スコットランドの歴史とスコットランド人がわかる本

公開日 : 2009年11月12日
最終更新 :

前回、ご紹介した北東イングランド補習校の去年の古本市で、スコットランドのことを知るならぜひこの1冊をという本を購入しました。今回は、その本についてご紹介します。

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上の画像の左側 「とびきり哀しいスコットランド史」(ちくま文庫)が、その本。著者は、スコットランド人のフランク・レンウィック(Frank Renwick)。本書の紹介によると、1937年エディンバラ生まれ。オックスフォード大学卒業後、教師業と文筆にいそしむ。現在は、スコットランドの北岸にある学校ライブスター・スクールの校長を務めるかたわら、スコットランド南西部地方の古城レイヴァンストーン城再建のために奔走中。原書のタイトルは、「Scotland Bloody Scotland」

この本、スコットランドの歴史について書かれた本ですが、この著者紹介からもわかるように、歴史学者の書いた堅苦しい本ではなく、表紙にご覧いただけるような愉快なイラストとスコットランド人ならではのユーモアが満載されています。

何しろこの1冊に氷河期の太古から18世紀中葉までのスコットランドの歴史がぎっしりと詰め込まれているので、スコットランドの詳細な歴史を漏れなく網羅しているというわけにはいきません。むしろ、大きな時代の流れの中からいくつかのエピソードが拾いあげられ、かいつまんで紹介されていて、何ともめまぐるしい展開になっています。記憶力の乏しいわたしには、登場人物の名前を覚えておくのもけっこう大変。

ですが、これまで、スコットランドの名所旧跡を訪れると、その地にゆかりの歴史をかじるだけで歴史を概観したことがなかったわたしにとっては、あちこちで聞きかじってきた部分的な歴史がスコットランド史の大きな流れの中でどの時代に位置するのかを知ることができてとても興味深かったです。

実は、それに輪をかけてこの本が興味深いのは、著者のユニークで軽妙な文章。歴史の教科書のような無味乾燥な文章だったらとても最後まで読み進めなかったでしょうが、著者のユーモラスでサーカスティックな語り口調についつい引き込まれ、ページを繰ってしまうのです。文は人なりとはよく言ったもの。スコットランドの歴史をつづりながら、この本の著者、同時に、彼らスコットランド人がどんな人種であるのかを語ってくれているのです。スコットランドの歴史はさておいてスコットランド人に興味がある方にも、ぜひお勧めの1冊です。

さらに、もう1冊。スコットランド人がわかる本に出会いました。その本は、先の画像の右側「豊かなイギリス人」(中公新書・黒岩徹著)。1984年刊行で、サッチャー政権時代のイギリス社会がレポートされています。いささか古い本にもかかわらず、内容は、今読んでも時代遅れになってはおらず、特にお勧めなのは、本の後半、著者がスコットランドの貴族のお屋敷に招かれて滞在したときのもよう。

そのお屋敷の当主の言動や行動様式には、「とびきり哀しいスコットランド史」の著者に通じるものあって、なるほど、これがスコットランド人なんだと妙に納得させられます。スコットランド人も十人十色。それぞれに個性があってユニークな存在ながら、やっぱり同じ民族、共通している部分があるものなのですね。わが家のスコットランド人の中に息づくスコットランド人気質を、これらの本を読みながら再認識したわたしなのでした。

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