70歳、コーラはじめ

公開日 : 2003年09月29日
最終更新 :

COLA TURKAがあるなら飲むよ。家の修理などで頻繁にお世話になっているウスタ(職人、親方を意味するトルコ語)が言ったので驚いた。40代のウスタは、飲むならビールか水、お茶という人だった。コーラを飲んでいるところなんて見たことはない。そうか、先日の新聞記事は誇張ではなく本当なんだな。

COLA TURKAは、ビスケットなどで有名なメーカーULKERがこの夏売り出し始めたコーラだ。コカコーラ、ペプシの他スーパーなどのオリジナルコーラは今までだってたくさんあった。ローカル版コーラとして、主に安い値段を売り物にそこそこ売れてはいるものの、やはり二大ブランドに大きく水をあけられていた。トルコ人の間でも、やっぱりコカコーラ(またはペプシ)でないとね、と通ぶる向きは多く、ローカルコーラを飲みたいとわざわざ指定する人など皆無だったのである。

しかし、COLA TURKAは、販売が開始されてすぐ瞬く間に、COLA TURKAファンを獲得した。俺達はナショナリストだからなとウィンクして、皆が皆この新しいローカル・コーラを飲み始めた。コカコーラのジェネラルマネージャー、アフメット・ブラク氏は、驚きをこんな風に新聞に吐露していた。

「見たんだよ。70歳のおばあさんだ。普通ならコカコーラを手にした図なんて見られないはずの人だよ。彼女がCOLA TURKAを飲んでたんだ。我慢できなくてね。そのおばあさんに聞いたよ、前からコーラを飲んでるんですかって。答えは否だった。僕が見たのはそういうことさ。COLA TURKAはコーラを飲む習慣のなかった新しい顧客層を開拓してるんだよ。これは僕らにとってもいいことだと考えている。」

うちのウスタも、開拓された顧客層なのだろう。私はウスタの為にCOLA TURKAをはじめて買ってみた。日本の普通のコーラより甘めな気がした。快進撃は続いているようで、トルコ航空の機内サービスで使われ出したことも記憶に新しいが、先日のF-1サーキット建設工事の開始式典でも、コカコーラに並んでCOLA TURKAが振舞われたと報じられていた。もはや社会現象だが、人気の秘密はやっぱり名前なんだろうなあ。トルコ人はそれほどまでにトルコを愛しているのだ。混血が進み、貧富の差が広がり、トルコ人というアイデンテイティがどんどん不明確になっていくからこそ、トルコという偶像にみんなが夢を託しているような、そんなことを感じる一杯のコーラであった。

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