スラガンの海辺のひたすらのどかなウォーク

公開日 : 2011年09月01日
最終更新 :

スコットランドの山岳地帯ハイランド地方(Highlands)は世界的な観光地です。ネッシーでおなじみのネス湖、イギリス最高峰ベンネビスのお膝元フォートウィリアム、ハイランド地方の景勝の地グレンコーやスカイ島、「ハリー・ポッター」をはじめとする映画のロケ地や史跡、各地にあるスコッチウィスキーの蒸留所は多くの観光客でにぎわっています。

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そんなハイランド地方の北西部に位置するウェスターロス(Wester Ross)地方には、ハイランド特有の切りたった山々や

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「ロッホ(loch)」と呼ばれる大地の亀裂のような湖の景観は遜色ないものの、世界に名を馳せるほどの観光地がありません。

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さらに、ハイランド地方の奥座敷とも言える遠隔地に位置するために観光客の数はぐっと少なめ。

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なもので、見わたす限りの風景を独り占めして歩くのが大好きなわたしたち一家にとっては格好のウォーキングコースがよりどりみどり。

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ウェスターロスの山や湖の景色もいいのですが、お天気のいい日に、スラガン(Slaggan)という村の廃墟のある海辺へ歩きに出かけました。内陸の田舎道のわきにある駐車場から6キロほどの道のりを歩くと、ひっそりとたたずむスラガンの廃墟が姿をあらわしました。

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廃墟をすぎると、小さな入り江が白砂のビーチを抱き込むように横たわっていました......。

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歩いてきた道にも、廃墟にも、ビーチにも、まったく人影はありません。

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ビーチを見おろす丘の上で、浜風をうけてかすかに揺れているのは、スコットランドの国花アザミの花。

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小高い海沿いの道とも言えないほどの小道をたどって、さらに先へ足を進めると岩場に出ました。

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ここで、お昼にしようと決め、青い海と空を肴におにぎりで腹ごしらえ。そして、腹ごしらえのあとは、わが家お決まりの午睡。

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洋上、遥か彼方にうっすらと見えている島影は、ルイス&ハリス島。左手には、スカイ島も横たわっているはず。ルイス&ハリス島やスカイ島を訪れたときの思いで話をしているうちに、ひたすらのどかな陽光に誘われていつしかまどろみの中へ......。

ごつごつとした岩の感触が背中や腰にもどってきて、うたた寝から目覚めても、何だかまだ夢から覚めきらない気分ながら、そろそろ帰ることにするかと来た道をひき返しはじめました。再び、無人のビーチやスラガンの村の廃墟をすぎ、吹きわたる風の音以外何も聞こえてこない田舎道を歩いていると、遠いエンジン音が......。

そのうち、ゆるやかにカーブした道の向こうから、大きな荷台をつないだトラクターが1台、ゴトゴトと土道のわだちを踏みながらやってきました。荷台では、ふた家族と思われる人数の家族連れがトラクターの揺れに体をあずけています。

いやいや、これは、宿泊客を秘密のビーチに案内する農家のB&B(民宿)のトラクターなのでは?などと思っていると、トラクターの運転席から、「帰りには乗っけてくよ」との声。「ありがとう」と答えて手をふり、サマードレスやTシャツ姿の家族連れを見送ったわたしたち一家。けれども、わたしたちが駐車場にたどり着くまでに、再び、トラクターの姿を見かけることはありませんでした。

そのトラクターに乗っていた人々、海辺の牧草地で草を食む羊の親子や海鳥以外に動くものを見かけたと言えば、トンボ。イギリスではそれまで日本のオニヤンマほどもあるトンボを見かけることはなかったのですが、オニヤンマほどの大きさのトンボがふいに目の前をかすめていくのです。

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人家が見えてくると、そろそろウォーキングの終点へ。

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平坦な道を歩くのはいささか退屈な場合が多いのですが、今回ばかりは、「海のウォーキングもよかったよね」と言い合いながら、わたしたち一家の帰りを待っていた車に乗り込んだのでした。

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この海辺のウォーク以外にも、ほとんど毎日、のどかな風景の中を歩き回りました。

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なのに、歩きたい場所がつきないうちに、1週間の滞在期間の最終日がやって来てしまいました。

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一度訪れたら納得という観光地はいくつもありますが、ウェスターロスは、何度訪れてもまた訪れたいと思わせる場所です。今度訪れるときも、今回のようなお天気だといいのになあ~と思いながら、また訪れることのできる日を今から楽しみにしています。

今回の記事は、ギブソンみやこがお届けしました。

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