北東イングランドの伝統楽器ノーサンブリアンパイプ

公開日 : 2009年09月17日
最終更新 :

スコットランドと国境を接するイングランド最北端の州は2つあります。西側が、湖水地方のあるカンブリア(Cumbria)州で、東側がノーサンバーランド(Northumberland)州。ノーサンバーランド州に、隣接する南の地域も合わせた北東イングランド(North East England)は、ノーサンブリア(Northumbria)とも呼ばれます。このノーサンブリア地方に伝わる伝統楽器ノーサンブリアンパイプ(Northumbrian Pipe)の奏者の方々の集まりに出かけてきました。そこで、今回はちょっと趣向を変えて、わたしたち一家が暮らす北東イングランドに伝わる伝統楽器ノーサンブリアンパイプをご紹介しようと思います。

ですが、まずは、こちら……。

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この楽器は何でしょう? と聞かれたら、ほとんどのみなさんが、バグパイプと答えられるのではないでしょうか。その通り! これは、スコットランドの伝統楽器バグパイプです。ウィスキーやネッシーと並んでスコットランド名物となっているので、スコットランドを訪れたことのない方も、テレビや雑誌などで見かけられたことがあるのではと思います。実は、バグパイプの他にも、○○パイプと呼ばれる楽器は数々あって、ノーサンブリアンパイプもそのひとつなのです。

こちらが、全部合わせて、ノーサンブリアンパイプ。

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演奏するために、ノーサンブリアンパイプを着装したところ。

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先のバグパイプと比べると、どことなく似ていて、どことなく違っているのがごらんいただけるかと。ノーサンブリアンパイプは、ノーサンブリアンスモールパイプ(Northumbrian Smallpipe)とも呼ばれますが、その名の通り、バグパイプと比べると小さめなので女性の奏者の方もいらっしゃいます。

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上の画像のノーサンブリアンパイプは、胸元のドローンズ(Drones)と呼ばれるパーツが1本の太い筒状になっていて、先の男性奏者の方の細長い筒状の4本のものとは外見上は異なっていますが、機能は同じ。ドローンズは、主旋律のバックグラウンドで常時コードを流して、主旋律に奥行きと深みを添える役割を果たします。演奏中には触れられません。

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そして、バグパイプ同様、片脇に演奏用の空気をためておく空気の入ったエアバッグ(Air Bag)をかかえているのですが、

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バグパイプと構造上最も異なっているのは、もう片脇にかかえている送風器のふいごベローズ(Bellows)があること。形は違いますが、アコーディオンの蛇腹型のものと機能は同じ。ノーサンブリアンパイプのものは、片脇を開けたり締めたりして空気を取り込み、取り込んだ空気をエアバッグに送ります。

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バグパイプには送風器ベローズはなく、一番最初のバグパイプの画像でごらんいただいたように口から呼気を吹き込んでエアバッグに空気を溜める仕組みになっています。ノーサンブリアンパイプは肺活量を要求されない代わりに、両脇を同時に使う器用さを要求されそうです。

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ノーサンブリアンパイプの名手デイブ・ショー氏(Dave Shaw上の画像)によると、楽器の操作に慣れるのに1年ほどかかり、2年もすれば演奏できるようになるとのこと。ノーサンブリアンパイプのお値段を聞いてみたところ、画像のものは、1,500ポンドほど。ですが、中古でまずまずのものは300ポンドくらいで手に入るとのことでした。(現在、1ポンドは151円)

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バグパイプは、音が大きくて甲高いので屋外の演奏に適していますが、ノーサンブリアンパイプは室内演奏に適しています。その音色は、柔らかで哀愁を帯び、演奏中にドローンズから流れているバックグラウンドの音は何重にも重なる薄いヴェールを思わせ、主旋律に奥行きと深みを与えています。

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ノーサンブリアンパイプについて、もっと詳しいことを知りたいと思われる場合は、連絡先も記されているデイブさんのホームページを訪れてみてください。(http://www.daveshaw.co.uk/index.html)。また、地元北東イングランド出身のロックミュージシャン、スティングとも共演し、世界的な音楽活動を繰り広げているキャスリン・ティッケル(Kathryn Tickell)のサイト(http://www.kathryntickell.com/)では、ノーサンブリアンパイプの音色を聞くことができます。トップページを開くと演奏がはじまりますが、画面左下に曲のリストが出てきますので、いくつかクリックして聞き比べてみてください。

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