蜷川幸雄演出「シンベリン」ロンドン公演

公開日 : 2012年06月18日
最終更新 :
筆者 : R. Andrews

少し前になりますが、蜷川幸雄演出「シンベリン」のロンドン公演を観てきました。

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作品については、既にたくさんの方がレビューを書かれているので、省略しますが、シェークスピア原作の蜷川作品は、1985年の「NINAGAWAマクベス」以来、ほぼ毎年英国で上演されていて、現地のファンも多いです。日本語での上演(英語字幕)にも関わらず、チケットは完売、半数以上は日本人以外のお客さんというところに、原作の地への「シェイクスピア作品の逆輸入」がいかに成功しているかが伺えます。

公演期間中、黒澤明監督の映画「蜘蛛巣城」の上映と蜷川氏のトークセッションもありました。同映画は、シェイクスピアの「マクベス」を戦国時代に置き換えた1957年の作品。黒澤監督との共通点、相違点は?という質問に、「(多くの人がやっているように)シェークスピア作品をそのまま日本に持ってくるのではなく、日本文化のフィルターを通して伝えるという異端的なところが似ている。一方で黒澤監督は「能」を僕は「歌舞伎」を取り入れている点が異なる」と語っていました。日本的な表現を使った方が、ストーリーも理解されやすいのだと。

蜷川氏の演出が斬新で美しいので、映画作品にも向いているのでは?どうして舞台中心に活躍されているのですか?という客席からの質問に、「場面、場面を細切りにつなぐのが苦手で、舞台のようにロングショットで連続して人々を捉える方が向いている。だから映画は成功してません」と苦笑しながら答えていました。製作予定の映画作品があるらしいのですが、「ロンドンに来て、作るのが嫌になっちゃった」そうです。その他、「蜘蛛巣城」主演の三船敏郎と黒澤明監督の撮影時の面白エピソードなども聞け、ユーモアたっぷりのトークは会場の笑いを誘っていました。

こちらでは、日本のサブカルチャーばかりが面白可笑しく取り上げられがちですが、芸術文化への関心が高い英国で、日本の演劇が評価されるのは、日本人としてとても嬉しいです。

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