海外旅行・観光情報の「地球の歩き方」TOP > 特派員ブログ > ヨーロッパ  > グラスゴー特派員ブログ > 「スカボローフェア」の港町へ

イギリス/グラスゴー特派員ブログ ギブソンみやこ&ローランズ真弓

イギリス・グラスゴー特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2009年5月15日

「スカボローフェア」の港町へ


メール プリント もっと見る

「スカボローフェア」の港町へ


Are you going to Scarborough Fair? (スカボローフェアへ行くのですか?)
Parsley, sage, rosemary and thyme, (パセリ、セージ、ローズマリーにタイム)
Remember me to one who lives there, (そこに住んでいる人によろしく伝えてください)
She once was a true love of mine. (彼女は、かつて真実の愛を捧げるわたしの恋人だったのです)


優しくて切ないメロディーにのせて歌われるサイモン&ガーファンクルの「スカボローフェア」の歌詞はさらに続きます。どうか彼女に伝えてください。お針仕事をせず、縫い目のないシャツを縫ってくれたら、そして、縫いあがったシャツを涸れた井戸の水で洗ってくれたら、その時、彼女は真実の愛で結ばれるわたしの恋人になるのです。歌詞の中の、そんな謎めいた不可能の数々を可能にしないかぎり、かつての恋人たちは結ばれることがないらしいのです。


何とも不可思議でもの哀しい物語が秘められたこの歌の舞台スカボロー(Scarborough、実際の発音では「スカーバラ」の方が近いのですが、日本語では、「スカボロ(ー)」と表記されるようなのでその表記に従います)が北イングランドのノースヨークシャーの町であることは、ずっと以前から知っていたのでした。ですが、実際には、スカボローフェアというお祭りは存在しないのだと何かで読んだことがあったので、てっきり、「スカボローフェア」も、歌詞も、みんなサイモン&ガーファンクルの創作だと思い込んでいたのでした。


ところが、最近ふとしたことでスカボローフェアは今はもう存在しないけれど、以前は存在していたことがわかったのでした。歌の「スカボローフェア」もサイモン&ガーファンクルの作ではなくてスカボローに古くから伝わる民謡−その昔、イギリス国内の町から町を渡り歩いた吟遊詩人が曲に載せて語り継いだ寓意を含んだバラッド−だったらしいのです。そういうことなら、1度、スカボローへ出かけて見ねばなるまいと思ったわけなのでした。


古くから栄えた港町スカボローは、13世紀の中ごろ海外との貿易権を得たことによって、8月の中旬から9月の下旬まで6週間に渡る国際的な貿易市スカボローフェアを開催することになりました。イギリス国内やヨーロッパ各国から多くの商人たちを集めて盛況をきわめたスカボローフェアは、以後、毎年、18世紀まで500年に渡って続いたのでした。


スカボローの海を見おろす高台に建ているセント・メリー教会(St. Mary's church)の墓地には、「ジェーン・エア」の作者シャーロット・ブロンテ、「嵐が丘」の作者エミリー・ブロンテの一番下の妹で、姉たちと同じように作家であり、詩人でもあったアン・ブロンテ(Anne Brontë)が永眠しています。


P1070152x.jpg

IMG_0481x.jpg


こちらが、アン・ブロンテのお墓。


P1070149x.jpg

P1070151a.jpg


アン・ブロンテは、1848年に兄のブランウェル、姉エミリーが29歳と28歳で夭逝したあと、自らも病気に倒れ、翌年、療養に訪れたスカボローで29歳の若さで兄弟のあとを追うように亡くなったのでした。


教会のある高台の坂道をさらに上り詰めると、いかめしい姿を現すのはスカロボー城の城門。


P1070165x.jpg


12世紀に築城されたスカボロー城の天守閣は、今は廃墟となっていますが、往時には500百年にわたって開催されたスカボローフェアをこの高みから見守っていたことでしょう。


P1070195x.jpg


お城から、資料館とカフェになっている建物と北海が望めます。


IMG_0490x.jpg


さらに、お城のある高台をはさんで北側に広がるノースベイ(North Bay)と、


IMG_0495x.jpg


南側に広がるサウスベイ(South Bay)。


IMG_0491x.jpg


スカボローは温泉の湧く保養地としても知られ、シーフロントは今でも観光客でにぎわっています。


P1070231x.jpg


でも、きっと、スカボローフェアのにぎわいはこんなものじゃあなかったでしょうね。何しろスカボローフェアーには、イングランド各地から、ヨーロッパ大陸やバルチック海沿岸の国々、ビザンチン帝国からも、貿易商をはじめとする多くの人々が訪れたのだそうですから。それに、大道芸人や、「スカボローフェア」を歌う吟遊詩人たちもね。


P1070212x.jpg P1070213x.jpg


残念ながら往時のスカボローフェアは現在は存在していないのですが、毎年9月には、スカボローフェアをしのぶイベントが開催されるそうです。そのころに訪れると、「スカボローフェア」の歌の世界に出会えるかもしれません。


P1070230x.jpg

記事の商用利用を希望される際はコチラからお申し込みください。
カテゴリー 見所・観光・定番スポット
2009年5月15日
« 前の記事「ベルセイ城のクリスタルの馬」へ
»次の記事「ドラキュラ伯爵が上陸した港町ウィットビー」 へ
おすすめ記事
    グラスゴー特派員 新着記事
    ごあいさつ
    イギリスののどかな春の野原で
    エイプリルフール史上イギリス人が最もだまされた嘘!
    グラスゴー大聖堂&聖マンゴー宗教博物館
    リバーサイドミュージアムへ行こう!
    マッキントッシュの家を訪ねて
    ウィローティールームとカーレンスキンク
    ファイブシスターズの最高峰をめざす
    1年前の同じ月に投稿された記事
    花で飾られた家族のアルバム
    ファームショップものぞいてみました
    オーガニックのサンデーランチ
    イギリス流アロマセラピー 2

    イギリス 航空券情報


    イギリス旅行 旅スケジュール

    旅行者の作る、新着!旅スケジュールをご紹介します。 ■イギリスの旅行記・口コミ「旅スケ」へ

    ヨーロッパ特派員ブログ一覧

    アイスランド/レイキャヴィークアイルランド/ゴールウェイイギリス/イーリーイギリス/エディンバライギリス/カーディフイギリス/ギルフォードイギリス/グラスゴーイギリス/ケンブリッジイギリス/コッツウォルズイギリス/ヒースローイギリス/ブリストルイギリス/ベルファストイギリス/ヨークイギリス/ロンドンイギリス/ロンドン2イギリス/ロンドン3イタリア/シチリア島イタリア/トリノイタリア/ナポリイタリア/ナポリ2イタリア/パルマイタリア/フィレンツェイタリア/ミラノイタリア/ミラノエキスポイタリア/ラ・スペツィアイタリア/ローマエストニア/タリンオランダ/アイントホーフェンオランダ/アムステルダムオランダ/ライデンオーストリア/ウィーンオーストリア/チロルオーストリア/リンツキプロス/ニコシアギリシャ/アテネクロアチア/ザグレブクロアチア/ドゥブロヴニクスイス/アッペンツェルスイス/チューリヒスイス/ベルンスウェーデン/ストックホルムスペイン/イビサ島スペイン/バルセロナスペイン/バレンシアスペイン/ビトリアスペイン/ビルバオスペイン/マドリッドスロヴェニア/リュブリャナチェコ/ブルノチェコ/プラハデンマーク/コペンハーゲンドイツ/ケルンドイツ/シュタインバッハドイツ/ハノーファードイツ/ハンブルクドイツ/フライブルクドイツ/フランクフルトドイツ/ベルリンドイツ/ボンドイツ/ミュンヘンドイツ/ミンデンドイツ/レーゲンスブルクノルウェー/オスロノルウェー/オスロ2ノルウェー/ベルゲンハンガリー/ブダペストフィンランド/トゥルクフィンランド/ヘルシンキフィンランド/レヴィ・サーリセルカフランス/アヌシーフランス/カンヌフランス/サンローフランス/トゥルコアンフランス/ナルボンヌフランス/パリフランス/ボルドーフランス/マルセイユフランス/リヨンブルガリア/ソフィアブルガリア/プレヴェンベルギー/ゲントベルギー/ブリュッセルポルトガル/ポルトポルトガル/リスボンマケドニア/スコピエマルタ/マルタ島モンテネグロ/ポドゴリツァヨーロッパ/バルカンラトヴィア/リーガルクセンブルク/ルクセンブルクルーマニア/ブカレストロシア/モスクワ

    ヨーロッパにもどる

    • 特派員プロフィール
    • グラスゴー特派員

      グラスゴー特派員
      ギブソンみやこ&ローランズ真弓

      ■ギブソンみやこ
      1991年より英国在住。わたしが愛してやまないイギリスの田舎歩きの魅力や楽しみをたっぷりとお届けします!
      ブログ「イギリス国際結婚あんなことこんなこと

      ■ローランズ真弓
      2005年より英国在住。赤ちゃんとのドタバタの毎日から見えてくるイギリスの生活情報をお届けします!
      環境ブログ「英国えこうぉーりあー日記

    • リーダーに登録

    地球の歩き方Web特派員募集