ネパールでの日食事情

公開日 : 2009年07月21日
最終更新 :

7月22日、日本では久々に皆既日食が見られるとのことで、話題になっているようですね。

ここカトマンドゥでも、皆既日食に限りなく近い日食が見られます。しかし、一般的にネパール人は、「日食をどこで見るか?」というような期待に胸を踊らすことはまずありません。なぜなら、ネパールでは、日食は不吉なもの、よくないものとして信じられているからです。

ネパールで入手可能なカレンダーの一つに『パトロ』と呼ばれるものがあります。日常の日付を確認するための普通のカレンダーとは少々用途が異なり、主に、ヒンドゥ教の司祭に携わる人たちが携帯しているカレンダーです。

このカレンダーには、占星術上の詳細な情報が記載されており、日食・月食の情報についても知ることができます。

赤枠で囲った部分が、今回の日食情報。ちなみに、隣に書かれているのは、次回(ネパール時間の2009年12月31日〜2010年元旦にかけて)みられる月食情報です。

これによると、7月22日にネパールで見られる日食の大まかな時間は、日食開始:午前5:46、最大:午前6:43、終了:午前7:45となるようです。 (秒単位での正確な日食時間は、各地域によって異なります)

日食時間のほかに、パットロには、日食中(日食前後)にしていいこと、よくないこと、なども書かれています。

信心深い人たちは、日食前後、いろいろなことに注意しながら過ごすのです。たとえば、

・ 日食が始まる12時間前から日食が終わるまでは調理や食事をしない。また、睡眠をとったり、トイレにも行かずに過ごす。

・ 日食中は、騒いだり、楽しいことをしたり、性交渉を持ったりしない。性交渉をもつと、来世では豚になって生まれるという迷信?も。

・ 日食が始まると同時にお清めの儀式をする。

・ 日食終了後、沐浴をし体を清め、室内にある汲み置きの水(水道が引かれていない村の家などでは、朝、水汲みをし、室内の水がめに水を溜めます)を全て捨て、きれいな水を汲み直す。

など。

また、占星術によると、日食を見ることで何らかのご利益がある星座、よくないことが起こる星座などがあるようで、そのような情報も、『パトロ』には記載されています。

たとえば、7月22日の日食を見ると何らかのご利益があるのは、おうし座、おとめ座、てんびん座、みずがめ座。それ以外の星座は、よくないことが起きると書かれています。特に、おひつじ座、かに座、しし座、いて座は見ない方がよいようです。

しかしこの星座、一般に日本で使われている、西洋占星術をもとにした、誕生月別の星座とはまったく異なります。

ネパールでは、星座は誕生月ではなく、生まれた場所、時間などをもとにして、誕生星座を計算にて導き出すのです。(たとえば、私は12月生まれで、西洋占星術だといて座に分類されますが、こちらの占星術によればしし座になります)

よって、日本の皆さんは、『パトロ』に記載されている星座別占いは気にしないでくださいね。

ところで、何年か前の日食には、突然国民の休日になったこともありました。(今年は休日にはなっていないようです)

こんな感じで、日本とは違った意味でいろいろお騒がせな、ネパールの日食事情なのです。

筆者

ネパール特派員

春日山 紀子

2000年よりカトマンズ在住。

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