サービス向上を願う。ドイツ鉄道

公開日 : 2011年08月30日
最終更新 :

先日、列車で別の都市に出かました。日本でいう新幹線のような早い列車ICEで行ったのですが、ドイツの鉄道会社は日本とはずいぶん違うものだと、改めて感じました。

まず、ICEに乗ろうとホームで待っていたら「10分ほど遅れます。ご理解願います」と構内放送がありました。ホームの掲示板にも「10分ほど遅延」と書いてあります。放送があったのが、予定時間の3分前だったので「13分ほど余裕があるということか。コーヒーを買いに行こうかな」と考えました。しかしばたばたするのもしんどいので、おとなしくホームで待つことに。その間「10分ほど遅れます」と、繰り返し放送されています。

ところが、その放送の直後に列車が入ってきました。定時より2分遅れというところ。もしかして10分ぐらい停まっているのかな、と思ったけれど、人々は普通に乗り降りし、列車はすぐさま出発しました。コーヒーを買いに行っていたら、確実に乗り過ごしたところでした。

あー、危なかったと思い、列車で一息。車掌が検札にきたので

「10分遅れの放送の直後に列車が入ってきたけれど、どうなっているのですか」

ときいてみました。すると

「10分ほど、という表現で、ちょうど10分遅れるとはいっていない」

という返事。

「けれど、直前までそんな放送をするなんてややこしくないですか」

「ホームを離れるかどうかは自己責任。離れた人は運が悪かった。今日は天気もいいし、ホームで少しぐらい待つのは問題ないだろう」

と悪びれた風もありません。到着時間についてきいても

「今はわからない」

で、おしまい。

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日本ではもう少し厳密に構内放送があるし、その内容を信じても実害はないでしょう。しかし、ドイツでは信じると痛い目にあうことが多々あります。1時間ほど遅れると放送されたのに、実際は40分そこらで発車してしまって、列車を逃したことがあります。乗客の利便性を考えてもう少し正確に放送できないものかと思いますが、なんせ「自己責任」の一言ですますのだから、その必要性を認識していないようです。私と車掌のやりとりをきいていた隣の女性が「ドイツではこれが普通なのよ。自分で気をつけないとね」といいました。

以前は列車が遅れても何の補償もありませんでした。せめて特急代だけでも返してほしいと文句をいったことがありますが「ICEの料金が高いのは、早いからでなく乗り心地がいいから」という返事。そして何ごとについてもよく聞くのが「私はその担当ではない」。ホームにある自動券売機に問題があっても「機械は別の会社が担当しているから」と切符売りの職員は何もしません。

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列車の遅れがあまりにも頻繁なので批判が集中し、やっと2009年7月より1時間以上の遅れで料金の25%、2時間以上で50%が返金されるようになりました。しかし嵐や雪など天候による遅れは、鉄道会社に責任はないとして補償はありません。ドイツ鉄道がほぼ独占企業として、鉄道業界を牛耳っていることも問題。自由競争の原理がいかされていません。

本来は楽しいはずの列車の旅。座席は広いし、車両自体は快適なのだから、これでサービスがもう少しよければなあと、思いながら乗っています。

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