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アメリカ/ラスベガス特派員ブログ 旧特派員 高木 青葉

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1999年4月 7日

City of Las Vegasの秘密


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City of Las Vegasの秘密

今やラスベガスの顔のひとつ、ピラミッド型のルクソール。このカジノの前に立てば、「あぁ、ラスベガスに来たんだー」という感慨もひとしお。が、ちょっと待ったぁ!あなたが立っているところは実はラスベガス市ではないのです!


では、ストリップをちょっと北上して、新フォー・コーナーに行ってみましょう。そう、あのMGMのライオンと、ニューヨークの摩天楼などが立ち並ぶ交差点です。ここもラスベガスの象徴的な風景の一部。が、ここもラスベガス市じゃないぞぉ!


もっと、北上すると、ベラッジオやシーザーズ・パレスが立ち並ぶオリジナルのフォー・コーナーにたどり着きます。しかし!あなたはまだまだラスベガス市に到達していないのです。


では、人工火山や海賊船を横にやり過ごしながら、更にストリップを北上してみましょう。デザートインを通り越し、サーカス・サーカースを後にして、見えてくるのはカジノのサハラとストリップを横切るサハラ通り。ここまで来るとストラトスフィアのタワーも間近に迫ります。


この時点で、タワーに目を取られていてはいけません。道路の中央分離帯をに目を移し、サハラとの交差点を渡ったところに立っている看板をご注目下さい。その看板を分析すると、市の境界線を示す、シティ・リミットとかラスベガス市にようこそなんて表示がされているはず。そう、ラスベガス市は実はサハラ通りより北に横たわるのです。


えっ、じゃあ巨大リゾートがあるところはラスベガス市ではないの?答えは、ノー。ストラトスファイアやカーボーイのネオンがあるダウンタウンは?答えは、イエス。


キーワードは市という部分。アメリカの行政区画は日本と違っていて、まず州があって、特例を除いて、それぞれの州は郡(カウンティ)という単位に区切られています。その郡の下にあるのが市で、時として人口が多い市だと、ひとつの市が郡を埋め尽くして、市イコール郡となっているところもありますし、市が必ずなくてはならないわけではなく、人口が少ないところでは、郡の下に市がないところもあり、そういった地域は行政的には郡に直接所属することになります。ややこしいことに、郡のなかにぽつぽつと市がいくつかあって、あとの地域は郡に直属しているというところもあります。この最後の例がラスベガス地域にあてはまります。


どう言う事かといいますと、ラスベガス市もクラーク郡に属しているのですが、ストリップ中心部、つまり巨大リゾートがある部分は市を形成せずに、クラーク郡に直接所属している形になっているのです。だから、フォーコーナーに立っても、ラスベガス市に到着した訳ではないのです。


しかし、事を更に複雑にするのが、郵政区。連邦政府が管轄するだけあって、便宜上のためか、地元行政は無視とばかりに、郵便局がラスベガスという住所を使用すると定めている地域は、地元行政区とシンクロナイズしていないので、実際ラスベガス市でない地域もラスベガスという住所で郵便が配達されます。おまけにラスベガス中央郵便局自体も、ラスベガス市からかなり離れたクラーク郡直属部分にあり、まるで千葉県にある新東京国際空港のノリです。同様に、この地帯はラスベガス・バレーという地形に収まっていることもあり、便宜上、一帯を漠然とラスベガスと呼んでもいるので、「ストリップはラスベガスじゃない」と言い切ると確かに語弊もあるのですが、ラスベガス市ではないことは確かです。


なぜ、こんなに複雑なのかといいますと、この地域はやはりカジノがかなり権力を持っているという背景が、重要なかぎを握っています。なにか大きな事業を起こす時は必ず法律や条例を遵守しなくてはならないはもちろんのこと、様々な許可を政府から得なければなりません。日本にもお役所仕事とい言葉があるように、アメリカにもレッドテープ(お役所の繁雑な手続き)という言葉があって、お役所の許可を得るまでにはかなり複雑な「障害を乗り越え」なくてはなりません。そんなレッドテープが少なければ、少ないほどやりやすいのは当然です。もしラスベガス市内に巨大リゾートを建てようものなら、オーナー達は、市、郡、州という3つの政府(本当は連邦政府も間接的に関わってくるのですが、ここでは省略)を相手にしなくてはなりませんが、クラーク郡直属の地域だったら、郡と州の政府を相手にすれば良く、レッドテープの一部が削除されるのです。しかも、市には市の条例もあり、それを遵守するための法的チェック作業が増えるほか、市の建築基準条例は郡のものより厳しいのが通例です。ただでさえ、ギャンブルを扱うということで、普通のホテルよりさらに多くの手続きを踏まなくてはならないカジノにとっては、規模が巨大になればなるだけ、少しレッドテープが減るだけで、建設及び経営がかなり楽になるのです。だから、世界に名だたる有名なラスベガス市が、ストリップ中心部にラブコールを送っても、カジノ・オーナー達はストリップが市の一部になることを拒否し、そんな間にも、ストリップには雨後のタケノコのようにリゾートがにょきにょきと建設される続けるのでありました。


という訳で、サハラ通り以南に住む住民は、住所はラスベガスを使っていても、ラスベガス市長の選挙権もありません。市長がメディアなんかで「メガ・リゾートが立ち並ぶラスベガスは・・・・」なんて語っているのを見ると、思わずプッと噴き出してしまう私です。ラスベガス市にはメガ・リゾートは存在しないのです(ストラトスフィアをメガ・リゾートを呼ぶのなら別ですが)。もっとも、ラスベガス市としては、巨大リゾートも市の一部だと思われた方がPRにいいし、ストリップのカジノはカジノで、レッドテープを軽減しながらも、世界に名だたるラスベガス市の一部だと思われた方がやはり宣伝効果があるし、持ちつ持たれつで、あまり摩擦は起きていないようです。


フリモント・ストリート・エクスペリエンスは正真正銘のラスベガス市の目玉。巨大リゾートや空港があるのはクラーク郡。

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1999年4月 7日
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    2017/8/20更新

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      高木 青葉
      平行して、時にはユタ州住人、またある時はカリフォルニアのモハヴェ砂漠住人 1995年 ~

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