初夏の森を行けば

公開日 : 2008年06月17日
最終更新 :

天気予報によると、先週の週末のお天気はあまりかんばしくないとのこと。そこで、遠出をするのはやめて、となり街の郊外にある森の散歩へ出かけたのでした。今回は、そのときのもようをお伝えしようと思います。

1日のうちに1年のお天気が体験できるとも言われるイギリスのお天気。いっきに空がかき曇って大粒の雨が大地をたたきはじめるので、これはもう終日の雨降りになるのかなあと思ったら、つい先ほどまでの陰惨なお天気が嘘であるかのように晴れあがり、白い雲のあいだからあたたかいお日様の光が降りそそいでみたりするのです。このごろは、そんなお天気の日が多いのですが、日曜日の空は、森のはずれの駐車場に車を乗りつけても青く高いまま、遠い空のはしっこにも怪しい雲のかけらも見あたらないのでした。天気予報の予想最高気温は15℃。車の温度計も、きっちり15℃を表示していたのでしたが、体感気温はもう少し高いかなと思うくらいで、散歩にはうってつけの条件。

森の小道に足を踏み入れると、姿はないのにせわしなく鈴を転がすようなハイピッチの野鳥のさえずりが木々のこずえのあちこちから聞こえてきます。

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森のあちこちには、人待ち顔のベンチが……。

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この森のどこかには、木の葉や手のひらの形に掘り出されたベンチもあるのですが、今回の散歩では行き会わせませんでした。ゆるやかな坂をのぼりつめた谷間を見おろす小道の道ばたにも……。

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すでに長年風雨にさらされてきたかに見えるベンチには、小さな金属プレートが貼りつけてありました。

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このプレートには、生没年は記されていませんが、ニール・ブルークさんは生前、よくこの森に散策にやってきて森の谷間を見おろすこの場所がお気に入りだったのではないでしょうか。少し話はそれますが、近年、イギリスでは、森林葬とでも呼ぶべき埋葬をする人があるとのこと。遺体や遺骨を埋葬した場所に墓石ではなく幼木を植えるというものです。年々育っていく命ある木が墓標って悪くないアイデアだと思われませんか。

さて、小道が森陰に入ると、その中の空気はうっすらと緑色に染まっていて、

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ふり仰いでみると……。

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それまでひっそりと静まっていた森にそよ風が吹きわたると、いっせいにひるがえる木の葉がさざ波のような涼やかな葉ずれの音を立てるのでした。草葉のあいだには、去年の秋に実ったどんぐりが……。

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森は、その胎内で、しっかりと未来の森をはぐくんでいるのですね。森の小道を歩いていると、たまには、人の声やリズミカルな蹄(ひづめ)の音が聞こえてくることもあります。

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森は、今、命の盛りを謳歌(おうか)する目のさめるような緑におおい尽くされ、散策を楽しむ人々にもあふれる生命力を分け与えてくれているかのようです。

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ウォーキングコースのひとつを経巡って駐車場の手前まで帰ってくると、シャクナゲのブッシュに出会いました。もうそろそろシャクナゲのシーズンは終わりかなと思っていたのですが、まだまだ美しく咲いていました。

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先週の日曜日は、気まぐれなイギリスのお天気が続く中、思いがけなくのんびりとした森の散策を楽しむことのできた休日となりました。今度の日曜日も、お天気になりますように……。

今回ご紹介した森Chopwell Woodのサイト 地図や詳細がごらんになれます

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