四季折々の田舎・秋
色鮮やかで活力に満ち、命が輝いていた田舎の夏が行くと、祭りのあとの静けさの中で秋がじっくりと熟していきます。森の中を歩いていると、ふいに風が吹きわたり、秋の日をうけて高いこずえから黄金の胡蝶が乱舞するように無数の木の葉が舞いおりてくるのに出くわすことがあります。
羊や牛たちが草を食む牧草地は緑のままで、そう変わったようすはありませんが、夏のあいだ、一面波立つようなわらびの原でおおわれていた丘の斜面やムーア(荒地)に赤紫のカーペットを広げたようだったヘザーの花が終わると、翌年の夏がめぐってくるまでその大地は枯れて赤茶けた色を見せています。
イギリスの秋の木の葉は、日本の紅葉のように燃えるような赤に染まるのはまれです。
イギリスでも、家々の外壁や石塀などを這う蔦は、秋が深まると目のさめるような赤に染まります。
ブラックベリーのブッシュには、ルビー色の赤い実がつやつやとした黒曜石色に熟すのを待ちかねるようにして、小鳥やブラックベリー摘みの人々が集まってきます。
秋に田舎を歩いていると、家々の庭先などで、りんごやなしがなっているのを見かけることもあります。
まあ、野生のブラックベリーとちがって、ちょっとお味見をなんてわけにはいきませんけどね。
日本の栗とくらべるといささか小粒ですが、秋には、重たいほどイガをつけている栗の木も見かけます。
落ち葉の散り敷いた森の中へわけ入っていくと、落ち葉のあいだに木の実が転がっていることも……。
さらに、秋の森では、キノコ狩りを楽しむ人々もいます。
秋の田舎の風景には、夏のような快活さや華やかさはありません。けれども、厳しい冬に備えて実りを充実させていく秋には、秋ならでは美しさがあります。また、人をもの思いに誘ったり、にわか詩人に仕立てあげたりする不思議な魅力もあるような気がするのです。
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