オリンピックが似合う街?

公開日 : 2001年03月30日
最終更新 :

バイラムが終わったと言うのに、市バスがパタパタと小旗をはためかせている。タクシーの窓に鼻をくっつけて、隣を平行するバスをじいいっと眺めてやっとわかった。赤いトルコ国旗ではない。白にくっきりと五輪のマーク。そう、イスタンブールは2008年のオリンピック候補地に立候補しており、まだ選考に残っている。

多分、日本の皆様にはあんまり知られていないと思うが、イスタンブールは2000年も2004年も立候補し続けてきた。あっさり蹴り落とされてきたので印象に残っていないだけである。私がイズミールでトルコ語学校に通っていた頃、2000年オリンピックの最終選考会があって、クラスの皆で北京かシドニーかで意見が真っ二つに分かれたとき、トルコ人の先生はどこ吹く風。北京もシドニーも立候補してないかのように、イスタンブールだけを応援していて、ちょっと生徒一同黙ってしまったことがある。そう、おそらくはあの2000年の時が初立候補だったのではないか。街にはイスタンブール2000の旗がはためき、Tシャツやステッカーがグランドバザーるでまで売られるという盛り上がりを見せていたから。

2000年の選考に落ちると共にTシャツや看板を2004年に書きなおし、2回目を狙うかと思われたが、なんだか相手にされない感じの選考経過が報道されるにつれ、国民のオリンピック誘致熱は冷めていったように思われる。2008年立候補地の大阪が、立候補と同時に誘致キャンペーンを張ったのとはうらはらに、「どうせまただめだよ」ムードのイスタンブールではオリンピックのオの字も聞かなくなって久しかった。

それがここに来て、どうしたというのだろう?「イスタンブールにはオリンピックが似合う!」「五輪のもとに大陸が出会う街」などなど市をあげてのキャンペーンが始まった。行き交う人々にステッカーや旗が配られ、アタキョイ行きのドルムシュが行き先の一つとしてオリンピック村と案内し始めた。携帯電話の画面が勝手にイスタンブール2008になっていたことにもびっくりしたし、スタジアムやスポーツコンプレックスがすごい勢いで建設を進め始めたのにも驚いた。経済危機で暗い顔の人々の中、ものすごい投資がされている気が...おいおい、着手が遅いのでは?(いつものことですが。)今更そんな、間に合うの?

そしてそんなに投資しちゃって、ダメだったらどーすんの???

客観的に見て、イスタンブールが選ばれるとは考えにくい。2004年がアテネで次が隣のイスタンブールじゃ、このあたりに偏り過ぎるだろうし、やっぱりアジアのほうが公平感がある気がする。イスタンブールにオリンピックが似合わないと言うのでは決してないし、根っからイスタンブールびいきの私は、立候補したからは勝って欲しいというのもある。それがイスタンブールの経済や政治にとっていいことであっても悪いことであっても。

ただし、関西出身の私は、大阪に対しても同様の愛着があって、どっちが勝っても負けても嬉しいような悲しいような。かといって北京当りに持っていかれては悔しい。ありえないとはいいつつも、イスタンブールに万が一、決まれば仕事はしばらく順調にありそうだというもくろみもある。複雑な思いで、トルコ人の前ではちょっと肩身が狭いので、オリンピックのオの字も出さない私である。

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