帰国子女になる子供たちと国際児のための日本語学校「北東イングランド補習授業校」

公開日 : 2009年11月07日
最終更新 :

今回は、わが家の近くにある日本語学校についてお伝えします。まずは、家族で海外赴任をしている日本人家庭の子供たち、海外で暮らす国際結婚家庭の子供たちが通う学校には2種類あるのをご存じですか。全日制の日本人学校と、週末や現地校の放課後などに開校されている日本人補習授業校です。日本人補習授業校は、補習校とも呼ばれています。

日本人学校が日本の小学校や中学校で学ぶ全教科を日本語で学ぶフルタイムの学校なのに対して、補習校は、主に日本語(国語)を学ぶパートタイムの学校です。日本政府から認定された補習校は政府からの援助を受けてはいますが、独立した学校なので、それぞれ独自の運営のもとに独自のカリキュラムが組まれています。国語1教科だけ教える補習校もあれば、他の教科も教えている補習校もあります。また、義務教育の子供たちを対象にしている補習校がほとんどですが、幼稚部(幼児部)や高等部を併設している補習校もあります。

イギリスには、ロンドンに日本人学校が1校、補習校はロンドンを含め、全国に9校の補習校があります。その中から、今回ご紹介するのは、わが家のあるニューキャッスルから南へ車で20分ほどのワシントン(Washington)にある北東イングランド補習授業校(North East of England Japanese Saturday)。

補習校.jpg

北東イングランド補習校は、1985年から現地の学校オックスクロース・コミュニティー・スクール(Oxclose Community School 12歳から18歳の子供たちが通う公立の学校)の校舎を借り、週1回土曜日の午前中に、3時限の国語科の授業を行っています。通っているのは、小学校の1年生から中学校の3年生まで合計44人(4人の休学を含む)の子供たち。そのほかに、現在、幼児部併設へ向けてのトライアルが行われています。多いときには100名を超えていた児童生徒数は日本企業の北東イングランドからの撤退にともなって激減しました。一方で、地元の国際結婚家庭の数が増えたので、現在の児童生徒の半数近くが国際児で占められています。

教材は、日本政府から支給される三村図書出版の国語の教科書や副読本を使い、日本の国語科の指導要領に基づいた授業が行われています。ただし、近年の生徒児童数減少にともない複式や複々式の2、3学年混合のクラスが生まれたために、他の会社の教科書を併用するなどの工夫がなされるようになっています。また、大きな割合を占めるようになった国際児たちの多くは英語に傾きがちの家庭環境で育っているので、日本語のレベル差の広がったクラス運営への対応が迫られています。

児童生徒数が100名を超える補習校には、3年の期限で日本から1名の派遣教員が派遣され、日本からの派遣教員は、通常、校長として迎えられるのですが、現在、北東イングランド補習校には日本からの派遣教員はありません。授業を行う講師は、補習校の保護者で構成されている運営委員会によって現地で採用されます。北東イングランド補習校の場合は、国際結婚をしている現地在住者、大学への留学生が講師を務めています。採用には、教員免許などの資格は必要とされていません。

日本からの派遣教員がある場合には、派遣教員が講師の研修を行うのですが、派遣のないイギリス国内の補習校とアイルランドのダブリン補習校の講師が参加して、毎年、夏季に、持ち回りでそれぞれの補習校を会場とする講師研修会が持たれています。全員の講師が参加するわけではありませんが、参加した講師は、それぞれの補習校に研修した内容を持ち帰り、講師間の研修に努めています。

補習校では、平常の授業日のほかに、保護者の協力を得て日本の学校行事を催し、補習校に通ってくる子供たちが日本の学校生活を体験できるよう工夫しています。北東イングランド補習校では、現在、入学・卒業式、授業参観日、運動会、学習発表会を年間行事として行っています。日本の学校と比べると規模は小さいながら、子供たち、講師、保護者のみなさんが総出で取り組む手作りの行事となっています。

また、北東イングランド補習校では、学外との交流や学校運営の資金集めを目的として、毎年、古本市を開催しています。今年も、11月14日(土)に古本市が開催されます。廉価で日本の古本、雑誌、漫画、DVD、ビデオなどが手に入るので、現地の在住者の人気を集めています。近在の方で、興味のある方は、エディンバラ日本領事館のサイトのこちらのページで、古本市の詳細がご覧になれます。日本の食材や和食器の販売も行われるとのこと。日本食が恋しい方もぜひ足をお運びくださいませ。

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