都市ガス

公開日 : 2009年01月18日
最終更新 :
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アパートに帰ってきたら、2階の住人が「おいでよ、お茶が入ってるから」と窓から私を呼んだ。「OK,OK」と返事をして、アパートに入ったら郵便受けに都市ガスの請求書があって、それを片手にそのまま隣人のドアをたたいた。

ドアが開くなり、「あんたのとこにはいくら来た???」との質問。「え、何が?」「都市ガスよ、都市ガス!うちなんか370TLよ!なんてこと」サロンからは「うちがあなたのとこも暖めてるのよ!」と私の一階下に住む住人の声もする。「うちも340よ!あなたたち170でしょ。うちがずっとつけてるからあなたたちのとこはあんまり寒くならないのよ」。と、いわれても上がって来る暖気を送り返すわけにも行かないのだが、怒っているのは振りだけの冗談だと分かっているので、私も軽く受け流す。「うちは若いから、エネルギーが有り余ってて、そんなに暖房つけなくてもいいのよ」湯気の上がるチャイとボレッキが運ばれてくる。今のアパートはご近所付き合いも結構楽しい。

12月からすでに雪がちらつくような寒さの中、ロシアからのパイプラインが止まっている事はニュースでも流れているが、都市ガスで沸かした湯を巡回させるシステム暖房をつけないわけにはいかない。都市ガスの料金は、暖房を使う冬は跳ね上がる。しかし今年の跳ね上がり方は尋常ではない。それもそのはず、去年と比べて100%の値上げといわれているのだ!

暖房費は、その家の大きさやビル自体の断熱による暖房効率にも大きく左右されるが、うちのように最上階は屋根からも冷気を受けるので冷える、つまり暖房費が高くつくのが普通なのだ。ただ日本人は寒い家に慣れているから、トルコ人のように半袖でいられるほど家を暖めたりはしない。確かに下は年金生活の夫婦で、ずっとつけっぱなしなだけあって、あまりうちの床が冷えないのもあるだろうな。熱効率の悪い友人の家では、ひとつの部屋しかあっためていないのに去年でも1ヶ月に250TLきたという。それで、今年は暖房は一切使わず小さな電気ストーブで我慢しているのだとか。それでもうちに来た請求書だって、かなり節約したにもかかわらず、去年に比べれば2倍近い。

消費量の大きい工場などではこの燃料費は深刻な問題で、前世代的でも3分の一の値段で済む石炭に戻す工場が後をたたないという。それで今トルコでは石炭および石炭ストーブの需要が急に上がってしまって生産が追いつかないらしい。タキシムの中心にあるオフィスを尋ねたら暖房がついていなかった。かっこいい古い建物なのだが、暖房システムもビルの地下で石炭で湯を沸かし、アパート全体に配給して暖めるシステムだったらしいが、石炭が品切れらしいのだ。この季節に勘弁してくれと、オフィスが多いこのビルの住人は情けない声を出す。

写真はトルコの石炭ストーブの一種。煙突に洗濯物を干す金具がついていたり、石炭を入れる場所のとなりにオーブンがついていたり、上にはチャイのやかんがずっと乗せられていたり・・・家族みんながここに集まる昔ながらのストーブって、いいよね。

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