「幸せ」を教えてくれる学校がある

公開日 : 2008年03月04日
最終更新 :
筆者 : 柴山 香

学校での選択授業科目の定番と言えば、世界史、化学、古文...。その中に「幸福」があったら?

「幸福」という科目が選択肢にあがるのは、1900年にまで創立の歴史を遡る、ヴィリー・ヘルパッハ・ギムナジウム。ドイツ最古の大学があることでも有名なハイデルベルクにある公立学校です。(註:ギムナジウム=学齢で言えば、日本の小学5年生〜高校卒業にまで相当する教育機関で、主として、将来大学進学を希望する生徒が通う)

「職業訓練校、あるいは、進学のための予備校といった性格を強めつつあるギムナジウムを、もう一度その原点に戻したい。未来を担う子どもたちの人生基盤を固めるという、学校本来の役割を再認識したい」という願いから、「幸福」という学科を発案したのは、このギムナジウムのフリッツ・シューベルト校長。校長を中心とした同校の教員チームが、じっくり時間をかけて指導案を練り上げてきた。

「強く、自信に満ちあふれた生徒の人格形成を手伝うのが学校の役割。そのためには、喜び、よく考え、満足することのできる能力が、生徒の心と体に備わっていることが必要なのです。」

「幸福」の授業にあたり、具体的に取りあげられるのは、「生きる喜び」、「健全な体づくりのための食生活」、「体を動かそう」、「体を使って表現する」、「心で得る満足感」、「社会における自分の責任」など、生徒にわかりやすいテーマで、自分の心や体とのつき合い方、社会との関わり方を学んで行く。

実際に指導にあたるのは、ギムナジウムの教員に加え、舞台俳優、医師、各種セラピスト、さらに、ホッケーのドイツ代表チーム元監督、サッカーのブンデスリーガのマネージャーら、実社会で活躍する、まさに生きたお手本でもある人々。また、劇場舞台での芝居上演、企業訪問、集中力向上トレーニングなど、課外授業もふんだんに取り入れられており、教室という枠を飛び出した大胆さも注目を集めている。

学内での反響も大きく、「幸福」という科目が、(まだ今のところは)ギムナジウム卒業試験

の正式科目としては認可されていないにも関わらず、50名以上もの履修生徒が「幸せ」を学んでいるという。

ある新聞に、「幸福」を選択した生徒のインタビュー記事が載っていた。

「よりにもよって、『幸福』で成績『5』を取らないようにしなきゃ!」

(註:ドイツでは、学校の成績は『1』が最高、『5』はその逆)

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