英雄たちの塔ウォレス・モニュメント

公開日 : 2009年01月12日
最終更新 :

壮大なスコットランドの山岳地帯ハイランドの山なみを背景にスターリング(Stirling)の中央の小高い丘の上に建っているのはスターリング城、けれども、市街の北のすそ野にある丘の上にさらにもうひとつ、スターリングのスカイラインにすっくと立ちあがって人目をひく塔があるのです。

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実は、今回は訪れなかったのでふんだんな画像はお届けできないものの、お城とならんでスターリングの名所となっているこの塔、必見の観光スポットでもあり、また一方で、スコットランド愛国者たちの象徴でもあるのです。塔の正式名称は、「ナショナル・ウォレス・モニュメント(The National Wallace Monument)」。

メル・ギブソン主演監督の映画「ブレイブハート」(1995年)をごらんになったことのあるみなさんには、その主人公の名前ウィリアム・ウォレス(William Wallace)はすでにおなじみかと。このウォレス・モニュメント(Wallace Monument)は、イングランドからスコットランドの独立を勝ちとるために戦った スコットランドの伝説的英雄ウィリアム・ウォレスとその他の歴史上の人物をたたえるために8年の歳月をかけて1869年に完成した記念碑なのです。

ウィリアム・ウォレスが生きたのは13世紀の後半(生年は不明)からイングランド軍に捕らえられて処刑される1305年までなので、ウィリアム・ウォレスが生前この塔を目にすることはなかったのですが、1297年、ウィリアム・ウォレスはこの塔の建っているアビクレイグ(Abby Craig)の丘のてっぺんから進軍してくるイングランド軍の動向を見すえ、スコットランド軍が多勢のイングランド軍を大破するスターリングブリッジの戦い(Battle of Stirling Bridge)に発ったのでした。ちなみに、先の画像の中央下の方に見えているのが現在のスターリングブリッジです。

わたしたち一家がこのウォレス・モニュメントを訪れたのは7年前のこと。モニュメントの丘のふもとにチケットオフィスがあって、その隣にウィリアム・ウォレスの石像が建っていました。その石像を見あげて思ったことは、えっ ! どうして、ウィリアム・ウォレスがメル・ギブソンになってるの? なんて言うと、メル・ギブソン本人やファンのみなさんは気分を害されるかもしれませんが、その無骨な表情にはどう見ても、メル・ギブソンの面差しがあるのです。そしたら、その石像のもっている円形の楯(たて)に、「ブレイブハート(Braveheart)」と刻まれていて納得。

石像は、「ブレイブハート(Braveheart)」のメル・ギブソンをモデルに造られたものだったのでした。そして、そこのところが、スコットランドの生粋の愛国主義者の方々にはとっても不評なのだとか。ですが、映画を見て訪れた観光客の方々にはとても好評で、わたしたち一家も順番を待って、石像の前で記念写真を撮ったのでした。その後、丘のてっぺんに建つモニュメント目指してかなりのぼりのきつい小道をのぼっていきました。その道中、あちこちから聞こえてくるのは英語以外のヨーロッパ言語。やっぱり、世界的にヒットした映画の影響って絶大ですねえ。

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急傾斜の小道をえっちらおっちら登っていくのはかなわないと思われる方のためには、丘のふもとのチケットオフィスからミニバスが出ていて丘のてっぺんのモニュメントの足もとまで運んでくれます。ですが、モニュメントに一歩足を踏み込むと、そのあとは、すれ違うのも難しい狭い石の螺旋階段を自分の足でのぼりつめて各階の展示室へ。薄暗い螺旋階段の石の壁には、採光のためかと思うのですが、細長い窓が設けられていて、今、自分がどのくらいの高みにいるか外の景色を見おろして確認できてしまうので、高いところが苦手な方には、ちょっときついものがあるかもしれません。石段は、全部で246段。心臓にもきついものがありますが、塔のてっぺんまでのぼりきると、スターリングの街やあたりの雄大な景色がながめられます。まあ、わたしたち一家のようにあまり運がよくないと、下界の景色をおおう白い一面の霧しか見えない場合もあるみたいですけどね。

各階の展示室、まず2階は、全フロアー、ウィリアム・ウォレスに関する展示。ウィリアム・ウォレスが捕らえられて裁判にかけられている場面が再現されていて、映写機で映し出された3Dのウィリアム・ウォレスの顔がしゃべりだすのでびっくりしてしまいました。展示の目玉は、ウィリアム・ウォレスの長剣。そのほか、壁には、ウィリアム・ウォレスの生涯について解説したパネルがかけられていて、映画「ブレイブハート」の脚色を抜きにした実際のウィリアム・ウォレスの生涯や処刑の史実に圧倒されてしまいました。

3階は、スコットランドの英雄や著名人たちのホール。胸像や武器が陳列されていて、武器の使用法の実演なども。4階は、モニュメント建造に関する展示やギャラリー。1階には展示室はなく、カフェとギフトショップになっています。

入場料は、大人6.5ポンド、小人4.00ポンド(2009年1月現在)。その他の詳細については以下にご紹介するナショナル・ウォレス・モニュメント(The National Wallace Monument)のサイトでご確認ください。

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