メトロ(地下鉄)ポリス

公開日 : 2000年11月16日
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今年はパリのメトロの開通100周年。さて、そのメトロの試作品と言われる地下鉄がイスタンブールにあることをご存知だろうか。旧市街からガラタ橋を渡ってすぐのカラキョイから、新市街イスティクラル通りの端までの坂を、まっすぐ登るだけ。わずか2分のケーブルカーのような地下鉄は、トルコ語でトンネルを意味するチュネルという名で、今も市民の足として健在である。トルコは、車・バス網が発達している代りに鉄道があまり得意ではない。地下鉄もしかり。ヨーロッパ最古の地下鉄を持ちながら、その後一切の発展は見られなかった。しかし、年々見違えるように発展しているイスタンブールにまともな地下鉄がないなんて!ますます問題化する交通渋滞を横目に、メトロへの市民の要望は膨らんでいったと思われる。まず、旧市街のトラム、アクサライからの地下鉄が、ここ6年で少しずつ整備され、空港までもう少しという所まで伸びている。新空港地下には、すでに駅がほぼ完成しているのだ。そして、10年来待ちに待った新市街のメトロ。地震で工事を請け負っていたフランスの会社が逃げちゃったとか、工事費の支払いが滞ったとか、紆余曲折を経てやっと、この9月に開通した。開通は延びに延びた。選挙の前には"X月X日開通!この地下鉄のプロジェクトを実現させたのは私だ!"というポスターが踊り、"どんなに遅くとも1999年中に"という発表もあった。国際会議ハビタットの時には地下鉄の入り口だけをそれらしく完成し、会議終了と共に再び取り壊したという笑い話もあった。そう、地震もあった。8月31日に決定した開通式にクリントンとアランドロンを呼んだというニュースも流れた。そのメトロ。新市街中心タキシムから、いまやどんどん北に向かって発展しているイスタンブールに追いつこうとするように、ビジネス街をつないで4.レベントまで。ISTANBUL ARTIK METROPOL!(イスタンブル、メトロポリスに!)交通渋滞緩和に役立ち、イスタンブールの発展に大きく役立つはず...だった。なのにずいぶん評判が悪いのだ。3分に1本、ピカピカにきれいでバスより安いこの地下鉄。最初に不満をぶち上げたのは、最近環境問題に関心の高いシシリー区だったかもしれない。シシリーの駅はシシリー・モスクの目の前に設けられていた工事現場だと誰もが思っていた。しかし、そこは地下鉄資材を下ろすためと空調の為の穴であり、メトロ開通と共に閉じられてしまったのだ。そしてここが駅だよと見せられたのが、400Mも先の、すでにメジディエキョイに入っている名前ばかりのシシリー駅。ここばかりではないが、地名と駅の位置がかなりずれている感じ。加えて、地下道の長いこと!タキシム駅にたどり着く距離をまっすぐ歩けば目的地にたどり着くのでは?と思ってしまった。目の前で停まってすぐ乗れるバスのほうを、皆が選ぶのも分かる気がする。見学目的の乗客が一通り乗ってしまうと、地下鉄は空っぽ運行の状態になってしまい、今では運行本数もぐっと減ってしまったようだ。そうはいってもレベントあたりまで15分で行けるというのは、行動範囲が広がる。メジディエキョイから北のオフィス街に勤める友達とタキシムでランチが出来る。これはすごいことだ。地下道が長いのは、よく考えればどの都市も同じ。要は慣れの問題かも。イスタンブール市は、つぎのメトロ工事にかかっている。今度は新市街と旧市街をつなぐ線なので、私にとっては使いでのありそうな路線である。これで空港まで繋がったらずいぶん楽になるな。一体何年先になるのか、アッラー次第なトルコだけど。

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