お客様、お靴をお脱ぎいただけますか?

公開日 : 2007年06月16日
最終更新 :
筆者 : 柴山 香

先日、日本に一時帰国した。

前回里帰りしたのがわずか一年前だったので、今回は、逆カルチャーショックもたいしたことなかろうと思っていた。が、やっぱり今回もイロイロ驚いた。

町を歩けば、やたらと注意書きが目につく。

ターミナル駅の地下道の薄汚れた壁には、10mくらいの間隔で「ここで寝泊まりしないでください」とか、「座り込み禁止」と張り紙してある。駅エスカレーターの乗り口には、「ここでは走らないでください」とか「追い越さないでください」と書いてあったが、この警告は120%無視されているようであった。

デパートやスーパーマーケットの休憩用ベンチ付近に目を移すと、ここにもやはり、「長時間の休憩はご遠慮下さい」とか、「他のお客様のご迷惑になる場合、警備員がお声を掛けさせていただきます」なんていう張り紙が、黒文字でドで〜っかく書かれている。これじゃ、買い物の合間に本当にひと休みしたくても、何となく憚られる雰囲気だ。

長時間居座り組が多発して、ほとほと手を焼いた果ての対策だろうが、私が見た限り、この張り紙がある場所では、座り込みも寝泊まりも見かけなかった。日本人は、あからさまに禁止してもらえれば、素直にそれに従うようである(ま、エスカレーターのように、例外も多いでしょうけどネ)。

さて、デパートのトイレに入いると、張り紙はさらに増える。「安全管理のため、従業員もこのトイレを使用します」というのは以前からよく見かけたが、「トイレ内ではお客様へのご挨拶を義務づけておりません。どうぞご容赦ください」というのは、昨年は見かけなかった。

ところで、話変わって、自分がほとほと情けなくなったのが、このブログのタイトルにもした出来事である。

今回の帰国中、タイトルのセリフを二度も言われてしまった。日本の習慣に不案内なガイジンさんが、本来靴を脱ぐべき場所にどかどか土足で上がり込み、「あ〜あ、もうっ!ガイジンさんだから、仕方ないなぁ」と呆れられる、アレである。

一カ所目は、都心の高層分譲マンションのモデルルームを見学した時のこと。建設ラッシュで、完成すれば即完売!という、大人気の高層マンションとやらを、ぜひ一度見てみたかったので、好奇心満々でモデルルームを見学に行ったのである。モデルルーム内部には、ふっかふかの黒絨毯が敷かれていたので、どこまでも靴のまま入いっていいと思い込んでいたら、本人が気づかぬうちに「土足禁止エリア」に侵入していたらしい。「お客様、恐れ入りますが、そちらはスリッパでご見学ください」と、やんわり指導されてしまった。よく見ると、周りの見学客は皆しっかりスリッパに履き替えているではないか。一体いつの間に....?一体どこで....?

ひとり慌ててスリッパに履き替えようとするも、羞恥心と動揺のため、履いていたサンダルが足に引っかかって上手く脱げなかった私である。

さてさて、お次は岩盤浴スパ施設でのこと。巷で人気の岩盤浴とやらも一度体験してみたいと思い、るんるん気分でスパ施設に出掛けて行ったのだが、その受付でまたまた注意されてしまった。「お客様、お靴を履き替えてからお越しくださいませ」。そう指摘されて後ろを振り返ると、自分がたった今通ってきた入り口にはしっかり段差があり、しかも下駄箱までずらーっと並んでいるではないか。段差と下駄箱の二段攻撃にも関わらず、「ああ、ここで靴を脱ぐのだな」と、どうして気づかずに素通りできようものか?

ここまで靴を脱ぐタイミングが判らなくなってしまうというのは、自分の日本人度がかなり低下してきている危険信号だ。「ここで靴を脱ぐのかな?」という疑いさえ持たず、周囲に指摘されるまで全く気づかないわけだから、このままでは困ったガイジンさんの仲間入り出来る日も近そうだ。

次回の日本帰国までには、余り間隔を空けないほうがよさそうだ。

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