絶滅の危機に瀕するグアム原産の鳥、ココ
皆さんはグアムではチャモロ語で『Ko'ko'(ココ)』と呼ばれている“The Guam Rail(グアム・レイル / 学術名:Gallirallus owstoni)をご存知でしょうか?
今年は10月17日に第5回目が開催されるグアムの人気イベント『The Guam Ko' Ko' Road Race(グアムココ・ロードレース)』や、日本で放映されたグアム政府観光局によるCMにもココバードくんが登場しているので、もしかしたらすでにご存知の方も多いかも知れませんね。
お腹の白黒のストライプがかわいらしい茶色い鳥『Ko'ko'(ココ)』は、グアム原産と言われる飛べない鳥。とは言っても大昔は飛んでいたようなのですが、天敵がいなかったことから次第に飛べなくなってしまったとか。ちなみに沖縄のヤンバルクイナにとてもよく似ていますが、ヤンバルクイナよりもかなり小さく、ヤンバルクイナほど強くないそうです(現在でもヤンバルクイナの研究者との相互交流は活発なんですよ)。
かつては75,000羽ほどいたと言われていますが、飛べないために地上に浅い巣を作るココバードは、1960年代にアメリカ軍の貨物に紛れ込んだBrown Tree Snake(ブラウン・ツリー・スネーク / 学術名:Boiga irregularis)に食べ尽くされる形で絶滅しかけてしまいました。
そのため1980年代に19羽のココバードが捕獲され、その中の家族関係にあるものを除いた10羽のつがいを少しずつ繁殖させ、取材させていただいた8月5日現在で、グアムに145羽、スミソニアン国立動物公園などを含めたアメリカ全土に35羽と、合計180羽にまで増やすことができました!
このココバード保護プロジェクトは、アメリカのUS Endangered Species Actにより、億単位の予算が計上されたことで可能になりました。
『Guam Department of Agriculture Division of Aquatic and Wildlife Resources(グアム農務省、水産・野生資源局)』では、ココバードの天敵の野良猫や蛇がいないロタ島にココバードを放つことで、ココバードの増殖を試みているそう。
つい先日の8月中旬にも、ロタ島に50羽のココバードを送り、今現在グアムにいるココバードの数は95羽になったとのこと。特にロタ島での増殖プロジェクトの期待は大きく、グアムである程度繁殖させたら、施設の許容量を越してしまうこと、そしてなによりココバードを野生に戻す必要があることからロタ島などに放鳥しているので、グアムのココバードの数は大体95羽から150羽の間で推移しているそうです。
ちなみにこれは蛇のトラップ。
真ん中におとりになるシロネズミが入れてあり、そのねずみを食べようと蛇が入ってくると逃げられなくなるようになっています…:(
ひとつのトラップで1週間に1回は必ず蛇がかかるようなのですが、島中に繁殖してしまった蛇を退治するには全く追いつかないそうです…。
他にも『Guam Department of Agriculture Division of Aquatic and Wildlife Resources(グアム農務省、水産・野生資源局)』では世界に134羽しかいないMicronesian Kingfisher(マイクロネシアン・キングフィッシャー / 学術名:Todiramphus cinnamominus)を18羽繁殖しています。
また世界的に珍しい種のカラスMarianas Crow(マリアナス・クロウ / 学術名:Corvus kubaryi)も2羽繁殖しています。
人間により生態系が壊れてしまったことで絶滅の危機に瀕することになってしまったグアムの鳥たち。そしてグアムに美しい鳥たちのさえずりを取り戻そうと頑張ってくれている方たちがいらっしゃいます。
『Guam Department of Agriculture Division of Aquatic and Wildlife Resources(グアム農務省、水産・野生資源局)』は鳥たちをグアムで繁殖させるための場所でツーリストの方たちの見学はできませんが、広くグアムの鳥たちを多くの方たちに知ってもらうことができるならと、今回取材をお受けいただきました。
もし彼らの活動に興味を持ち、ご協力くださる方々がいらっしゃいましたら、ぜひ下記連絡先にご連絡ください。
Department of Argiculture
Division of Aquatics and Wildlife Resources
163 Dairy Road, Mangilao, Guam 96913
Ph: (671) 735-3955
Fx: (671) 734-6569
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