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フィリピン/マニラ特派員ブログ Okada M.A.

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2014年2月15日

超大型台風: 元々の被災地の暮らしとは


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超大型台風: 元々の被災地の暮らしとは

tmp_1:サマールの家622345026.jpg

今回の台風で被害の大きかった東ヴィサヤ地方の農村の典型的な人家。私の家内が所有している。
いわゆるバンブーハウスで屋根は「アナハウ」と呼ばれる植物の葉で拭かれている。


今回の未曾有の超大型台風30号「ハイエン」(現地名: ヨランダ)による被害者の死亡総数はついに昨年末6,000人を超えてしまいました。フィリピンのアキノ大統領も昨年末に日本を訪れて安倍首相と会談するなど手を打ってはいますが、何分にもフィリピンの好調な経済成長の恩恵に預かることも少ない、貧しい人々が被害者の中心ですので、現場の状況は出口の見えない状態です。


フィリピン政府発表の支援感謝ポスター


実は、私の家内の実家は今回被害の最も大きかったレイテ島の隣、
サマール島の北サマールはラヴィサレスという町の近くの村にありますが、
その地域に住む私の親戚達の収入は、主にココナッツの実の収穫や
ココナッツの炭の作成により、日収にして200円から400円程度で、
しかも不定期です(兼業農家のため)。日々の暮らしは質素そのもので、
着るもは着た切りで、食事は米に自分達で作ったか、山から採って来た野菜を、
近くに生えているココナッツの実から取ったココナッツミルクで味付けしたものに、
ほんの少々の肉か魚。それも多くの家に冷蔵庫はありませんので缶詰や乾物
または発酵させたものが多くなります。彼等もレイテの人々程の被害ではないものの、
今回被災しています。


私の親戚の家族の食事風景。家の中に家具はあまりない。昔の日本の寒村にあったような家と雰囲気は似ている。


ここではライフラインが非常に脆弱で、家内の実家を例に採ると、電気・ガス・水道の内
あるのは電気だけで、それもバランガイと呼ばれる自治体の建物まで来ているものを
自分で電線と配電盤を引いて低ワットのものを使っているだけです。
ガスはプロパンも近くに販売店がなく、配達する業者もないので親戚の自家製の
ココナッツ炭(火力は非常に強い)しか使用出来ません。水が一番困りもので、
井戸は一応あるにはあるのですが、技術が乏しいため、浅井戸しかなく、
しかも雨の少ない時季などは良く枯れますので、そうなるとバランガイの広場に
ただ一つだけある水道(水道局などのものではなく、自治体の独自の水源から取水)の
蛇口まで5・6分かけて汲みに行くことになります。しかもここにも給水制限がありますので、
最後はもっと遠い「泉」 まで山道を歩いてバケツを抱えて汲みに行くことになります。
私も数ヶ月滞在した事がありますが、これは非常に重労働で、一日がこれだけで
終ってしまう気さえするほどです。私の義兄弟の内半数の家には更に電気もありません。


この老人は太平洋戦争中には日本軍の為に働かされていた。その為、いまでも軍服風の衣装を好んで着ている。過去への複雑な感情が感じられる。


おそらくレイテ島の被害規模の大きかった地域の被災者の人々の多くも同様の状況で
暮らす人々と思われます。
この様な状況で更にそのギリギリの暮らしにヒビが入ってしまったとしたら。
ココナッツ炭は誰も作らず運んでこなかったとしたら、
井戸の底は抜け、広場の水道は寸断され、泉が破壊されてしまったとしたら・・・。
私は少なくとも私の親戚縁者が、レイテの人々の様な被害に合わなかった事に
安堵するとともに、レイテの人々の事を家内の故郷に照らして想う時、慄然とするばかりです。


私の義兄達の二軒の家の前の親族。蘭の花が綺麗に咲いているのが亜熱帯のジャングルらしい。


ただ一つの救いは、11月に地震があったにも関わらずこの国に冬がなかったことです。
これだけは天に感謝しなければなりません。
この状況で冬の寒さが来たら本当のカタストロフになったかも知れません。


サマールの子供達


出来ましたら、このブログを読んでいただいている皆様も、実際に物資や金銭を
支援するかどうかはともかく、この救援・復興の情報に関心を持っていただきたいと思います。
被害者救援が適正に行われるには、世界が注視することが必要です。
市の中心地は遅かれ早かれ建物は再建され、電気や水道は復旧しニュースとなるでしょう。
問題は上記のような人々の生活の復興が達成され報道されるかどうかです。
世界の辺境では何が起こっているのか、是非知っていただきたいと思います。


村のメインストリート。最近ようやく部分的に舗装され始めた。右側に自分達で引いて来た電線が見える。まだ公共の電柱やトランスは整備されていない。

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カテゴリー 天気・気候・気温 生活・習慣・マナー
2014年2月15日
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      マニラ特派員
      Okada M.A.
      昭和生まれの元美術教師。フィリピンに来た当初は天然繊維製品の開発で各地の辺境を巡り、北は世界遺産の棚田で有名なイフガオ族の村から、南はイスラム文化圏のミンダナオの山中まで巡ってカルチャー・ショックを受けそのまま定住して10年以上。 現在は現地の外資系会社勤務で妻子あり。ご連絡はこちらへ。

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