冬の暖房事情

公開日 : 2004年12月30日
最終更新 :

今年は比較的暖冬ではあるものの、他のヨーロッパ諸国と同じく気が滅入る冬である。夏のあいだあんなに美しかった海の色は暗く、毎日どんよりとした天気どころか雨が続いたりするのが常。クリスマスツリーならぬ年越しの木を飾り、バーゲンハンターと化しても、どうも太陽が出ないと調子が出ない。老後はトルコ随一の観光地アンタルヤで暮そうか,いや今から冬だけ地中海沿いの町に越せないものかと、毎年おなじことを考えてしまう。

イスタンブールは緯度で見ると東北と同じ位の位置にあるから雪も降る。日本と違って、湿った冷気は身体の芯まで凍えさせる。10年前はこの寒さをしのぐのは石炭ストーブだった。各住宅がもくもくと吐き出す黒い煙は空気を汚し、洗濯物は外に干すと真っ黒になってしまうと言われていた。石油ストーブは一般的ではなく、灯油を配達してくれる業者を見つけるのは一苦労である。そして石油ストーブはなぜかジャポンソバスつまり日本式ストーブと呼ばれている。都会ではストーブを使う家さえ少数派になった。ほとんどの家はカロリーフェルと呼ばれる温水循環式パネルによるセントラルヒーティングを完備するようになったからだ。これがあると冬の生活はかなり楽になる。別途ボイラーをつけなくてもいつも温水常備になるし、ストーブのように局部を温めるのではなく部屋全体を暖めるので、家の中はいつも暖かくカビの原因の湿気からも開放される。アパートごとのボイラーで温水を沸かす場合は、暖房が朝6時から夜11時までと決まっていたりして、共働き家庭では同じ高い暖房料金を払うのに数時間しかその恩恵にあずかれない、なんてこともあったが、ここ数年で都市ガスがかなり普及し、家庭ごとに別々に暖房できるようになってきている。

上記がトルコの家庭の...というよりイスタンブール家庭の暖房事情だけれど、バックパッカー宿を調査しているとまだまだ千差万別だなあと思う。安宿と言えど最近のスルタンアフメットあたりは地価も上がり奇麗なところが増えてきた。が、中に入ってよくきいてみると、宿泊客が少ないと小さなストーブを貸しだし、パネル暖房は切ってしまうところも結構ある。宿のせいでなくても、いきなりの停電はトルコでは良くあること。燃料が都市ガスでもボイラーが電気制御なので、停電してしまうとセントラルヒーティングは手も足も出ない。去年はイスタンブールの70%以上の地域で、丸1日近い停電となった日があった。おりしも雪の日で(というより雪が原因の停電だったのだが)、ほとんどのイスタンブール市民は凍えてしまったのも記憶に新しい。そういうのは宿のせいではないのだけれど、自家発電機を持つ大型ホテルの光がうらやましく映ることになる。だから私は、オフシーズンの宿代が安い時期は一ランク上のホテルも検討してみていいようには思う。

寒い冬。貴方が選んだ宿の暖房が充分に働く事を祈る。良いお年を。

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