国際日付変更線が動く!?グアム危うし!!

公開日 : 2011年01月24日
最終更新 :
2011_01_18_3042.jpg

"Where America's Day Begins."

「アメリカの一日が始まるところ」とでも訳しましょうか?これはグアムにいらしたことがある方なら、グアムのいたるところで目にしていらっしゃると思われるグアムのトレードマーク的な言葉です。

ところが国際日付変更線の向こう側のハワイで、日付変更線をハワイの西側から東側にずらすことを求める声がハワイ州議員Gene Ward(ジーン・ワード)氏から上がっていて、もしかしたらグアムはアメリカでもっとも早く一日が始まる場所ではなくなってしまうかも知れないのです!!

さて、ここで国際日付変更線についてちょっと復習をしてみましょうね♪

日付変更線は1884年にChester A. Arthurアメリカ大統領によって召集され、25の国から41人の代表が集まって行われた'International Meridian Conference(国際子午線会議)"で決められました。

この会議で、イギリスのグリニッジを経度0度として、そこから180度逆側を目安に、陸上の隣りの町や村で日付が変わってしまうことがないように、海上に国際日付変更線が設定されました。

そしてこの経度180度線(ほぼ国際日付変更線)から西回り、つまり時計回りに経度15度で1時間ずつ現地時間が遅くなっていきます(こちらのブログの図を参照されるとわかりやすいかも)。

例えばかつて国際日付変更線が国土の中央に位置していたキリバスでは、1995年に国際日付変更線をキリバスの東側に変更したため、キリバスは世界で一番最初に日付が変わる国となり、東経144.5度のグアムはキリバスより2時間遅れて、明石の東経135度を採用している日本は3時間、西経150度のハワイは22時間遅れて日付が変わることになるのです。

ではなぜハワイは日付変更線を変えようと提案し、グアムはそれは困ると言っているのでしょうか?

それは世界の中でも特に日付の変わるのが早いグアムは、当然アメリカの中でも最も早く一日が始まる場所であり、この素朴で小さな島にとってこのトレードマークは大変意味があるということなのです。

例えば、グアムの子供たちはアメリカで最も最初にクリスマス・プレゼントを開けることができ、アメリカで一年に最初に生まれる赤ちゃんはグアムで生まれ、アメリカの投票日にはグアム島民が一番最初に投票することができ(とは言ってもアメリカ大統領選挙権はありませんが...)、スターウォーズのような大人気アメリカ映画を最初に見られるのはグアム...というように。

そこで西経150度と、世界でもかなり遅く日にちが変わるハワイは、日付変更線を動かすことで、"Where America's Day Begins."どころか、"Where World's Day Begins."という、世界でもっとも一日が早く始まる場所というタイトルを得ることができるわけです。

この変更はビジネス上も、特に観光産業上もとても大きな意味をハワイにもたらすというのがワード議員の主張。

日本でも11月のボジョレー・ヌーボー解禁日には世界で最も早くボジョレー・ヌーボーを飲めるということで、世界中からファンが集まったりと大騒ぎになりますが、これも日付変更線が移動されてしまえば、おそらくハワイが世界で一番早くボジョレー・ヌーボーを飲める場所になるわけです。

そのように考えると、「世界で最も早く...」という文言をつけられるのは、確かにとてもキャッチーで、魅力的かもしれませんよね。他にもアジア各国からツーリストを誘致する場合、日付がいちいち遅まったり早まったりしないのは、分かりやすくて都合がいいことも多いのではないかと思います。

Eddie Calvo(エディー・カルボ)グアム知事は、「ワード議員のアイディアは、まったくのタラレバの話。ハワイ州が数千マイル西側に動かせでもしない限りね。地球のまわり方がこうなのだから、グアムはいつだってアメリカの一日が始まる場所なんですよ」と、くすくす笑いをしながら答えたとか。

ただ、日付変更線は「どこかの機関が制定、届出、認可をしているものではなく、日付変更線付近に存在する国や地域が国内法で地方標準時を定めるものにすぎない」(Wikipediaより)とか。ワード議員によると、ハワイ州知事がアメリカ連邦当局に日付変更線を動かすように依頼して認められれば、国際条約も法律も関係なく実現することができるというのです。

さてこのお話、どうなるのか行方が気になるところですが、グアムにしてもハワイにしても、その土地それぞれの本当の魅力は、アメリカで一番最初に初日の出が見られたり、何かが解禁されたりすることではなく、その美しい自然やそこに住む人々のホスピタリティといった、実の部分にあるということを、忘れないでもらいたいものですね。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。