リンリスゴー宮殿、イングランドとスコットランドの婚礼パーティー 2
エディンバラ近郊のリンリスゴーの町にメアリー女王の生まれた宮殿があるというので、じゃあ、まあ、ちょっと見に行ってみようかと出かけてきたわたしたち一家、気がついたら、1503年のリンリスゴー宮殿でスコットランド王家の婚礼パーティーに招待されていたのでした。(そこまでのお話は、こちら)
さて、宮殿の正門をくぐり、宮殿の敷地内に足を踏み入れてみると……。
宮殿わきのリンリスゴー湖(Linlithgow Loch)を見下ろす高台の上に、パレードの一行が勢ぞろい。招待客たちの入場を待って、一行は、湖畔の競技場へとしずしずと歩みを進めていったのでありました。
ところで、この婚礼パーティーは、手前の馬上の方、スコットランド王のジェームズ4世と、後方の馬上の淑女、イングランド王ヘンリー7世の娘マーガレット・チューダー(Margaret Tudor)の婚礼(結婚式は、エディンバラにあるホリールード寺院で挙げられたのだそうです)をお祝いする祝宴です。
この宮殿で生まれたスコットランドのメアリー女王は、この新郎ジェームズ4世の孫にあたります。また、新婦マーガレット・チューダーは、エリザベス1世の父親ヘンリー8世の姉なので、エリザベス1世からすると伯母にあたります。つまり、メアリーはこの新郎新婦の孫で、エリザベスは姪。この婚姻によって、メアリー女王とエリザベス1世に血縁関係が生まれ、2人はイングランドの王位を争うことになったのでした。
イングランドの王位争いにはエリザベス1世が勝ち、スコットランドの王位をも追われたメアリー女王は、今度はエリザベス1世を頼ってイングランドに逃れるのですが、エリザベス1世によってイングランド各地で幽閉され、その後も、イングランドの王位につこうと陰謀を企てたために、ついにはエリザベス1世によって処刑されてしまいます。
ところが、2人の因縁はそれで決着をみたわけではありませんでした。「バージン・クィーン」とも呼ばれ、一生結婚しなかったエリザベス1世には、当然のことながら子供はなく、エリザベス1世を最後にイングランドのチューダー朝は途絶えてしまうのです。そこで、死の床にある女王は次の王を指名するのですが、エリザベス1世が指名したのは、チューダー王家の血を引き、自分が名づけ親でもあるメアリー女王の息子ジェームズ・スチュアートだったのでした。メアリー女王の廃位後、スコットランド王となっていたジェームズ6世が、イングランド王としてはジェームズ1世として即位したのです。こうして、スコットランドの王家スチュアート家の王がイングランドの王も兼ねるスチュアート朝が開かれることになったのでした。
つまり、このスコットランドとイングランドの歴史的な大事件を引きおこすきっかけとなったのが、今回のリンリスゴー宮殿での婚礼パーティーの主役の新郎新婦だったというわけなのです。
馬上の騎士たちは、スコットランドの有力氏族のつわものたち。赤字に黄色い星は、スコットランド南部から北イングランドに勢力を持っていたダグラス家(Douglas)。赤字に黒と白の格子模様の楯(たて)は、スコットランド北部に勢力をはるリンゼー家(Lindsay)。5弁の花びらのような紋章は、王家とも血縁関係にあるハミルトン家(Hamilton)。黒と黄色に塗り分けられているのは、スコットランドの山岳地帯の有力氏族キャンベル家(Campbell)。(キャンベル家は、こちらのお城の城主です)
これらの有力氏族の騎士たちが湖畔の競技場にたどり着くと、王族貴族方や多くの見物人に見守られ、馬上槍(やり)試合がはじまりました。(大きな画像でごらんになりたい場合は、画像をクリックしてください)
そのあとは、鷹匠(たかしょう)による鷹狩りの実演。
競技場の背後に建てられているテントでは、16世紀当時の暮らしや戦闘に用いられた品々の展示や実演が行なわれていました。
このあと、弓の競技会や、長剣、斧(おの)などの競技会もあるらしいのですが、そろそろ王様方ご一行は競技場を後にして宮殿へ入場されるとのこと。というわけで、わたしたちも、宮殿内へと向かうことにしたのでした。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。