スカイ島は、今日も雨
昨日は、雨にたたられてしまったスカイ島。ところが、今日も雨の予報......。だから、やっぱり、山にのぼるのは無理。ならば今日はのぼらずに海辺のウォークをするとしよう。というわけで、再び、スカイブリッジをわたって訪れたスカイ島。ですが、現在でもフェリーで海の道からスカイ島を訪れることも可能です。ことにイギリス南部からスカイ島を訪れる場合には、スカイブリッジをわたるよりもずっと近道。
ほらほら、スカイ島へむかって、スコットランド本土のマレイグ(Mallaig)からカーフェリーがやってきましたよ。対岸の右手に見えるのがマレイグ。マレイグは、映画「ハリー・ポッター」のホグワーツ特急の撮影に利用された客車を引いて走る蒸気機関車「ジャコバイト(The Jacobite)」の終着駅です。「ジャコバイト」が走る車窓には、ホグワーツ魔法魔術学校にむかう生徒たちがながめた風景が広がっています。(蒸気機関車「ジャコバイト」については、こちら)
マレイグからのフェリーが港に入ってきました。ですが、わたしたちは乗船せずに、
スカイ島最南端の半島のさらに最南端の道のはずれをめざします。アスファルトの道路の終わりにある駐車場に車をとめ、歩きはじめました。そんな、わたしたち一家を迎えてくれたのは......。
行く手の砂利道は左右上下にうねりながら果てしがないかのようにつづいていきます。
海を見おろしてぽつぽつと建つ白いコテージの風景に見送られ、
そのうち砂利道から幅のせまい土の小路へ。ところが、そのころから小雨になり、やがて小雨が本降りの雨に......。「なのに、ひき返さないの~!」と、叫ぼうとも、断固として突端の灯台を見るのだという足どりで先を歩いていく夫イアン。こりゃあ、だめだわ。と、息子ユインと顔を見合わせるわたし。雨にうたれながらおし黙ってイアンのあとを追うことに。
土の小路も途ぎれると岩場がはじまり、その広大な岩場の遠いはずれに雨にけむる小さな灯台が見おろせました。ここまでぬれればあとはどれだけぬれても同じ。ただ、問題は、お昼をとるために雨をさける屋根のようになっている岩場がないということ。「ここまで来れば、ランチができると思ったんだが......」って、ねえ。「仕方がないから、車までひき返すか」。ええっ。そ、そ、そんな~と、嘆いてみても、ほかにどんな選択肢があるというのでしょうか。再び、顔を見合わせるわたしとユイン。すでに、くるりを向きをかえ、
来た道なき道をひき返しはじめたイアンにしたがったのでありました。
足もとは、もちろん、ジャケットから伝い落ちてくる雨がズボンの内側を流れて皮膚にはりつく感触のなんとも心地の悪いこと。でもね。この気持ちの悪さが限界をこえると言いましょうか。激しく打ちつける雨のなかで、ふっと、消える瞬間があるんです。お腹がへっていたことも感じなくなって、ひたすらひたすら歩くことになんとかすかな快感さえ覚えはじめて、そしたら、もうさっさかさっさか。修行僧が滝にうたれるとか、幾多の山野をこえていくとか、そんな境地からはほど遠いかと思うのですが、ニンゲンの感覚ってある一線をこえたとき、ふいに開放感のようなものを感じるようにセッティングされているような気がするのです。わたしたち以外、だれもいない何もない雨に閉じこめられた世界のなかで歌を歌いたいようなゆかいな気分に......。
でも、それも、わたしたちの帰りを待つ車が見えてくるまで。そこに雨の避難所があると認識すると急に気持ちがしぼんで、ぐしょぬれの不快感と空腹がどっと押しよせてくるのです。なもので、車に飛びこむと、ぬれている衣服をできるかぎり脱ぎすて車内にあったかわいた衣服をまとっておにぎりをほおばり、のどのかわきをいやすことのできたときの、ああ、そのありがたいことと言ったら......。
まあ、そんなこんなで、予定したウォーキングコースは何とか踏破したわけなのですが、ぐしょぬれになってしまったウォーキングブーツ。明日までにかわいてくれるんだろうか~。それより、いったい、この大雨、明日には、やんでくれるのかなあ~。と、白くけむる車の窓ガラスに激しくうちつける暴風雨をながめながら長~いため息をつくわたしなのでありました。
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