サバサンドはお勧め?

公開日 : 2014年05月30日
最終更新 :

先日、あるお客さんを案内していたところ、「サバサンドが食べたい」とおっしゃいました。イスタンブールB級グルメの中でも1,2を争うこのサバサンド、トルコでは魚パンの意味である「バルックエクメッキ」と呼ばれています。やばっ。今日のミニバスの運転手XXさんは先日も一緒だったのですが、この前も「俺は絶対エミノニュの魚サンドは旅行者に食べて欲しくない!」という意見の持ち主。行くといったら、機嫌が急降下するのは見え見え。

彼の言うこともわからないではありません。一番人気のある、ガラタ橋のふもとの船のサバサンド売りは、すっかり昔の風情はなくしています。オスマントルコ風のごてごてした装飾を施された船、ノルウェイから輸入した冷凍のサバ、あらかじめ焼いて保温されていた魚、レモンの代わりのポッカレモン的なレモンジュース。20年前に私がイスタンブールではじめて食べたサバサンドは確かにこうではなかった。8つ切りにされて山積みにされた本物のレモン、同じく4つ切りにされた薬味の小ぶりのたまねぎ、そこらへんにいくらでもある飾り気のないボート。夏の禁漁の時期は冷凍の魚のことも多かったけれど、冬の時期になるとサバのほかに地元のパラムートとよばれる小さいカツオ系の魚も混ざって焼いたり揚げたりされていました。それも2枚卸なので2つにひとつは山ほど骨がついていて、食べるのも大変。今も昔も、アジア側とヨーロッパ側を行き来する船が通るたびに起こる横波を受けて、ぐらんぐらんと船が揺れるのは変わりませんが、昔は魚を焼く台も適当に置かれているだけ、売り子が落ちるのではないかと心配になるのも現在の比ではありませんでした。

この魚売りのボートが姿を消したのは2004年のこと。旧市街の景観を損ねるというのと不衛生だというのがその理由で、市から禁止命令が出たのです。しかし、海を目の前にしながら食べるこのファーストフードはすっかりエミノニュのみならずイスタンブールの風物詩となっていましたし、市民は大反対。景観に配慮したオスマントルコスルタンの船的な今の装飾船が、据えつきの近代化された調理セットと、おそろいのベルベットに金糸刺繍のチョッキを着込んだボーイたちとともにこの地に復活したのは2007年のことでした。

それでもエミノニュのこの船のサバサンドは今も人気を誇っています。観光客もいますがトルコ人が多く、そばに控える漬物屋から、サバサンドになくてはならないといわれる赤い漬物汁を飲み物として買い、一緒に食べるのです。最近はアイランも売っていますね。意外に思うかも知れませんが、いつでもどこでもアイランを飲んでいるように思うトルコ人ですが、トルコでは魚と乳製品は食い合わせが悪いとされていて、おなかを壊すといわれ、サバサンド屋には置いていないのが常識でした。観光客からの逆輸入習慣でしょうか。フルーツを入れた甘いヨーグルトのように。

サバサンドはなにもエミノニュでだけ売っているわけではありませんし、ガラタ橋の下に軒を並べるレストランで、お皿に盛って食べることも出来ます。でもやっぱり、昔を偲ばせる船の魚サンド売りは、トルコ人にとってはノスタルジー、観光客にとってはものめずらしい、やはりエミノニュ一、二を争う人気スポットなのです。

ただ最近、エミノニュの船のサバサンド、さらに営利主義が進んだのか魚が小さくやせた気がするんですよねー。季節の問題かもしれませんが。

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