日本のバリアフリーとモスクワのマナー

公開日 : 2010年06月22日
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一年で一番日の長い昨日の夏至、モスクワの空は11時を過ぎても薄らと夕暮れの様な明るさでした。最近は気温も毎日30℃に迫る程の暑さで、今モスクワは正に夏です。そして、モスクワの一番の観光シーズンは、今!赤の広場やアルバート通り等の観光名所では様々な国の人がカメラを片手にモスクワを楽しんでいます。このブログをご覧頂いているモスクワ旅行経験のある方々も、夏にいらっしゃった方が多いのではないでしょうか?近年、目覚ましい成長を続けているこの大都市では、あちこちで開発が進められていて、近代的な建物もかなり多くなって来ました。しかし。。。“バリア・フリー”という点に置いては、まだまだ立ち後れていると言わざるを得ないのが現状です。そんなモスクワの街を旅行者が大きなスーツケースを持っていたり、バギーに乗せたお子さんと一緒だったり、ましてや車椅子を必要とする方々が歩き回るのはそうとう大変だと思います。地下鉄の入り口からホームまでは、大抵の場所ではエスカレーターがあるものの乗り換えで違う路線に移動する時はほとんどの場所では階段しかありません。広い所では片道10車線もの大通りを横切る地下道は階段にバギー用の補助がついている場所はあるものの

こんな風に形が限定されていて最近流行の3輪のバギーは、これでは使えないですよね。そして、歩道も注意が必要です。だって、縁石の高さがスゴいんです。

20cmくらいの高さのある所も沢山あります。場所によってはそれ以上の所も!バギーやスーツケースは、大変だけど何とかなるとして、車いすの人は、こういう場所どうやって乗り越えるんでしょう?ある日、その答えを目撃する機会がありました。車いすに座った男性は、人が通りかかるのを待って声を掛け手伝ってもらって、その歩道をおり、3m程先にある次の歩道に乗り上げるのをまた、手伝ってもらっていました。私が見ていたのはそこまででしたが、その10m程先では、その歩道は終わりまた高い縁石を降りて、道を渡らなければならないのです。その男性は、きっと、そこでも誰かに声を掛け助けを求めた事でしょう。ほんの15m足らずの道のりをあの男性は何度も他人の助けを借りなければ移動できないのです。いちいち誰かに助けを求めないと場所によっては、たった数十メートルの場所も移動が困難ってやっぱり不便ですよね。その点、日本ではだいぶバリアフリーへの意識が高まっていますよね。駅のホームにもエレベーターが多くなって来ているし車椅子を補助する機械も階段に取り付けられているし、日本に帰る度に、バリアフリーが増えている気がします。ところで皆さん、ロシア人って、どんな印象を持ってますか?暗くて寒い時期の長い国に住むロシア人。冬のモスクワがニュースで流れると、みんな毛皮の帽子を被って、難しい顔をして歩いているし。。。何だか取っ付き難い感じがしてませんか?確かにロシア人の愛想は良くはありません。^^;住んでる私から見ても、不機嫌な顔に見える人も多いです。でもね。。。例えば地下鉄の中です。お年寄りはもちろん、自分より年配の人が乗ってくれば躊躇なく席を譲る人がとっても多い!その際、席を譲った方も、譲られた方も当たり前のようにしていて、『どうぞ』も『ありがとう』も、ない事も多くて相変わらず不機嫌な顔のままだというのが、またロシア的であるとも思えるのですが、その行動が“ありがとう”にも値しない程“当たり前の行為”という意識が根付いてるとしたらそれは素晴らしいですよね。一方、日本では。。。目の前に、腰の曲がったおばあさんが立っていようが知らんぷりの中年男性。杖を持った男性が、全く目に入らない“様子”で大声でおしゃべりをしている女性達。立っているのもやっとな位フラフラに具合が悪そうな女性に全く席を譲る気配のない人達。満員車内の優先席で、ずぅぅ〜〜〜〜っと携帯メールを打っているサラリーマン。本当に、日本に帰ってくる度に嫌な気分になります。駅の階段も又然り。上記の通り、エスカレーターやエレベーターの少ないモスクワですが大きな荷物を持っていたり、バギーを引いていたりする人が居れば率先して手を貸す人が、必ず近くにいます。一方、バリアフリー化が進む日本では、バリアを取り除く工夫が様々にされてはいるものの、やっぱりエレベーターや補助器具のない場所もまだまだ沢山ありますよね。そういう場所で、大きな荷物を持っている人や、バギーを引いている人はどうしているでしょう?この状況も、私は帰国する度に何回も遭遇するのですが、ほとんどの場合、一人でエッチラオッチラと階段を上り下りしているのです。他人が手を貸している場面には、あまり遭遇した事がありません。『困っている人がいたら、率先して手を貸す。』これはモスクワ(ロシア)のマナーです。でも、実は日本でも基本中の基本のマナーですよね?日本では便利過ぎるシステムに頼り過ぎて、いつの間にか“人としてのマナーやルール”を忘れがちになって来ている様な気がします。それはもしかしたら、外から見たからこそ、良くわかる事でもあるのかもしれません。そしてそれは又、まだまだ暮らしが快適とは言えないこの国だからこそ、人々の“助け合う気持ち”が残っているのかもしれません。この夏、モスクワにご旅行になる皆様、旅行中のほんの一時、ぜひ、こんな角度からもこの街を見てみて下さい。そして、階段等で立ち往生している人を見かけたら、思いきって手伝ってみて下さい。もしその行為を「気持ちイイ♪」と思えたらその気持ちもロシア土産として、ぜひ日本に持ち帰って下さい。そうすればきっと、日本はますます便利な国になる筈です。りり

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