食事の後を片付ける

公開日 : 2011年01月16日
最終更新 :
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通訳としてあちこちの会社を訪問すると、必ず最初に聞かれるのが、「何をお飲みになりますか?」である。個人の家でも同じだが、これはトルコ人のホスピタリティーという観点から見て避けて通れない儀式である。ところが何件ものアポイントをこなす日本からの出張者のほうは、2,3件目になるともうおなかから水音がする感じで、「いえ、お構いなく」とやんわりと断ろうとする。が、相手もあきらめず「では冷たいソーダは?」などとなんとかサービスしようとする。たまに「いや、本当に」と固辞しようとする人もいるが、ここはあんまりかたくなだとはっきりいって角が立つ。日本人側にたてば「相手に手間をかけさせまい」という気遣いなのはわかるし、トルコ人の「ここで飲んでもらわなければ立つ瀬がない」的なあせりもわかるので、間にいると正直イタい。実際飲まなくてもいいから、「ではチャイを」くらいにさらっと流すのが、どこにも書いていないが、トルコ人訪問のマナーかもなと思う今日この頃だ。そのほうがさっさと、しかも和んだムードで本題に入れるし。

それから退出するときも。飲んだお茶のカップを給水室まで運ぼうとしたり机の端に寄せるなど片付けるビジネスマンがけっこういる。これも「あ、日本人っていい人たちだな」と思ってもらえるときもあるが「そういうレベルの人だったか」と内心ばかにされる危険も高い。トルコの会社では、お茶を出したり片付けたりというのはチャイジュ(お茶係)という専門職の仕事で、社会的地位は正直低い。日本では「いい人」とみなされる行為なので甘く見ていた私は、昔トルコの会社で働いたときに、自分のお茶を入れるついでにみんなの分を淹れてあげて、社長に大目玉を食らった。フロア中に響き渡る声で「お前をそんなことのために雇ったのではない!」とどなられた。娘と呼んでかわいがってくれたその社長に怒られたのは6年で2回だけだが、その中の一回で、忘れられない。なめられたくなければ、トルコの会社ではマネージャークラスはお茶を淹れてはいけない。私は肝に刻んだ。

まあ、これは会社での話で、ホームパーティなどでホストの手伝いをする、などというのはもちろん問題ない。ただたとえばトルコのファーストフードショップなどでは、やっぱり食事の後始末はしない、というのが普通だ。マクドナルドのゴミ箱には、昔はふたにTHANK YOUと書いてあったが、今では書いていない(これは世界のどこに行っても母国語でありがとうと書いてあったので、私はしばらくその写真をコレクションしていたのだが、日本では今も書いてある?)。客は片付けないからね。デパートのフードコートなどでも同様。食べた後は置きっぱなしで、テーブルを去る。これでいいのだ。

これがすっかり身についてしまったがために、日本のファーストフードショップでもつい、食べた後をそのままに立ち去ろうとしてしまいがちな私だ・・・・。

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