イギリスの夏至の夜空のミステリー

公開日 : 2008年06月24日
最終更新 :

イギリスの夏の日はとても長いのです。もしお手もとに地球儀か世界地図があったら、試しにイギリスの緯度を確認してみていただけませんか。イギリスは、西ヨーロッパ諸国のひとつに分類されていますが、北イングランドやスコットランドは、北欧のデンマーク、それにノルウェーやスウェーデンのあるスカンジナビア半島の南部とほぼ同緯度に位置しています。

なるほど、だから夏の日が長いのもうなずけます。時間だけを考えると、どうしてまたこんな時間にと思ってしまうのですが、何しろ外はまだ昼間の明るさなので、イギリスの住宅地の通りには夜の9時をすぎても小さな子供たちが遊んでいる元気な声がこだましています。それでも、その後、夕闇がせまってきて通りに街灯がともるころになると子供たちの姿も声も消え、ひっそりと静まった通りに夜の帳(とばり)がおりてくるのです。

ですが、その正確な時間についてこれまで確認したことのなかったわたし、ふと思いたち、夏至の日(2008年6月21日)の夜空を観察してみることにしたのでした。ちなみに、夏至の日のロンドンの日の出は4時43分、日没は21時22分でした。ちょうど今、サッカー欧州選手権(ユーロ2008)がオーストリアとスイスで開催中ですが、イギリスの日没時にはまだわが家の外は明るいのですが、テレビ画面に映し出されているサッカースタジアムにはこうこうとライトがともり、ナイター試合となっています。イギリスとヨーロッパ大陸のほとんどの国々との時差は1時間なのですが、その明るさの差はたったの1時間ではないような感じです。

夏至の夜、イギリス時間の夜10時をすぎて西に面するわが家の庭に出てみました。わが家のある北東イングランドの日中の最高気温の予想は13℃。お昼から雨となり、その後終日の雨となってどんよりと暗い1日だったものの、夜の10時では、まだほんのりと空に明るさが残っていました。

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ということは、まあ、11時には、夏至の1日もすっかり暮れおちるのだなとも思われたのでしたが、一方で、厚く空をおおっている雨雲も夜の暮れるのに拍車をかけているにちがいないとも思われるのでした。そこで、スコットランド生まれスコットランド育ちの夫イアンに、夏の空は、いったい何時になったらすっかり闇につつまれるのかと聞いてみたところ、イアンが答えたことには、夏の空がすっかり闇につつまれることはない。空のどこかに太陽の反射のほのあかりが残っているので、夏の空が漆黒(しっこく)の闇に包まれることはないと言うのです。

調べてみると、幸いなことに夏至の日6月21日から6月25日までの日の長さの違いは1分以内なので、夏至の日の翌日にも、もう一度夜の空を観察してみることにしたのでした。

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前日の夏至の日と同じくお天気は雨だったものの、雨雲の厚みが薄く、先の画像と比べていただくと同じ時間の空が心持ち明るいのがごらんいただけるかと。

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残念ながら画像には、ほの明かりも映ってはいませんが、肉眼では、雨にあわくけむる空がぼんやりとかすかな明るみをおびているように見えたのでした。ですが、それがイアンの言うように太陽の反射による明るさなのか。それとも、街灯の明かりのせいなのか。わたしには、判断がつきかねるのでした。そして、さらに、思ったことには、晴れた日の夜ならもっとはっきりとした空の様子を観察できるのではないかということ。そこで、さらに翌日……。

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以下は、夏至と、その翌日と、さらに翌日の午後10時の中天の空。

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それにしても、こうも明るい夜更けの空。イギリスの夏を何回経験しても、どうにも不思議な感じがしてならないのです。そして、そんな異様なまでに明るい夏の空を見あげながら、この明るさを何とかして冬までとっておけないものかなあと思うのです。なぜって、イギリスの冬は、午後の4時にはもうすっかり夜の闇に包まれてしまうんですよね〜。

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