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イタリア/ジェノバ特派員ブログ 浅井まき

イタリア・ジェノバ特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。


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先週末5月19~20日、ジェノバでは、以前の記事でもご紹介させていただいた、Rolli Daysというイベントが行われていました。今回の記事ではこの機会に特別に公開されたサン・ジョルジョ宮をご紹介したいと思います。

Rolli days

Rolli Daysはジェノバの世界遺産「ストラーデ・ヌオーヴェとロッリ制度の邸宅群」を存分に満喫できるよう企画されているイベントで、毎年2回程度、2018年は5月19~20日、10月13~14日に行われます。このイベントでは普段は公開されていない邸宅が特別に一般開放されたり、博物館などの入場料が割引になったりと大変お得です。





「国家の中の国家」サン・ジョルジョ

「ロッリ制度の邸宅群」には含まれていないものの、サン・ジョルジョ宮はジェノバの歴史的建造物としては非常に重要です。
この施設には港湾関係の団体などの事務所が入っており、普段は公開されていません(2018年からは毎月第一土曜の10時、11時に見学が可能となりました。※要予約。詳細は文末に)。今回はRolli Daysにあわせて特別に一般公開されました。
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(聖ジョルジョ)

“サン・ジョルジョ(La Casa delle Compere e dei Banchi di San Giorgio)”とは、一言でいうにはあまりに複雑な組織であったのですが、例えるならば財務省と日本銀行と都市銀行を合体させたようなものです。1407年に設立された世界初の中央銀行の一つで、ジェノバ共和国政府に対しても非常に大きな権限を持っていたことからと”国家の中の国家”とも喩えられました。





ジェノバで初めての公共建築

元々の建物は13世紀のもの。当時のジェノバでは公共の概念がとぼしく、政治さえ誰かの私邸か教会で行われていたほどだったのですが、グリエルモ・ボッカネグラという人物の提案により1260年、ようやく公共の建物がつくられることになります。当初は海の傍に建っているため”海の宮殿”と呼ばれました。それから何世紀もかけて増築や改修を繰り返して現在の姿になりました。





海から見るジェノバの”顔”

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(サン・ジョルジョ宮外観)

海側の外壁を彩るフレスコ画は16世紀に描かれたものです(ただし、サン・ジョルジョが解体された19世紀以降ひどく損傷し、1960年頃に大規模な修復が行われました)。海からやってきた外国の船が一番最初に目にする建物がこのサン・ジョルジョ宮であったので、ジェノバの”顔”として鮮やかで壮麗な外観にリフォームされました。金色で描かれた人物像は、ジェノバの発展に多大な貢献をした人々です。





東方見聞録が書かれた場所

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実はこの建物、あのマルコ・ポーロが東方見聞録を口述した場所と言われています(明確に記された史料がないため、はっきりとはしていません)。
マルコ・ポーロはヴェネツィア共和国の人ですが、当時ジェノバとヴェネツィアは戦争をしていて、アドリア海のクルツォラでの海戦でジェノバが大勝利をおさめます。そのとき捕虜としてジェノバに連れてこられたのがアジアへの商用旅行から帰る途中だったマルコ・ポーロでした。彼がサン・ジョルジョ宮にあった牢獄の中ですることがなく、アジアでの出来事を仲間に語っていたのを記録したものが東方見聞録と言われています。





多様な歴史を擁する内部へ

見学は正面玄関から始まります。一回20名程度のグループで係員に従って回っていきます。
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まずはサン・ジョルジョの大評議会が行われていた広間へ。内部は大規模な修復のためシンプルな白壁となっていますが、大理石の彫像が壁面にいくつも飾られています。この人々はサン・ジョルジョに対して経済的貢献を行った人で、立っている人よりも座っている人の方が多くの寄付をしたのだそう。中央に飾られている聖母マリアと聖ゲオルギウスを描いた絵は17世紀にジェノバで活躍した巨匠ドメニコ・ピオラの手によるものです。
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次に、中世に建設された古い部分へ。壁や床のタイル装飾がとても繊細で美しいです。ジェノバはイベリア半島との交易関係がとても強かったので、スペインなどでみられるようなタイル装飾がよく用いられています。





15世紀の設立から19世紀の解体まで、ジェノバの繁栄の要として君臨してきたサン・ジョルジョ。その座所はジェノバの”顔”でもありました。客人を迎えるための建物ではありませんので、「ロッリ」の邸宅に比べるとシンプルですが、随所に粋を尽くした装飾も見られます。
見学ツアーはイタリア語のみではありますが、タイミングが合えばぜひ訪れて頂きたいユニークな名所です。
Palazzo San Giorgio
Via della Mercanzia - 16123 Genova
一般開放:毎月第一土曜日10-12時(見学ツアー:10時、11時)(※予約必須)
料金:無料
予約:木曜日までに電話またはeメールで予約する必要があります。
Tel: (+39) 333 7781977
Email: genova@delegazionefai.fondoambiente.it


2018年5月23日

こんにちは!今回の記事では、少しジェノバを離れて”リヴィエラ”と呼ばれるリグーリア州沿岸部へ足をのばしてみましょう。東西に細長いリグーリア州の海岸沿いにはたくさんの小都市やリゾート地がありますが、今回ご紹介するのは、なかでも最も有名で人気の高い、世界遺産のチンクエ・テッレです。

ジェノバからチンクエ・テッレへ

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(チンクエ・テッレ最東端のリオマッジョーレ)
ジェノバからチンクエ・テッレに向かうには、ローカル線または特急Intercityに乗って東部ラ・スペツィア方面へ向かいます。ルートによって異なりますが、大体2時間弱、片道10~20ユーロ程度です。
リグーリア州は海と山脈に挟まれたとても狭い土地で、約60%が山なのだそう。”5つの土地”を表すチンクエ・テッレはその名の通りラ・スペツィア近郊の5つの小さな村を総称した名前です。今でこそトンネルだらけの道路や線路でつながっていますが、本来は船でないと行き来ができないような場所でした。





“5つの土地”チンクエ・テッレ

5つの村とは、西からモンテロッソ・アル・マーレヴェルナッツァコルニリアマナローラリオマッジョーレのこと。集落の歴史は古く、11世紀頃に遡るのですが、当初はジェノバへ往来する船への海賊行為をして生計を立てていたのだとか。船から海岸を眺めていると、この近辺の沿岸部には海賊がアジトにするのにちょうどいいような穴がたくさんあるのが見られます。ジェノバによって統治されるようになると、これらの集落は要塞都市として整備されます。ピサと対立していた中世のジェノバ共和国にとってこの地域の監視は防衛の観点からとても重要でした。チンクエ・テッレの先にあるポルトヴェーネレには中世の城塞(後世に拡張されている)が残っています。
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(チンクエ・テッレ付近の海岸部を海から見ると、本当に急な崖ばかりです。写真の奥にポルトヴェーネレの城壁が見えます)
とにかく面積が狭く、海からすぐにごつごつとした岩壁がそびえているような地域ですから、当然土地は痩せていて作物が育ちません。しかし、住民たちは長い年月をかけて斜面に石垣の段々畑をつくり、知恵を絞って効率的な農業を行ってきました。ここで育つブドウは実をつける数が少ない分、味が凝縮していて、これを使ったワインは至高の味わいになるのだそうです。





チンクエ・テッレをめぐる移動手段は?

そんなチンクエ・テッレの集落間の移動手段は電車またはになります。


最もお得で早い移動手段は電車です。レヴァント~ラ・スペツィア間でチンクエ・テッレ・エクスプレスという路線が走っていて、日中は1時間に3~4本と本数も多く、料金も安いです。
Cinque Terre Treno MS Card(大人1日券:16ユーロ)を利用すれば、この区間を終日自由に乗り降りできます。このカードは各観光案内所またはオンライン(https://card.parconazionale5terre.it/en)で購入することができます。(チンクエ・テッレの観光案内所は混雑が予想されますので、オンラインで購入するか、現地であればレヴァントやラ・スペツィアなどの案内所を利用するのがよいと思われます)
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(船からリオマッジョーレを望む。とにかく全てが色鮮やかです)


一方、少し値段が高めなのと、本数が少ないという難点はありますが、晴れていれば特に素晴らしい景色を楽しむことができるのが船です。レヴァントからポルトヴェーネレを1時間に1本程度、観光船が往復しています。海の上からゆったりと眺める景色はまさに絶景!チンクエ・テッレの街並みだけでなく、沿岸部の雄大な岩壁も一見の価値はあります。また、隣町のポルトヴェーネレ(チンクエ・テッレと共に世界遺産に登録されたとても美しい街です。また別途ご紹介したいと思います)に行く場合はこの船を利用するのが便利です。

航路、時期によって運賃は異なりますが、チンクエ・テッレ~ポルトヴェーネレの1日乗船券は大人33ユーロ、チンクエ・テッレのみであれば25ユーロです(2018年夏季現在)。乗船券は各船着場で購入できます(昼休みがあるのでご注意ください!)。


一方、マナローラとリオマッジョーレを結ぶ”愛の小路”と呼ばれる遊歩道がありますが、2012年に崩落事故があり現在も一部しか通行できません(有料)。





フォトジェニックな集落の街並み


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(ヴェルナッツァの船着き場)


急斜面に張り付くようにそびえる集落の家々はとてもカラフル。遠く海の上からでも自分の家がわかるように塗られたのだそうです。そして海は青く澄んでいて非常に綺麗です。鮮やかな青い海に、カラフルな街並みはまさに”インスタ映え”しますよね。


ただし、世界的に有名な観光地ながらとにかく土地が狭いため、冬ならまだしも、夏季にはかなり混雑します。「人に揉まれて何だかわからずに帰ってきてしまった」という感想も時折聞き及びます…。チンクエ・テッレの他にも、実はリグーリアの沿岸部には魅力的な街がありますので、今後の記事で逐次ご紹介していきたいと思います。ぜひご参考になさってくださいね。


2018年5月13日

こんにちは!今回の記事では、ジェノバでぜひ堪能して頂きたいグルメについてお話します。
イタリアと言えば美食の国。地域色豊かなおいしい食べ物をめぐり、食べ歩きをするのもイタリア旅行の楽しみですよね。ジェノバとリグーリア州でも、もちろん特色ある絶品グルメが楽しめます。
今回はそのなかでも一押しの食べ物についてご紹介します。

ペスト・ジェノベーゼ

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(市販のジェノベーゼソースとコインのような形の独特のパスタ、クロゼッティ)


ジェノバのソウルフードといえば何といってもこれ、ペスト・ジェノベーゼ。バジルを使った緑色のペースト状のソースです。
その製法は、バジル、松の実、ニンニク、パルミジャーノ・レッジャーノ、フィオーレ・サルド(サルデーニャ産のペコリーノチーズ)、オリーブオイルに粗塩少々といった材料を石(厳密には大理石)の乳鉢と”ペステッロ”と呼ばれる木の乳棒を使ってすりつぶして濃緑色のペースト状にするというもの。
一見シンプルですが、本当においしいものを作るのは難しいようで、店によって味わいも異なります。ジェノバっ子はそれぞれお気に入りの店があるようです。





こだわりがとにかくスゴイ!

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(先日開催された世界コンテストに伴うイベントでの一幕。多くの市民が一斉にペストを作っていました)


また、上に挙げた材料も実はD.O.P.(イタリアにおける原産地名称保護制度)により非常に細かく決まりがあって、バジルはプラ(ジェノバの一地区)産の若い葉を用いるべき、とか、パルミジャーノ・レッジャーノは少なくとも30か月以上熟成したものを使う、とか、オリーブオイルはリグーリア州産のエクストラバージンオイルでなければならない、とか…。最低限の基準に従っていないものはペスト・ジェノベーゼ(Pesto Genovese)ではなく、「ジェノベーゼ”風の”ペスト(Pesto “alla” genovese)」と名乗らなければいけないのだそうです。





ペスト・ジェノベーゼを食べるには?

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(“Trofie al pesto”)


このように、ものすごくこだわって作られたペストなのですが、ではどこに行けば食べられるのかというと、実はリグーリア州ならだいたいどこへ行っても食べられます。ジェノバ市内やリグーリア州の観光地などにあるイタリア料理を出すレストランであれば、必ずその店オリジナルのペスト・ジェノベーゼをメニューに載せているのです(市内のブリティッシュ・パブにもありました)。
ところが、メニューを見ると、どれがジェノベーゼを使った料理なのかわからない、と思われるかもしれません。というのも、通常ペスト・ジェノヴェーゼはこの地方独特のものであまり耳慣れない名前のパスタと合わせられることが多く、またほとんどの店では”ジェノベーゼ”が省略され、”ペスト”としか記載がないのです。ポイントはパスタ類が掲載されているページの中から、「al pesto」で終わるメニューを探すことです。最も一般的なメニューは、「Trofie al pesto」。Trofieとはリグーリア地方独特のマカロニのようなショートパスタです。





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(バジル味のジェラートも!)


ジェノバっ子たちはとにかくこのペストが大好きで、とてもこだわりが強いです(世界遺産登録も目指しているとか!)。2007年からは毎年ペスト・ジェノヴェーゼの世界コンテストも開催されています。スーパーをのぞいてみると、ペスト・ジェノベーゼ専用のコーナーがあり、複数のブランドがあるのはもちろん、ニンニクが入っていないタイプがあったりもします。
ともかく、ジェノバに来たら必ず召し上がって頂きたい絶品グルメの一つ。お土産にもおすすめですよ!


2018年5月 4日
2018年4月27日
2018年4月23日
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  • 特派員プロフィール
  • ジェノバ特派員

    ジェノバ特派員
    浅井まき
    大学卒業後、社会人を経て2015年渡伊。イタリア北部リグーリア州の港町ジェノヴァに住み始めてはや3年目。現在はジェノヴァ大学の大学院史学研究科に在籍。日本と大きく異なるイタリアでの大学院生生活に四苦八苦しつつ、17~18世紀のジェノヴァ共和国に関する研究を行っている。自分の専門以外にも西洋史全般、美術、現代音楽、グルメ、スポーツなどへの関心大。晴れた休日には近郊へ写真撮影に行くのが楽しみ。 DISQUS ID '@disqus_n3hiU5o4o9

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