ラ・スぺツィア名物 "イタリア最古の生パスタ、テスタローリ"

公開日 : 2014年10月12日
最終更新 :
筆者 : ピッパ

皆さん、こんにちは!

10月のお題が"麺"なので、麺について書きたいと思います。

イタリアでは麺といえば、皆さんもご存知のパスタ(代表名、スパゲッティ;パスタの種類のひとつ、ひも状のロングパスタ)のことです。

今回はさっそくリグーリア州で生まれたショート生パスタ、トロフィエ、コルツェッティと、未だに、ラ・スぺツィアのスーパーで売っていて、気軽に食べられる、イタリア最古の生パスタ、テスタローリをご紹介させて頂きます。

さて、日本で初めて国産スパゲッティが生まれたのは、なんと私の生まれた地元兵庫県!現在のピッコロシアターがある場所に、当時高橋マカロニという会社があり、ボルカノ(ブルカーノ;火山のこと)という名で製造されました。イタリアで彼が初めてスパゲティに出会い、その時に見たヴェスヴィオ火山からネーミングしたそうです。そしてちなみに日本ではスパゲッティのことをスパゲッチといいました。

その後、アメリカ軍兵士達がミリ飯としてよくパスタを食べていたことから、一般市民に知られるようになり、日本のご家庭でもアメリカ風のケチャップがたくさん入ったナポリタンやミートソース(イタリア名、ボロニェーゼ)が食べられるようになりました。

私も、よくミートソースやナポリタンのロングパスタは食べましたが、ショートパスタはグラタンで食べる程度で、本格的に食べ始めたのは、イタリアに住んでしばらくしてからでした。その上に、結婚をしてから、このパスタにはこのソースがあうとかが解ってきました。ご家庭によっても好みがあるので、パスタとソース(伊語;サルサ、スーゴ)の関係は、実に奥が深く謎めいています。

trofie.jpg

それでは、まず初めに、トロフィエとは、イタリア北西部、東リグーリア州ジェノヴァに近いソーリという町で生まれた伝統的な手打ちのショートパスタです。

形状がトロフィーや削った木くずに似てるとか言われていますが、

日本人的に言うと、なんだかこよりに似ていますね。(笑)

トロフィエは、ジェノヴァの方言ではストロフィッサと呼ばれ、イタリア語ではストロフィナーレこすりつけるという意味に由来します。

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もちもちした食感のトロフィエとジェノヴァ特産のバジリコをペーストにしたソースとジャガイモ、いんげんを合わせたメニューは、ジェノヴァ地方の伝統的なパスタ料理の一つです。

しかしながら我が家では、ソースがペーストジェノヴェーゼの時には、ロングパスタのリングイーネ(楕円形の断面を持つパスタ)と食べます。

手の甲でこすりつけながら作るトロフィエの映像をよかったら見てください!

barilla trofie.jpg

最近ではイタリアのパスタメーカーでお馴染みのバリッラでもトロフィエが登場しました!

colzetti1.jpg

次に、コルツェッティ(又の名をクロツェッティ)とは、リグーリア州の州都ジェノヴァで生まれた平べったい特殊な器具を使ってメダル状に模様を付けた現在ではマイナーな円形生パスタです。

(私は未だに見たことがありませんが、乾燥のものも売っているそうです。)

この円形の中には、専用の木製スタンプで押された模様が入っていて、でこぼこになった模様とソースがからむようになっています。この模様は、昔は土地の貴族たちの家紋が使われたそうです。その後、十字架をデザインしたものが一般的になったため、イタリア語で十字架はクローチェと言いますので、その言葉がコルツェッティの語源となりました。

当時は、結婚式の披露宴や、子供が生まれて洗礼を受けた後のフェスタの席で食べられたそうです。

Corzetti con pomodoro.jpg

フレッシュトマトや魚介、またキノコ、バジルのソースとまぜていただきます。

私は、イタリアでまだこのパスタを食べたことはありませんが、実は、大阪にある超有名なリーガロイヤルホテルのイタリアンレストランで食べたことがあります!

上品な盛り付けで非常に美味しかったです!さすが、リーガロイヤルホテル!

父がロイヤルホテル(旧リーガロイヤルホテル)の料理は大阪で一番と当時よく言ってました!

コルツェッティの形の作り方、わかりやすい動画がでているイタリア語のサイトを見つけました。ご興味のある方はこちらをご覧くださいね。

Testaroli,Lunigiana.jpg

最後は、今回のブログのメインテスタローリ、古代ローマ時代に生まれたイタリアで最古と言われている種類の生パスタです。本来はチンクエ・テッレの沿岸部沿いのリグーリア州やエミリアロマーナ州に隣接した北トスカーナ州の端、ルニジャーナ地方で生まれました。(マッサ・カラッラの近く)

このパスタの最大の特徴は、パスタの生地を手打ちしないことです。

クレープのようなゆるめの生地を、テスタという浅い鍋に入れて気泡がまんべんなく表れ、片面のみにしっかり焼き色がつき、片面はほぼ白い状態で両面を焼きます。

そして、ひし形に切り、熱湯でサッと茹でます。

(焼いてすぐに食べるのなら茹でないそうです。。。)

現在では、地元北トスカーナ地方を除いたトスカーナ州よりも、ここリグーリア州の東端ラ・スペツィアやチンクエテッレ辺りの人たちに定着しています。(フィレンツェ、シエーナ、ピサなどでテスタローリを食べることはほとんどありません。)

Spezia_Testaroli_Pesto_3.jpg

茹でたパスタをバジルのペーストと和えるだけのとてもシンプルな食べ方なのですが、もちっとした歯ごたえに小麦の焼いた香ばしさ、独特の食感と味わいがあり、私も、関西出身でお粉もんが大好きなので、ラ・スぺツィアに住み始めた時には、病みつきになり、よくテスタローリを食べました。普通のパスタより、粉が少なめ、非常にライトなパスタで胃が持たれることもなく、ダイエットパスタとしても最適で、スローフードにも任命されたほどです。

DSCN0957.JPG

スーパーでも切ったのがパックになって売っていますし、切っていないくるくると巻いたものや、丸形も真空パックになって売っています。

もちろん、味は手作りのものとは少々変わりますが、こんな一品なんだとなんとなくわかっていただけると思います。

ラ・スぺツィアやチンクエテッレに来られるときにはこのテスタローリを是非食べていただきたいですね。

時間がなければ、お土産にも最適ですよ!

テスタローリの作り方、わかりやすい動画がでているサイト(伊語)を見つけました。

ご興味のある方はこちらをご覧くださいね。

(10月のお題 "麺" より)  

ケイコ☆

筆者

イタリア特派員

ピッパ

イタリアミラノへオペラ留学後日伊間を往復する暮らしを初め、結婚後はイタリア各地に移住。

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