海外旅行・観光情報の「地球の歩き方」TOP > 特派員ブログ > ヨーロッパ  > グラスゴー特派員ブログ > ピーターラビットと仲間たちの家「ヒルトップ」

イギリス/グラスゴー特派員ブログ ギブソンみやこ&ローランズ真弓

イギリス・グラスゴー特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2008年10月25日

ピーターラビットと仲間たちの家「ヒルトップ」


メール プリント もっと見る

ピーターラビットと仲間たちの家「ヒルトップ」

ここしばらくスコットランドの山岳地帯ハイランドをめぐっていましたが、今回から数回にわたって、スコットランドと国境を接する北イングランドのカンブリア州にある湖水地方(レイクディストリクトLake District)のもようをお届けします。まず初回の今日は、湖水地方を愛し、その美しい景観の保護運動に大きく貢献した絵本作家、「ピーターラビットのおはなし(The Tale of Peter Rabbit)」シリーズで世界に名を知られるビアトリクス・ポター(Beatrix Potter)の自宅ヒルトップ農場(Hill Top)から。


P7190186z.jpg ヒルトップ農場付近に広がる風景。


湖水地方最大の湖ウィンダミア湖の西岸からそう遠くないエスウェイト湖(Esthwaite Water)の南端ニアソーリー村(Near Sawrey)にビアトリクス・ポターが後半生をすごしたヒルトップ農場があります。ロンドンの裕福な家庭に育ったビアトリクス・ポターは、子供時代から夏のあいだの避暑にたびたび湖水地方を訪れ、湖水地方の美しさに魅せられていました。そこで、絵本「ピーターラビットのおはなし」が大成功をおさめるとその収益でヒルトップ農場を購入して湖水地方に移り住み、「ピーターラビットのおはなし」シリーズを書きついだのでした。


ビアトリクス・ポター(1866−1943)は、自分の死後も湖水地方をそのままの姿で未来に残したいと考え、ヒルトップを含む14の農場と所有していた土地のほとんどすべてをイギリスの史跡自然保護団体であるナショナルトラスト(National Trust)に寄付しました。ナショナルトラストは、ビアトリクス・ポターの遺言にしたがってヒルトップの内部を彼女が生前暮らしていたままに保存し、一般に公開しています。


イギリス国内のみならず、ヒルトップ農場は世界各地から多くの観光客を集めているのですが、もしかすると日本からの来訪者が一番多いのかもしれません。チケットオフィスの看板には、カタカナ表記も……。


P7190144z.jpg P7190145z.jpg


右の画像は、湖水地方で産出するスレート(粘板岩)を積んでつくられている納屋を利用したチケットオフィスの入り口。内部には、納屋のようすが再現されていて、その手前のカウンターでチケットを購入します。チケットを購入すると、ヒルトップのパンフレットにチケットをホッチキスでとめて手わたしてくれるのですが、そのときに、チケットの後ろに数字が書きこまれます。


P1040648z.jpg P1040645z.jpg


チケットに書き込まれている数字、「11」と「20」は、「11時20分」になったらヒルトップの内部に入ることができますよという意味。ヒルトップ内部の大きさに比べて来訪者の数が多いので、時間をくぎって内部の見学者の数を制限しているのです。入館時間は決められますが、何時になったら出なければならないという制限はないので好きなだけいられます。


ところで、ビアトリクス・ポターの若き日の悲恋を描いた映画「ミス・ポッター」(レニー・ ゼルウェガー主演)をご存じでしょうか。イギリスでは2006年に公開になったのですが、この8月にイギリス国営放送BBCでテレビで放送されると、それまででも多かったヒルトップへの見学者が急増し、入館制限時間をつけたチケットが午後2時には売り切れ、チケットを購入しても入館までには2時間待ちというヒルトップはじまって以来の事態が生じてしまったのでした。


今ではその現象も沈静化したようですが、ふだんでもにぎわっているヒルトップ内部の見学は10時半の開館時間をめどに朝一で出かけられるのが得策かと。わたしたちが到着したのは10時半すぎだったのですが、すでにヒルトップの駐車場はいっぱいでスタッフの誘導で近くのホテルの前に駐車し、チケットに書き込まれたわたしたちの入館時間「11時20分」まで時間をつぶさねばなりませんでした。


ですが、ヒルトップ内部は見てまわらなくても外からながめるだけでいいという場合は、チケットを購入する必要も、時間待ちをする必要もありません。ギフトショップとガーデンの入場は無料。しかもヒルトップ農場内部の開館時間より早めにオープンし、農場の閉館日でも開いていることもあります。ヒルトップ、および、ギフトショップやガーデンの公開時期と時間については変更されることがあるので、お出かけのさいに、この記事の最後にご紹介するヒルトップのサイトでご確認ください。


「ヒルトップ(Hill Top)」と看板のあがっているギフトショップ。


P7190154z.jpg


ガーデンとヒルトップ農場への通路ともなっているうなぎの寝床のようなギフトショップには、「ピーターラビットのおななし」シリーズをモチーフとたグッズや本、ビアトリクス・ポター関連の書籍がところ狭しとならんでいて目移りしてしまうくらいよりどりみどり。


ギフトショップを通りぬけた先にヒルトップ農場があります。


P7190160z.jpg


農場の建物、一枚の画像におさまり切らず、やむなく、左(↑)から右(↓)へ移動。


P7190161z.jpg


農場の内部は、外の明るさとうって変わって穴倉にもぐりこんだような薄暗さに包まれています。それは、夏でも暖炉の火がほしい日のある北イングランドで暮らす工夫として、暖めた屋内の空気が外へ逃げていかないように窓の数は少なく小さめにしてあるためです。ビアトリクス・ポターの仕事部屋は二階にあるのですが、絵本を描いた机は窓辺に寄せられています。にもかからず、よくこんな暗い手もとで小さくて細かい絵が描けたものだと驚かされます。後年、視力が落ちて絵本の創作を断念せざるをえなくなったのもうなずけます。


ギイギイときしむ古い床板を踏んで農場の部屋やローカに足を進めると、行く先々でビアトリクス・ポターが絵本に描いたシーンの実物の家具調度、ドールハウスなどに出くわします。また、部屋の窓から外の景色をながめれば、そこにも絵本の中でおなじみの背景が繰り広げられているのです。まるで、ふと自分が登場人物になってビアトリクス・ポターの絵本の世界へ迷いこんでしまったかのような錯覚をおぼえます。


P7190173a.jpg こちらは、農場の手前にある菜園の入り口。


菜園は実際に営まれて、各種の野菜やくだものが栽培されています。


P7190170z.jpg


画像の一番手前で、丸い緑色の果実をつけているのはグーズベリー。


P7190171z.jpg


菜園のこんな風景の中にいると、どこかの草の陰やこわれた塀のあいだから、いたずらっ子ピーターやベンジャミンバニーがお尻を跳ねあげてその愛らしい姿をあらわしそうな気がしてしまうのです。


農場見学のあと、菜園を散策し、ギフトショップでお土産を買い込んで車道に出たあとも、まだまだピーターラビットと仲間たちの世界は終わったわけではありません。


P7190153z.jpg


絵本の中に登場する建物が、ひょっこりと目の前にあらわれたり、


P7190183z.jpg


絵本の中の登場人物に出会ったりすることもあるのです。


P7190185z.jpg


ねっ。B&B(民宿)の前のベンチで、誰と記念撮影なのかなあと思ってのぞいてみると、ピーターラビットとピーターのお父さんを捕まえてパイにして食べちゃったマグレガーさんだったのでした。


P7190181z.jpg


幾世代にわたって世界中の子供たちやおとなたちにも親しまれているピーターと仲間たちのおとぎの世界を創りあげた絵本作家ビアトリクス・ポターのお墓はありません。火葬された遺灰はこのニアソーリーの野にまかれ、今、ビアトリクス・ポターは、彼女がこよなく愛した湖水地方と一体となって安らかに永眠しています。

ヒルトップ農場(Hill Top)のサイト

記事の商用利用を希望される際はコチラからお申し込みください。
カテゴリー 旅行・ツアー・ホテル 見所・観光・定番スポット
2008年10月25日
« 前の記事「地球のくれた宝物「トレジャー・オブ・ジ・アース」」へ
»次の記事「ピーターラビットの原画が見られるギャラリー」 へ
おすすめ記事
    グラスゴー特派員 新着記事
    ごあいさつ
    イギリスののどかな春の野原で
    エイプリルフール史上イギリス人が最もだまされた嘘!
    グラスゴー大聖堂&聖マンゴー宗教博物館
    リバーサイドミュージアムへ行こう!
    マッキントッシュの家を訪ねて
    ウィローティールームとカーレンスキンク
    ファイブシスターズの最高峰をめざす

    イギリス ツアー最安値


    2017/10/23更新

    イギリス 航空券情報


    イギリス旅行 旅スケジュール

    旅行者の作る、新着!旅スケジュールをご紹介します。 ■イギリスの旅行記・口コミ「旅スケ」へ

    ヨーロッパ特派員ブログ一覧

    アイスランド/レイキャヴィークアイルランド/ゴールウェイイギリス/イーリーイギリス/エディンバライギリス/カーディフイギリス/ギルフォードイギリス/グラスゴーイギリス/ケンブリッジイギリス/コッツウォルズイギリス/ヒースローイギリス/ブリストルイギリス/ベルファストイギリス/ヨークイギリス/ロンドンイギリス/ロンドン2イギリス/ロンドン3イタリア/シチリア島イタリア/トリノイタリア/ナポリイタリア/ナポリ2イタリア/パルマイタリア/フィレンツェイタリア/ミラノイタリア/ミラノ2イタリア/ラ・スペツィアイタリア/ローマエストニア/タリンオランダ/アイントホーフェンオランダ/アムステルダムオランダ/ライデンオーストリア/ウィーンオーストリア/チロルオーストリア/リンツキプロス/ニコシアギリシャ/アテネクロアチア/コルチュラ島クロアチア/ザグレブクロアチア/ドゥブロヴニクスイス/アッペンツェルスイス/チューリヒスイス/ベルンスウェーデン/ストックホルムスペイン/イビサ島スペイン/バルセロナスペイン/バレンシアスペイン/ビトリアスペイン/ビルバオスペイン/マドリッドスロヴェニア/リュブリャナチェコ/プラハ2チェコ/ブルノチェコ/プラハデンマーク/コペンハーゲンドイツ/ケルン2ドイツ/ケルンドイツ/シュタインバッハドイツ/ハノーファードイツ/ハンブルクドイツ/フライブルクドイツ/フランクフルトドイツ/ベルリンドイツ/ボンドイツ/ミュンヘンドイツ/ミンデンドイツ/レーゲンスブルクノルウェー/オスロノルウェー/オスロ2ノルウェー/ベルゲンハンガリー/ブダペストフィンランド/トゥルクフィンランド/ヘルシンキフィンランド/レヴィ・サーリセルカフランス/アヌシーフランス/カンヌフランス/サンローフランス/トゥルコアンフランス/ナルボンヌフランス/パリフランス/ボルドーフランス/マルセイユフランス/リヨンブルガリア/ソフィアブルガリア/プレヴェンベルギー/ゲントベルギー/ブリュッセルポルトガル/ポルトポルトガル/リスボンマケドニア/スコピエマルタ/マルタ島モンテネグロ/ポドゴリツァヨーロッパ/バルカンラトヴィア/リーガルクセンブルク/ルクセンブルクルーマニア/ブカレストロシア/モスクワ

    ヨーロッパにもどる

    • 特派員プロフィール
    • グラスゴー特派員

      グラスゴー特派員
      ギブソンみやこ&ローランズ真弓

      ■ギブソンみやこ
      1991年より英国在住。わたしが愛してやまないイギリスの田舎歩きの魅力や楽しみをたっぷりとお届けします!
      ブログ「イギリス国際結婚あんなことこんなこと

      ■ローランズ真弓
      2005年より英国在住。赤ちゃんとのドタバタの毎日から見えてくるイギリスの生活情報をお届けします!
      環境ブログ「英国えこうぉーりあー日記

    • リーダーに登録

    地球の歩き方Web特派員募集