあり、そこでまずメニューを選ぶ。メニューは、それぞれ野菜、魚、チキン、ラムなどをメインとしたコースのみで、見て、イヤ、食べてビックリのお任せコースというのもある。好みのコースを選んだら、サービス係の案内でいよいよ暗闇の客席へ。ところで、サービス係はどうして暗闇を迷わず歩いて行けるの?・・・それは、サービス係はみな視覚の不自由な人たちばかりだから。彼らは、闇に不慣れなゲストが安心して食事を楽しめるよう、常に客席のそばに待機していてくれるし、料理を運んで来た際には、お皿のどの辺りに何がのっているのかも丁寧に説明してくれ、トイレにだって案内してくれる(トイレはもちろん照明付き。ご安心を)。この店、そもそも「暗闇」に関わる各種イベントを手がけていたドイツ人のルドルフ氏が、「視覚以外の感覚を研ぎ澄ます体験をしてもらいたい」と考案したもので、ケルンにオープンした第一号店の成功に続く、首都ベルリン出店というわけ。視覚不自由者の支援団体とも提携し、視覚不自由者を積極的に雇用し、その社会進出を促進する新型プロジェクトとしても各方面から注目を集めている。マッサージ師や手工芸品製作など、限られた職種にしか活躍のチャンスがなかった人々も、「陽光の下ではいつも助けてもらっている。暗闇では、私たちがみなさんを助ける番だ。」と、意欲に満ちて生き生きと仕事に就いているという。さて、肝心の料理の方は?と言うと、旬の素材の持ち味を存分に引き出した、贅沢なまでのシンプルさが魅力。「unsichtーBar」ベルリン支店は、市中心部アレクサンダー広場駅から地下鉄でひとつ目という交通至便な場所。暗闇の世界を体験することで、世界がまたひとつ広がるかもしれません。できれば事前予約の上でご来店を。「unsichtーBar」(ウンジヒト・バー)Gormannstrasse 14Berlin-MitteTel (030)24342500www.unsicht-bar.com

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ベルリン支店をバックに勢揃いしたサービス・スタッフも、店内インテリアに合わせて黒一色。

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