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ネパール特派員の最新海外レポート

現地の人々と協働しているJICAボランティアならではの視点から、各地の最新情報をお届けします。


活動も終盤となりました。私の活動は理学療法ですが、主な要請はCBR(Community Based Rehabilitation)です。これは直訳すると、地域を基盤としたリハビリテーションといいますが、障害をもっていても健康である場合と同様に、地域でより快適に過ごすことができる街づくりという意味です。その根幹には、人権と平等という概念があります。特に途上国では、行政に予算がない、障害に対する誤った認識・偏見など、街づくりには問題が山ほどあります。


そんななか、近くの町チャビルにある病院から、ヘルスキャンプを計画しているので同行して欲しいと連絡をいただきました。ヘルスキャンプとは、医療機関がない地方へ出かけて、医療を提供する活動のことです。私は日ごろCBR活動として、いくつかの医療機関やデイケアセンターを訪問して、必要ならばリハビリをする患者さんを私の施設に送るようにと話しており、連携を構築してきました。今回のキャンプへの参加依頼もそうした関係からお誘いをいただきました。


医療スタッフは、他の病院からも、医師や看護師らが多数参加していました。総勢30名ほどだったでしょうか。こんなに大勢のスタッフが行くのに、出発2日前のラジオでは「日本の理学療法士が行きます。」と案内されていたようです。
今回は日帰りですので、早朝出発し夕方に帰るスケジュールです。早朝私がチャビルの病院に行くと、正面に大型バスが待機しておりました。

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▲大型バスが待機するチャビルの病院前


到着するとすぐに出発ではありません。ネパールはいつでもまずはチヤ(ネパールの紅茶)で一杯、そしてカザ(軽食)をいただきます。カザが終わっても、まだ病院の屋上でしばらく準備待ちです。バスに担架などの各種道具、そして多くの薬品を運んでいます。その間、屋上からのんびりと外を眺めておりました。

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▲病院の屋上からの眺め。この道の先に向かって行きます


バスに乗り込むと、一路今回の行き先、カトマンズ郡の東隣り、シンドゥパルチョウク郡へ向かいます。田舎に行くほど未舗装道路です。しかも山道です。早朝だったため私はいつの間にか眠ってしまいましたが、山の凸凹道になると頭が右に左に、前に後ろに振られ、すぐに目が覚めてしまいました。山道は細く対向車両とのすれ違いには、どちらかがバックして、ギリギリにすれ違います。こんな山道でも大型の路線バスが走っているのです。しかも路線バスにお客さんが乗りきれず、バスの屋根の上にまでお客さんが乗っているのです。ひどく揺れるだけに危険です。バスからの転落事故で脊髄損傷になる方も少なくありません。バス自体も転落する危険があります。勿論ガードレールなどは全くありません。
揺られながら乗っていると、しばらくして視界が広がりました。山の尾根まででたのでヒマラヤの山々がきれいに見えます。こんな景色に出会えるのが、地方出張のメリットです。


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▲未舗装で凸凹の山道を2時間進みます

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▲見えにくいですが、遠くに白いヒマラヤの山が見えます


チャビルを出て、2時間ほどで目的地に到着しました。後から地図で場所を確認しましたが、距離は大した距離ではありませんでした。曲がりくねった道と凸凹道でゆっくり進まなければならないので、2時間もかかったようです。今回の開催場所は学校です。到着するとすでに50人ほどの地元の方々が並んで待っておられました。小さな村なのですが、多くの住民も、遠く山を越えてやってきたようです。


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▲今回のヘルスキャンプ開催地の学校


私は教室で理学療法を行いました。中は6畳ほどの広さに机が1つと2段式の長いすと長テーブルが1台ずつあるだけです。これはベッド代わりに使用します。
流れとしては、整形外科や総合診療科の医師から依頼がまわってくるのですが、医師もどう処方していいかわからなかったり、医療データがないなどで、白紙で依頼が回ってくることも多いです。そのため、直接患者さんから情報収集をして、視診、触診、聴診をして、自分で判断しなければいけません。あらゆる状況を判断し、何でも診られる能力が問われます。日本であれば医師への診察や検査を勧めたり、問い合わせたりして、理学療法に取り組めるのですが、ここでは手段が限られます。また私ができる理学療法にも限界があります。この日、リハビリには25名の患者さんが来られました。80%が女性でした。また92%が整形疾患。子供はありませんでした。この原因は、今後よく考える必要がありそうです。


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▲医師らによる診療。部屋が小さいため屋外にて行っています


医師らも始まるなり積極的に診察しておりました。ネパールだから長々とセレモニーなどをするのかと思っていたので意外でした。リハビリも最初はだれも来ませんでしたが、次第に医師の依頼が出始めると忙しくなりました。一人ひとり問診から視診、触診などして、状況判断し記録。治療はその場では簡単なことしかできません。たった一回しか診てあげられないから、自己管理の為の指導が中心になるのです。そこで、指導内容と評価内容を記録して紙に書いて手渡します。もし今後医療機関にかかるときに見せられるようするためです。医療機関にはリハビリがあるかどうかわかりませんから、リハビリの評価を医師に参考にしていただけたら、ということです。


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▲校庭に集まる地域住民


外には村人たちが増えておりました。130人ほどになったでしょうか。小さな村によくこんなに集まったものです。遠くから来た方が大勢いらっしゃったということですね。

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▲村の様子


遠くから来ることも簡単ではありません。村の様子をご覧ください。こんな山々を歩いて来られました。しかし、歩いて来られる人はまだいいって事です。問題は来られない人たち。そんな人たちがいっぱいいるはずです。ネパールでは医療を受けられるのはごく限られた人たちだけなのです。そこが私たちの課題です。


実はこの日ハプニングもありました。写真に写っている家々。この日、ここでタイガーアタック(トラの襲撃)があったのです。たまたま運よく私たちのキャンプに同行していた救急車があったので、2人のけが人を病院まで搬送することができました。地方での活動は、予想もつかない事態や環境に出くわします。しかし、それも地域を理解する上で大切な経験です。カトマンズにいてはわからないことがある、ということに気づかされました。それとネパール人の医療従事者も無償で地方での活動を行っていることに尊敬の念をいだきました。夕方終了すると、この日は夜7時に無事帰宅いたしました。


日本のちょっと昔とよく似たネパール。多くの外国人がネパールに関わっておりますが、日本人がネパールに関わる意味があると感じております。まだまだ課題の多いネパールですが、一度関わった以上、将来のネパールのために何らかの形で、任期終了後も関わることになるような気がしています。


2010年1月12日| | トラックバック (0)


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